Footnote NZ Dance x 山崎広太協働ダンスプロジェクト 『薄い紙、自律のシナプス、遊牧民、トーキョー(する)』が愛知芸術劇場にて上演される。
本作は、ニュージーランドで最も歴史のある国立の芸術集団“フットノート・ニュージーランド・ダンス・カンパニー“から依頼され、第17回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展日本館展示を手がけた木内俊克(舞台美術)や、作曲家のジェシー・オースティン・スチュワート(音楽デザイン)らとともに現在製作中。山崎のビジョン、ニュージーランドの先住民文化が凝縮。山崎の振付哲学と美学の結晶とも言える本作を、ニュージーランド、アメリカツアーに先駆け、臨場感ある小ホールで。
作品の経緯
2019 年、山崎広太がニュージーランドの首都ウェリントンにあるフットノート・ニュージーランド・ダンスより新作を委託されました。フットノートは 日本人振付家との共同を希望しリサーチを開始。候補者の中から山崎を選定。その年の11 月にトライアルとしてほぼ1ヶ月のレジデンシーを行った結果、正式に作品制作委託が決定。2020 年のクリエーションはコロナ拡大により、山崎はウェンリントンに行けず、全てオンラインで行われました。ニュージーランドでコロナは、ほとんど伝播しておらず、ニュージーランドの振付家ローズ・フィルボルト作品「 ドライスペル」とともに山崎が制作した 霧、神経、未来、オーシャン(木霊する)」は、8 つの都市での上演が実現しました。その後、フットノート・NZ「・ダンスより、山崎作品を新作に発展させ上演をしたいとの希望があり、本年8月、1 ヶ月間に及び山崎がウェリントンにて滞在制作を行います。来年以降、ニュージーランドでの再度のツアーやアメリカツアーも企画されていますが、それに先駆け、日本公演を、10 月5 日、6日愛知県芸術劇場にて、10 月12〜14 日シアタートラムでの
上演が決定しました。
日本公演では、海外カンパニーからの委託作品としては異端ですが、山崎も出演し踊ります。その破綻ぶりも含め、山崎の振付家としての生き方、文化交流という名の下では、収まりきらないある意味、山崎の振付哲学と美学の結晶のような作品になっています。2015 年より舞踏を再追求した3部作を山崎は発表しており、それを通過した上での、ビジョンを強固に打ち出す作品でもあります。日本の観客や次世代のアーティストに、山崎のビジョンとニュージーランドのマリオ文化が凝縮したようなダンサーの身体性がぶつかり合う、そのエネルギーや刺激的な文化のコラボレーションを波及させることを期待しています。また、後進育成の機会として、日本の招聘アーティストとのワークショップや交流プログラムも行います。
山崎広太より
作品:「 薄い紙、自律のシナプス、遊牧民、トーキョー(する)」について
人間が本来持っている、デュルーズ・ガタリの精神分裂、または多様なメディウム、オブジェクトなど多くの情報を如何に同時多発に、身体そしてダンスに結ぶことを考えると、非常に神経的で繊細な身体のシステムが浮かび上がります。それは関節が自由であり、身体のどのパートも違う方向に促すことができる、ある意味クラゲのようなムーブメントの方向性ではないかと察します。今まで行ってきた山崎自身の、知覚的、神経的なムーブメントのメソッドとも重なり合う、視覚的に言えば、例えば、アメリカのビジュアル・アーティストであSarah Sze(サラ・ジー)の作品に見られるような、繊細で神経的な線の、巨大なweb に様々なメディウムが吸収されているようなイメージの構築になります。
また、この作品において、ダンスと言葉をパラレルな関係をすることを考えた時に、話すこと時代をより身体に還元すること、また、それぞれの言葉の文節の間に、分断、麻痺、反復、沈黙、有頂天、多くの感情、そして舞踏を挟み込むことによって、言葉の意味にいろいろなイメージの可能性が喚起されます。全体を貫いて言葉は空間に浮遊、点在し、全体の作品のイメージ、コンセプトを照らします。言葉は主にウェリントンと東京の風景の断片から喚起されたものであるが、その言葉のイメージに沿ってダンスが作られるのではなく、パフォーマーから無意識的に作られたダンスが空間にエコーし、パフォーマーは言葉によって喚起されるイメージとの動きの間で、絶えずトランスフォームし続けます。」
概要
日程・会場:
名古屋:2024年10月5 日(土) 6日(日) 愛知県芸術劇場 小ホール
東京:2024年10月12 日(土) 13日(日) 14日(祝) 世田谷パブリックシアター シアタートラム