話題の劇場に話題の作品、ONWARD presents 新感線☆RS『メタルマクベス』disc2 Produced by TBS、公演に先駆けて囲み会見と公開稽古が行われた。
ストーリーはあの有名なシェイクスピアの「マクベス」。初演は2006年、劇団☆新感線と宮藤官九郎が初めてタッグを組み、しかもシェイクスピアの大作に挑んだ最初の作品。これを世界観、ストーリーは変えずに、2218年の近未来とバンドブームに沸いた1980年代の日本の二重構造にして大胆にアレンジ、劇中『演奏』、劇中『シャウト』、ハードロックとヘビメタでタテノリでガンガンと物語が、運命が押し寄せる津波のごとくに観客に迫る。そして2018年、回る舞台、映像演出で新しい「メタルマクベス」、disc2は尾上松也&大原櫻子。
大音量とともに始まる。出だしはもちろん３人の魔女。鍋に本を放り込むとそこからランダムスター（尾上松也）が登場し、激しい殺陣、尾上松也がシャウトする。有名なセリフ「きれいは汚い」そして・・・・・・「ただし、俺以外！」。
独特のセリフに細かいネタ満載、怒涛のごとくな展開、楽曲とともに物語が疾走する。しかも普通の劇場ではなく、ここはIHIステージアラウンド東京、客席が回って場面展開するので、とにかく早い、早い。映像演出も凝っており、普通の芝居のような感覚ではなく、いわゆる『没入感』、あれよあれよという間に引き込まれる。そして魔女により1980年代に活躍したヘビメタバンド「メタルマクベス」のメンバーたちに自分たちが似ていることを知る。
芸達者が揃い、それぞれの持ち味を発揮する。尾上松也はことあるごとに歌舞伎風の見得を切る、目を寄せる、岡本健一はさすがのテクニックでエレキギターを弾く、大原櫻子は得意の歌唱を聴かせてくれる。それぞれの個性やバックボーンを生かした演出で、disc1を観た観客なら、どこが違うのかチェックするのも一興。芝居巧者の浅利陽介の軽やかさ、木場勝己の厚みのある芝居、良い座組。原嘉孝はレスポール王の息子役であるが、勢いのある芝居で将来性を感じる。ことあるごとに徳永ゆうきが得意の歌唱、観るところ、聴くところが随所にあって飽きないどころか、どこを観ても楽しく、悲劇であるはずなのに面白い。
そして有名な場面、国王殺し、両手を真っ赤にする２人、ランダムスター夫人はことあるごとに夫に発破をかける。強気で野心のある妻、大原櫻子、キュートな容姿とは真逆。逆に見た目も勇猛果敢なマクベスは小心なところもあり、妻にタジタジな様子を尾上松也がユーモアあふれる演技でここは率直にちょっと笑える場面。
結末も全てわかっているのに、なぜかドキドキ。眠ることができなくなってしまう夫妻、1980年代の世界ではヘビメタブームは次第に陰りを見せていく。この1980年代と2218年がシンクロしていくのだが、野望、欲望の先にある滅び、そこへの道筋、ジェットコースターのごとくに運命が、世界が、回る劇場のごとくに渦を巻いて人々を飲み込んでいく。
普遍性のある物語「マクベス」、それをロックに味付け、立体感のある映像、照明、そしてフォーメーションで魅せる。原作をよく知らなくてもわかりやすい構成、もちろん、原作を知っていれば、より興味深くなる。上演時間は20分の休憩時間込みでおよそ４時間だが、あっという間の４時間！
disc2の次はdisc3、主演は浦井健治に長澤まさみ。こちらの初日は11月9日より。
囲みには主演の尾上松也・大原櫻子が登壇した。尾上松也は「劇場に入って４日目なんですけど、稽古して、稽古場では理解できなかったことが、身体で実感できるようになってこの劇場のスペシャル感を肌で感じて、それだけにお客様に楽しんでいただける要素が満載なので、初日までにみんなでできることを一生懸命に。初日には大盛り上がりで！皆さん楽しんでいただけるように、稽古に励みたいなと思います」とコメント。大原櫻子は「この間のdisc1の終わりの方でご挨拶だけ行こうと思って、行って、めぐみさんと橋本さんからすごくエネルギーをもらったので、このエネルギーを初日までに・・・・・でも、まだ実感がないですね。一週間ぐらいはまだ稽古できるのかっていう安心感が・・・・・。カーテンコールを見せていただいて、disc1のキャストの団結力、エネルギーを客席で見させていただいて『すごくエネルギー、もらったな』っていう・・・・・・あとは濱田めぐみさんとも連絡させていただいて、『死ぬ気で頑張ってね、死ぬ気で応援するから』っていうメールもらいました（笑）」とコメント。回転する舞台については「立ってるだけで回転して後ろの舞台装置が変わっているっていうのもあり、端から端に歩いている舞台機構が変わっていて扉が開くと変わっている、とか。その前に芝居があって、タイミングも回っているどこでどう客席とリンクして回るのか、そのタイミング。やはり、ここに入ってみないとわからないし、後ろですね、裏側が円周250mぐらいあるんですよ。それぞれのお客様的にはあっという間に転換されるんですけど、裏では、お客様は回っているんですが、僕らは裏で、装置を行ったり来りしなきゃいけないんで、お芝居が終わって、一回、引っ込んだ所で、移動する時の距離とか、そういうものもやっぱり、予想以上にハードだったりする。そういうところが、実は裏の方が驚きました」と語る。移動は「ほとんどダッシュですね」と笑うが、体力的にはなかなかにハード。さて、どのくらいなのか、そこで大原櫻子が「20000歩とか？」とコメント。これはかなり大変。尾上松也は「髑髏城の時はどんなに食べても痩せたって聞いて・・・・・走るだけじゃなくって舞台では殺陣も芝居もあるので、それぞれがノンストップで稼働し続ける４時間近くあるわけですから。他の劇場では体験できないハードなものがあるでしょうね」と語る。音楽については「いやあ、楽しいっすよ」と尾上松也。「シャウトする、今までやったことのない曲調ですが、気持ちいいし、何よりもこの劇場でロックの音楽を聴くと、ものすごいテンション上がりますし、やってる方も観てる方も上がるんで、一緒に共有できたら楽しいだろうな、と」大原櫻子は「この劇場に入って・・・・・生バンドなので、より激しさっていうんでしょうか、音楽が身体で鳴ってることを味わえたので、これが劇場の変化、メタルロックが聴けるのはすごく特別なこと」とコメント。お互いの印象については尾上松也は「（原作者に対して）導いていただいております（笑）。忘れることが、それは奥様（大原櫻子）が（笑）トントンと。それで『あっ・・・・・・』と。引っ張っていただいてます」と早くも夫は・・・・・。「歳は10こ下なんですが、もうそれだけ、牽引力っていうか、リード・・・・・役的にもそういう感じが強いですね。狙ったわけじゃないです（笑）。稽古場で作っていく中でニュアンス的には、ぐいぐい引っ張られている感じっていうのが自然に出てきているので、それはすごく心地よくさせていただいてます」とコメント。大原櫻子はそれに対して「優しい方なので。わざとこう、私がわがまま言ってもいろいろやらせてもらっています」とコメント。1と2の違いについては尾上松也は「見ていただいただければ、いろいろとわかるんですが、結構、違うところが」とコメント。あと尾上松也は徳永ゆうきについて「演歌歌手なんですが、徳永くんの曲調がdisc1とは全然違うものになっています」ここは聴きどころ。また大原櫻子は「劇場が他と違うのでやることが、ホント、多いです」と語る。見どころについては尾上松也は「過去と未来を行き来する、でも２役なんですが、僕はこの作品と劇場とあってると思います。その融合とメタルロックの音楽を身を委ねて、メタルロックで『マクベス』、この作品しかないと。唯一無二の作品を楽しんでいただけるように頑張りたいです」と言い、大原櫻子は「映像も音楽も豪華ですが、セリフが面白い、やりとりが面白いので、ぜひ、笑っていただければ、と思います」とコメントして会見は終了した。
【公演概要】
ONWARD presents 新感線☆RS『メタルマクベス』disc2 Produced by TBS
日程：2018年9月15日(土) ～ 10月25日(木)
場所： IHIステージアラウンド東京(豊洲)
作：宮藤官九郎
（原作 ウィリアム・シェイクスピア「マクベス」松岡和子翻訳版より）
演出：いのうえひでのり
音楽：岡崎 司
振付＆ステージング：川崎悦子
出演：
尾上松也 大原櫻子 ／ 原 嘉孝（宇宙Six/ジャニーズJr.） 浅利陽介 ／
高田聖子 河野まさと 村木よし子
岡本健一 ／ 木場勝己 他
公式サイト：http://www.tbs.co.jp/stagearound/metalmacbeth_disc2/
主催：TBS ディスクガレージ ローソンエンタテインメント 電通
後援：BS-TBS TBSラジオ
制作：ヴィレッヂ
企画・製作：TBS ヴィレッヂ 劇団☆新感線
Produced by TBS Television, Inc., Imagine Nation B.V., and The John Gore Organization, Inc.
特別協賛：株式会社オンワードホールディングス
文：Hiromi Koh
