安西慎太郎主演 平野良 演出『羽州の狐』開幕 

演劇制作の “る・ひまわり”は、歴史ものを得意とする事務所として知られているが、今回、最強の布陣で紡ぐ『羽州の狐』が開幕。
松田岳、木ノ本嶺浩、平野良が一人二役を演じる。
戦国武将・最上義光の “哀しくも美しい幽霊譚”という。全キャスト=アテガキで、赤澤ムックが脚本を書き下ろし、キャストの魅力を演出・平野良が紡ぐ『和製ダークファンタジー』。主演は安西慎太郎。次々と悲劇に見舞われ、それを機と自分を追い込んだ者たちを涼しい顔で嵌めていく、狂気を孕んだ最上義光を演じる。その義光の甥 伊達政宗は松田岳。また政宗の従兄弟の伊達成実を木ノ本嶺浩。演出の平野良が最上義光のキーパーソンとなる弟・中野義時を演じる。

この公演は「明治座の変・麒麟にの・る」(`19/明治座)では、兄(平野)、弟(安西)を演じた二人が、兄(安西)、弟(平野)という逆の立場で殺し合う兄弟を演じる。また、各キャストそれぞれが、上記配役とは別に、最上義光にとってキーパーソンとなる重要な人物を更に演じ、一人二役というのも見どころの一つ。なお、本作は、舞台「時をかけ・る~LOSER~」のスピンオフ公演。

客席通路から一人の男が登場する、木ノ本嶺浩、音楽はRock、激しい嵐の音、それから舞台に4人が集結。時は慶長5年の9月。関ヶ原の勝敗を知った最上義光は甥である伊達政宗(松田岳)に東軍勝利を祝おうと一宿の誘いをする。互いに家臣を引き連れて羽州のとある山道を馬で行くも降り出した雨は激しく、馬を降りたその矢先に義光、政宗、そして従姉妹の伊達成実(木ノ本嶺浩)は地滑りに遭い、洞窟に閉じ込められる。そこに義光の弟を名乗る中野義時(平野良)が現れて、4人は洞窟で一夜を明かすことに。舞台上はその洞窟のシーンから始まる。義光、戦国時代から江戸時代前期にかけての出羽国の大名。最上氏第11代当主。出羽山形藩の初代藩主。彼の妹・義姫が伊達輝宗に嫁ぎ、永禄10年(1567年)には長男・梵天丸(後の伊達政宗)を生む。回想シーン、義光に子供が生まれる、かなりの溺愛ぶり、のちの駒姫、しかも美少女だったと言われている。

また戦では謀略・調略・説得と言った戦わずして勝つ知略を駆使、それで「羽州の狐」の異名を。駆け引き、思惑、政略結婚で娘の駒姫を豊臣秀次に娘が15歳になれば、差し出す約束をしてしまい、その直後に秀次に謀反の疑いがかけられて、悲劇が起こる。その様子は深い哀しみに、木の枝を抱えて「地獄に引き摺り込んでやる」、安西慎太郎が熱演する。義光の心、闇、深い失意、時代。

妹、娘を深く愛していた義光、上演時間は1幕もののおよそ70分だが、この70分には深い人の業が詰まっている。公演は27日まで。

コメント
安西慎太郎

『羽州の狐』ついに開幕致します。
面白いキャスト、素晴らしいスタッフ達と共に手を取り合い大切に作って参りました。『時をかけ・る』シリーズ1があったからこそ、の今回。その作品を愛し待って下さっているお客様がいるからこその、第二弾スピンオフがあると思っています。
今回は内藤さんと前川さんは残念ながら参加できませんが、また全員で『時る』ができるように、今以上に『時る』が愛されるように『羽州の狐』愛を持って優しく丁寧に演じていきます。演劇というフィクションの世界でお客様の心の何処かに触れそれが何かの支えになれば嬉しく思います。
どうぞ宜しくお願い致します。

松田岳

松田岳です!時をかけ・るから約半年の期間で本作に出させて頂けるとは予想しておらず、びっくりしています。前作でのシャケ様、最上義光伯父さんにこんな背景があったなんて、その歴史の事実と慎ちゃんが演じる伯父さんに何度も心が締め付けられました。伊達政宗としては前作直江兼続との友情が芽生え、今作ではどんな活躍が見れるのか是非注目してみて頂ければ!演出の平野良さんは稽古後に毎回筋トレをされているのですが、それを見守る出演者3人の図が大好きです。こちらからは以上です!頑張ります!

木ノ本嶺浩

いよいよ初日の幕が開きます。
経験と実績と抜群の感性に裏打ちされた、演出家平野さんの言葉はこの物語を立体化するための大きな指針となり僕達を導いてくれました。
安西さんは深淵に光を照らし深く入り込み、突破口を掴んだ松田さんは生き生きと大きく躍動し続け、そんな心強い仲間と交わす台詞は驚愕と発見の連続で僕自身も今までとは違う演劇体験をしています。このような経験ができることに感謝です。
限られた空間の中で思惑と知略が絡み合い、夢と現実を縫い目なく飛び越え、観ていただく方々とこの不思議な物語を共に体験できたら幸せです。
どうか狐に化かされませんように。

平野良

演出・出演を務めます平野良です。今年3月に公演した『時をかけ・る~LOSER~』のスピンオフになります。脚本の赤澤ムックさん、音楽のオレノグラフィティさんとの新作。『時る』は5作からなるオムニバスでした。その中でも一番ポップな作りだった「ラブミュ」に登場した、これまたポップな人物、最上義光に光を当てた今作。なんとテーマはダークファンタジーです。本編では垣間見ることの出来なかった彼の過去、そして想いが軸となった密室劇。土砂崩れで閉じ込められた最上義光、伊達政宗、伊達成実、中野義時の四人で繰り広げられる会話劇ですが、義光による化かし合いが始まります。彼はなぜ人を誑かすのか。思う存分振り回されてください。

あらすじ
慶長五年、九月。
関ヶ原の勝敗を知った最上義光(安西慎太郎)は、甥の伊達政宗(松田岳)に、東軍勝利を祝おうと一宿の誘いをする。
互いに十数名の家臣を引き連れ、伊達と最上は、羽州のとある山道を馬でゆく。
昼過ぎから降り出した雨が激しくなっていた。
雨宿りしようにも集落はなく、とりいそぎの木陰で、まずは両当主からと馬を降りたその矢先、義光、政宗、そして政宗の従兄弟の伊達成実(木ノ本嶺浩)は、地滑りに遭い、洞窟に閉じ込められてしまった。
義光の弟を名乗る中野義時(平野良)がそこに現れ、四人は洞窟の中で一夜を明かすことになるが、義光には何やら思惑があるようで…。
「―これを許すと言わないでおくれ。」愛に囚われた男の哀しき幽霊譚。

概要
会期会場:2024年10月24日(木)~10月27日(日) CBGK!!
演出:平野良
脚本:赤澤ムック
出演:安西慎太郎、松田岳、木ノ本嶺浩、平野良
配役
最上義光…安西慎太郎
伊達政宗・大谷吉継…松田岳
伊達成実・上杉景勝…木ノ本嶺浩
中野義時・黒田官兵衛…平野良

企画・製作:る・ひまわり

公式サイト:https://le-himawari.co.jp/galleries/view/00132/00702