SET創立45周年『ニッポン狂騒時代 ~令和 JAPAN はビックリギョーテン有頂天~』上演中

劇団スーパー・エキセントリック・シアター創立45周年記念第62回本公演『ニッポン狂騒時代 〜令和JAPAN はビックリギョーテン有頂天〜』が好評上演中だ。劇団創立45周年記念の本公演は、安保闘争に揺れる1960年代の日本を舞台に、アメリカンポップスの魅力に取り憑かれた若者と学生運動に明け暮れる若者たちの、恋と挫折の青春ストーリー。昭和の喧騒を生き抜いた方々にも、今後のニッポンを担う令和の若者たちにも刺さる、創立45周年に相応しいミュージカル・アクション・コメディー。
物語の出だしは現代。おでんの屋台、若者がスマホをいじっている。おでん屋の親父さん、そこへ杖をついた老人がやってくる。ほぼ同じくらいの歳で顔見知りっぽい会話。若者と老人の会話が絶妙に面白おかしい。世代ギャップ、またよく聞かれる「炎上」も老人二人は文字通りの「炎上」と捉え、ゲネプロにも関わらず笑いが客席から。こういった細かい笑いが散りばめられているのがSETの面白さ。

そこから時代が遡る。あっという間に1960年代に。ある一定の世代には懐かしい音楽。舞台上はリッチな屋敷の広ーーいリビングルーム、大勢の人々が談笑、メイドもいる、まさに豪邸。60年代のアメリカンポップスに心酔する山南寛治、そして彼はロックンロールを日本語化、一躍「時の人」に。「ステキなタイミング」が大ヒット。60年代ファッションに身を包んだダンサー陣が踊る、中央にスター、歌う。

ここのシーンはショーアップ、ウエスタン・カーニバル(注)の文字、見どころポイント。そして舞台は一転、60年代といえば「安保闘争」、1959年(昭和34年)から1960年(昭和35年)、1970年(昭和45年)の2度にわたり日本で行われた日米新安全保障条約(安保改定)締結に反対する国会議員、労働者や学生、市民及び批准そのものに反対する左翼や新左翼の運動家が参加した反政府、反米運動とそれに伴う大規模なデモ運動が行われた。学生たちがバリケードを築いている。この学生たち…かなり老けた人も(笑)、SETの重鎮、野添義弘が学ラン姿!!火炎瓶を作ったり(油が何故かごま油)、デモの準備に忙しい。この学生たちのリーダ格・拓真、日本を変えたいと真剣に思う熱血漢。この極端な若者を中心にストーリーが展開。
会うはずのなかった二人だが、山南寛治はアメリカかぶれの、拓真たちから見れば、いわば”国賊”もの、彼らが山南寛治を敵対視するのは無理からぬこと。ある日、山南の家が学生たちに襲われる。そこで出会うはずのなかった二人、そこに可愛いメイドの直美が絡み…というのが大体の流れ。
流れる曲が60年代の歌謡曲やアメリカンポップス、シニアの世代は”青春”の文字が浮かぶことだろう。山南寛治はメイドの直美が好き、それを母親に気づかれ、「あの子はメイド、あなたは未来の社長」と言われる。山南寛治の父は会社経営、屋敷を構えているということは成功した実業家、といったところだろう。だが、時代の流れは思ったより早く、熱く燃えたぎる時代は過ぎていき…。

「今回の舞台は60年代にアメリカンカバーポップスを日本語に訳詞された漣健児さんの人生を基に安保反対の学生運動の学生が絡んでストーリーが進んでいく」と会見で三宅裕司が語ったが、実際の漣健児さんの歩んだ道、1960年に音楽出版業務を開始。また、訳詞家としては1959年には「新田宣夫」名義で「赤鼻のトナカイ」などの訳詞を手がけていたが、漣健児名義で初めて訳詞を手がけたのは、坂本九「ステキなタイミング」(1960年)。その他代表作としては、飯田久彦「ルイジアナ・ママ」、中尾ミエ「可愛いベイビー」、「ヴァケーション」など60年代に等数多くの洋楽曲の日本語カヴァー・ヒットを手がけ、一大ブームをおこした人物。よって彼の楽曲が随所に。今、聴いても名曲は名曲。また、登場人物のファッションにも注目。そして!三宅裕司&小倉久寛の掛け合いが(笑)多分、毎回変わりそうな予感。オチは基本的に「コメディ」なのでバッドエンドにはならないので!落ち着くところに落ち着くオチはそこはかとなく愛情が感じられる。SETの若手が大活躍、SETは20代から70代までと年齢層も幅広く、総勢42名。ラストで歌い踊るシーンは賑やか、ノンストップの2時間超だが、長さを感じさせない、歌、芝居、そして笑いがふんだんに。描かれている時代は1960年代だが、現代にも通じるテーマ、青春、生きること、何かに打ち込むこと、恋愛、東京公演は27日まで、その後は大阪公演、大千穐楽は11月10日。

(注)1958年2月から1977年8月まで、日本劇場で開催されていた音楽フェスティバル。

あらすじ
1960年代、東京。 アメリカで誕生した20世紀最大の音楽革命であるロックンロールを日本語化し、「カヴァーポップス」として 若者の間に大きなブームを起こした訳詞家・山南寛治。 その熱狂ぶりを苦々しく見つめるのは、安保反対を掲げ日本人の誇りを守るべく闘う学生運動家・拓真。 交わるはずのない両極端な2人。
だが、純朴な少女・直美と出会い運命が動き出す。 さらに華やかな芸能界にうごめく大人たちの思惑、血と汗にまみれ過激化する闘争がからみ、想像もしなかった 事件が3人の若者を巻き込んでいく。 すべてが熱く激しかったあの時代、狂乱の果てに彼らが選んだ道とは…?!

概要
脚本:𠮷井三奈子
演出:三宅裕司
出演:三宅裕司 小倉久寛
永田耕一 田上ひろし 野添義弘 岩永新悟 赤堀二英 西海健二郎 おおたけこういち 安田 裕
榊 英訓 栗原功平 岩澤晶範 長谷川慎也 辻 大樹 時松研斗 浅田壮摩 渋谷渉大流 大城麗生 千葉雅大 宮下幸生 白倉基陽 焙煎功一
三谷悦代 杉野なつ美 丸山優子 白土直子 良田麻美 南波有沙 久下 恵 山口麻衣加 鎌田麻里名 立川ユカ子 白井美貴 山城屋理紗 須田 歩 岡山玲奈 村田彩夏 鶴田 彩 髙山夏姫  ※榊英訓の「さかき」の示はネ、辻大樹の「つじ」は一点しんにょう
日程・会場:
東京
2024年10月17日(木)~10月27日(日) サンシャイン劇場
提携:サンシャイン劇場
主催:劇団スーパー・エキセントリック・シアター ニッポン放送
神戸
2024年11月8日(金)~11月10日(日) AiiA 2.5 Theater Kobe
主催:ABC フロンティア
公演問合:info@set1979.com
東京チケット問合:03-3234-9999 (10:00~15:00 ※休業日除く)
神戸チケット問合:0570-200-888 (11:00~18:00 ※日祝除く)
企画・制作:スーパーエキセントリックシアター、アミューズ 、アタリ・パフォーマンス

公式HP:https://www.set1979.com/stage/2024/