えびはら武司の自伝的作品『まいっちんぐマンガ道〜藤子スタジオアシスタント日記〜』の第4話が、10月9日サンモールスタジオにて開幕。
原作は1980年に連載をスタート、その後もアニメ化や実写映画化などを続けたヒット漫画〘マチコ先生〙の作者であるえびはら武司の自伝的作品〘まいっちんぐマンガ道〙。
これををシリーズ舞台化。
ファンから初めてのアシスタントになったことで『藤子不二雄の最初の弟子』といわれるえびはら青年の藤子不二雄スタジオ入所から漫画家になる決意を固めるまでを第1話。その後、第2話は藤子スタジオでの日々を中心に手塚治虫を始めとする伝説的漫画家が活躍をする中で次世代の漫画家を目指す主人公とそのライバルであり励まし合う同志でもあるアシスタント仲間たちとの青春の物語。
第3話は普及の名作ドラえもんの世界的な大ヒットへの道とその胎動に立ち会った主人公が藤子スタジオを飛び立つまでの物語。
今回の第4話はえびはら武司の漫画家人生の総決算として、師である藤子不二雄への、そして人生を捧げたマンガ道への感謝を込めたシリーズ完結編。
脚本&演出を鳳恵弥が継承、IKKANは監修となる。原作のえびはら自身もチラシも完全描き下ろし、これまで仮名で行ってきたところも全て原作と揃えて実名で行うという力の入れよう。
主人公えびはら武司は1話からの亀吉、藤子F不二雄こと藤本弘はJAEの横山一敏。
横山一敏はスーツアクターとして戦隊物では何作もレッドを担い、レッド役の俳優からも尊敬を集める伝説のスーツアクター。
鳳もドラえもんのモデルになったと言われるある作品に登場する猫をモデルにし、シリーズの人気キャラクターとなっているピート君として出演もする。
開演15分前から前説、この時間は撮影OK。それから始まる。呑み屋と思しきところで楽しく呑んでるシーンから。電話が鳴る、「久しぶり!」「見舞いに行くよ」とえびはら武司(亀吉)。そして呟く「あいつ、もう描けないかもしれない」、そしてオープニング。
時は1980年、「先生は古いんだよ」と若手。「弟子、懐かしい響き…」時代は遡り、1964年、東京オリンピックのポスター(この間のオリンピックではない、念の為)、レトロ感満載のデザイン。「漫画家になる!」と決めた主人公。それから”マンガ道”が始まる。
舞台の時代は行きつ戻りつ。トキワ荘の話も出てくる(レジェンド漫画家が)が、物語の中心はえびはら武司の藤子スタジオアシスタント時代。藤子不二雄の漫画が大好き、1のファンを公言、だから弟子入りしたい、というシンプルな理由。現代ではあり得ないが、「タウンページ」という、個人情報満載(笑)の電話帳で電話番号を調べて、いきなり電話するくだりは、もう”昭和”、ある、ある。
電話に出たのは愛想のないおじさん。ところが、この無愛想なおじさんが!藤本弘(藤子・F・不二雄/演:横山一敏)だった。「高校を卒業したら」と言われたものの、折り返しの連絡電話がかかってこなかったため、専門学校の入学を決めてしまった翌日に藤子スタジオから連絡がきた。藤本弘(藤子・F・不二雄)の提案で専門学校に通いながら、藤子不二雄のアシスタントを務めることに。
登場人物も出来事もほぼ実話、面白すぎる本当の話。初めての”出勤”、綺麗な女性が、名前は松原さん(ゲネプロではましろ悠(F))、マチコ先生のモデルになった女性。ここで繰り広げられる藤子スタジオの”日常”は世間的には”非日常”な日々。えびはら武司は心底、師匠の描いた漫画に心酔、「世界一、面白い」と言う。そしてピート君(鳳 恵弥)常に主人公に寄り添い、また、ストーリーテラーの役割も担う。
そしてアシスタント時代に終わりを告げる時が来た…。
主人公演じる亀吉が大汗かいて熱演、そして時折、会話するえびはら武司と弟子の御茶漬海苔(西雲アキラ)、少年サンデーであだち充がアシスタントを公募していることを知る。師匠のえびはらに黙って応募したエピソードも描かれている。冒頭の電話は御茶漬海苔、2020年頃に糖尿病を患って右目を失明し、その後、両目失明、主人公が見舞いに行くシーンも登場。
ここはちょっと胸熱。そして誰もが知ってる名作エピソードももちろん!あっという間の上演時間1時間30分。オリジナル主題歌は現在目下ヨーロッパツアー中のFLOWのTAKEが担当。カーテンコール時に歌うので、観客も一緒に歌ってOK(歌詞が配布されるので)。
また、世界中の子どもたちに夢と笑顔を届けた藤子不二雄と藤子スタジオの皆さんに敬意を表し、中学生以下は無料招待。
ゲネプロ終了後に簡単な会見が行われた。
原作者のえびはら武司は「当時のことがほぼほぼ忠実」と語る。そして弟子の御茶漬海苔については「違いすぎるよね…かわいい」先を楽しめるように入れた実在人物とのこと(3話に登場していない)。藤子・F・不二雄を演じた横山一敏は「刀をペンに変えて!」伝説のスーツアクター、横山、ペン捌きもなかなか(笑)。また、亀吉はえびはら武司役は4回目。「次から次へと本当に海老原先生の面白いエピソードは尽きることなく出てくるので、本当に毎回毎回新鮮な気持ちで挑ませていただいてすごく楽しませていただいてます。今回は新エピソードが加わりましたが、そこを踏まえた上でも新しい気持ちでやっていきたい」と抱負を。
えびはら武司は今年画業50周年。「漫画をやめよう、やめようと言ってたけど、こういう形で止められるとは思わなかった。やめるやめると言い過ぎて、やめるなというメッセージになったんだと思う」とコメント。
脚本・演出・出演(ピート君)の鳳恵弥は「藤子先生への感謝を伝える舞台を作ってほしいと頼まれたんですけど、出来たらみんなが励まし合う舞台になってしまいました」と語った。えびはら武司は「良い脚本だった、わかりやすく、楽しいハッピーになってる」と笑顔で。
今後のことについて聞かれたえびはら武司は「『まいっちんぐマチコ先生』の舞台をやりたい」とのこと。さらに「大笑いする舞台をやりたい、映画もやりたい、馬鹿らしいことやりたい、(漫画も)依頼があれば描きます」と超前向き発言。
なお、FLOWのTAKEからのメッセージが読み上げられた。「『まいっちんぐマチコ先生』は子供の頃、ハラハラ、ドキドキして楽しませていただきました…テーマソング関わらせていただきまして…曲にちょっとした仕掛けがあります…」曲に仕掛け…キャスト全員最後に歌唱するのだが、全く気がついていないようで「えーーーー!?」、このサプライズメッセで会見は終了した。
あらすじ
〘まいっちんぐマチコ先生〙というヒット作を生み出し、単行本累計300万部、アニメ化、実写映画化と漫画家として大成功を収めたえびはら武司。
今日もファンのみんなと楽しい宴を開いていた武司に1本の電話が入る、それは学生時代より武司に弟子入りし、その後自身も漫画家としてデビューし成功を収めていた御茶漬海苔だった。
そんな弟子の電話から少年時代より漫画家に憧れ、尊敬する藤子不二雄に弟子入りをした自身の藤子スタジオアシスタント時代を思い出す。
画業50年を迎えた漫画家えびはら武司が自身の漫画家人生を振り返る中で、恩師藤子不二雄への感謝と共に、寝食をも忘れてガムシャラに夢を追いかけることの大切さを今の若者たちに伝える青春マンガ道。
<2021年公演直前インタビュー記事>
「舞台版 まいっちんぐマンガ道 第二話」《緊急インタビュー》 原作 えびはら武司 出演 亀吉 武田知大 鳳恵弥 脚本演出 IKKAN
概要
舞台
『まいっちんぐマンガ道〜明日への扉』
※中学生以下無料招待公演
日程・会場:2024年10月9日~13日 8公演 サンモールスタジオ
原作:えびはら武司(藤子スタジオアシスタント日記~まいっちんぐマンガ道~)
演出&脚本:鳳 恵弥
監修:IKKAN
主題歌/劇中音楽:TAKE(FLOW)
出演
亀吉、ましろ悠(F)、渋木美沙(A)、久保沙由李、小島里奈、西雲アキラ、東大源、ランディ井上、熊本あかり、若宮恭平、渡邊純、古川九一(10/9.10)、深寅芥(10/11.12.13)、横山一敏、鳳恵弥
公式Twitter:https://twitter.com/stage_ATZ