小出恵介主演舞台『のうぜい合戦』開幕

≪ふるさと納税≫をテーマにした舞台『のうぜい合戦』が開幕した。≪ふるさと納税制度≫の功罪を風刺する劇薬ブラックコメディ作品、11月26日まで東京、その後は大阪、愛知、神奈川の全4都市で公演を行う。
本公演の初日公演の生配信&アーカイブ配信もカンフェティストリーミングシアターで決定、アーカイブ映像は7日間視聴できるので、遠方で劇場まで来られない人や仕事などで足を運べない人には便利。

スピーチの練習に余念がない猪狩智也(小出恵介)。

物語の舞台はどこかの産業会館のロビーっぽいところ。窓の外はのどかな風景、間違いなく田舎。一人の男が何やら原稿を持ってぶつぶつと。彼の名は猪狩智也(小出恵介)ワイシャツに首からは身分証、「ふるさと納税」を広めるためのスピーチの練習、そこへ市の新人職員・新開光昭(田淵累生)がやってきてわざわざプレッシャーな発言を(笑)。

新人職員・新開光昭(田淵累生)。新人なのでふるさと納税の仕組みについてイマイチわかってない。
市長・本橋(服部ひろとし)が電動自転車で登場。これもふるさと納税の対象らしい。

そこにさらに市長の本橋(服部ひろとし)もやってきて追い打ちをかけるように「悪いね、急な無茶振りで」と猪狩に話しかけ、余計に緊張させる。

妻・猪狩典子(緒月遠麻)。夫とは対照的に押しが強い。やたらグイグイ。
義父・恒吉(うじきつよし)。痴呆でアル中。妻が夫がスピーチする、ということで無理矢理連れ出した。

これはほんの”序に口”に過ぎなかった。押しの強いグイグイな妻・猪狩典子(緒月遠麻、あまりかなり(Wキャスト))、派手なスーツに派手な帽子、ドン引きする猪狩、そこにアル中で痴呆症の義父・恒吉(うじきつよし、石鍋多加史(Wキャスト))も。妻は「(家業を)サラッと宣伝して」と無茶振り。

宮地健介(細貝圭)。広告代理店を退職し、地方議員を目指している。これには訳が。

やれやれと思うまもなく、同期の宮地健介(細貝圭)がやってくる。広告営業マンだったが、退職して地方議員を目指している。営業マンだった頃、この「ふるさと納税」をごり押ししていた。彼の口から語られる「ふるさと納税」の仕組み、まさにこの舞台のタイトル「のうぜい合戦」という言葉がふさわしい。ここで観客はこの制度について「?!」と思うに相違ない。

カスミ(古畑奈和)、兄を探しにやってきたのだが、思わぬドタバタに巻き込まれる。
カスミの兄・岸あきひこ(田村侑久)。怒りのあまり、トンデモ行動に。客席も巻き込まれるので(笑)。

そこへ数年前に会った若い女性・カスミ(古畑奈和)がやってきた。彼女は猪狩が以前にふるさと納税で地方再生に成功した自治体の市民だが、兄を探しているという。ふるさと納税でウニの受注が増えたのはよかったが、他の自治体もウニをメインに「ふるさと納税」を行い、その”弊害”が大きかったのだった。そこでカスミの兄・岸あきひこ(田村侑久、小坂涼太郎(Wキャスト))がふるさと納税反対のために産業会館に押しかけているとのこと。

望月類(村瀬文宣)。正義感が強い。

そんなこんなにスクープ狙いの新聞記者の望月類(村瀬文宣、稲葉光(Wキャスト))もやってきて…というのが大体の流れ。

うわーーーーー!!何がどうなってるのかは劇場で。

登場する人々は皆、いわゆる”小市民”、猪狩は根は真面目だが、特にこれといった夢や大志も全くなく、いわば、成り行きな人生、アグレッシブな妻とは真逆な性格。

夫を尻に敷くタイプ。どこに電話してるのか…。

切羽詰まると口から出まかせを言ったり、危機に陥れば”窮鼠猫を噛む”的なところも。これを小出恵介がコミカルな味付けで好演、ついつい応援したくなるしょーもないキャラクター像を作る。市長はちょっと軽薄、服部ひろとしが軽やかに。純朴、正直といえば聞こえはいいが、「ふるさと納税」については市の職員にも関わらず無知ば新開光昭、田淵累生が空気読めないキャラを無邪気に能天気に。大騒ぎしすぎる岸あきひこ、東京公演は田村侑久、ここまで騒ぐキャラ、うるさいを通り越して清々しい(笑)。猪狩恒吉、東京はうじきつよし、本当に痴呆症なのか、笑顔の下の謎めいた雰囲気がアクセントに。グイグイくる猪狩典子、東京は緒月遠麻、圧が(笑)。岸カスミを演じる古畑奈和は、この騒々しいキャラクターに混じって、静か、おっとり、かえって目立つところが面白い。

望月類演じる村瀬文宣、正義の塊なキャラ、スクープ命。
「ふるさと納税」をめぐっての人々の考え、思惑、そこから見えてくる日本の今。そこに、各キャラクターが抱えているドタバタを掛け算して、それが加速し、カオス状態になっていく可笑しさ。ラストのオチはちょっとブラックで、主人公は最後まで笑える悲哀キャラを貫く。

コメディなので、笑って笑って、1幕もの上演時間はおおよそ1時間40分程度の”ジェットコースター”。東京は11月4日まで。その後、全国を回る。

《あらすじ》
どこの地方も過疎化が止まらない昨今。
「身を切る改革」のフレーズで当選した本橋新市長の自治体も財政が破綻寸前の地方だった。
この衰退を止めるのは、「ふるさと納税」しかない!そう思った市長は、新設した「ふるさと納税」課の担当に、猪狩智也という人物を抜擢する。
猪狩は、かつて「ふるさと納税」で地方再生を成し遂げた再生のプロ。今日は、市内でふるさと納税を始めるべくお披露目会見の日。猪狩の大事な演説が始まろうとしてる寸前、かつて地方再生したはずの市民や、元同僚、施設に入った親父など、予期せぬ人々が集まってきて、事態は思わぬ方向へと転がっていく・・・・。
果たして、大鉈をふったこの政策で、自治体の活性化が図れるのだろうか!?

概要
舞台『のうぜい合戦』
脚本・演出:なるせゆうせい
主催:「のうぜい合戦」製作委員会
公演日程・劇場
2024年10月30(水)~11月26日(火)全4都市上演

《東京公演》CBGKシブゲキ‼
10月30日(水)~11月4日(月祝)
(Wキャスト出演者:緒月遠麻・田村侑久・村瀬文宣・うじきつよし)

《大阪公演》扇町ミュージアムキューブ CUBE01
11月8日(金)~10日(日)
(Wキャスト出演者:緒月遠麻・小坂涼太郎・村瀬文宣・うじきつよし)

《愛知公演》 穂の国とよはし芸術劇場PLAT アートスペース
11月12日(火)~13日(水)
(Wキャスト出演者:緒月遠麻・田村侑久・村瀬文宣・うじきつよし)

《神奈川公演》ラゾーナ川崎プラザソル
11月21日(木)~26日(火)
(Wキャスト出演者:あまりかなり・小坂涼太郎・稲葉光・石鍋多加史)

《出演キャスト》
猪狩智也役:小出恵介

宮地健介役:細貝圭
新開光昭役:田淵累生
猪狩典子役:緒月遠麻(Wキャスト)/あまりかなり(Wキャスト)
岸 カスミ役:古畑奈和
岸 あきひこ役:田村侑久(Wキャスト)/小坂涼太郎(Wキャスト)
望月 類役:村瀬文宣(Wキャスト)/稲葉光(Wキャスト)
本橋 徹役:服部ひろとし

猪狩恒吉役:うじきつよし(Wキャスト)/石鍋多加史(Wキャスト)

【公式ホームページ】
https://www.nouzei-stage.com/
【観劇ギフトチケット販売ページ】
https://inveider.stores.jp/items/66d546fa49abed0408f80ae5
【エルタマ企画ページ】
https://yeltama.com/nouzei_stage_202409

舞台写真提供:主催