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今年は井上ひさし生誕90年、最後の演目『太鼓たたいて笛ふいて』が上演中だ。
2002年の初演から芙美子を演じた大竹しのぶと新たに魅力的なキャストを迎えて、こまつ座が誇る評伝劇の中でも特に愛された作品が今甦る。
主催より
端的に、今こそ世に問うべきお芝居だと思います。
今年は11月に米国の大統領選挙があり、これから日本の総選挙も予想されています。
いろんな人たちが、いろんな物語を国民に向かって語ると思います。世界では戦争が激しくなり、国内では災害も起きて不安で暗い気持ちが漂っています。こうしたときに語られる物語は、私たちの未来を大きく変えるかもしれません。
しかも SNS の拡大でありたあらゆるところから語られます。いってみれば笛や太鼓が世界中で鳴らされる騒々しい時代を迎えています。
そんな時代に私たちがどう向き合っていけばいいのか、井上ひさしが林芙美子の生き様を通して訴えたかったのはまさにそのことだと思います。
このお芝居をやろうとおっしゃってくださった大竹しのぶさん、栗山民也さんも、この世の中のにおいを感じ取ったのだろうと思います。平和を愛した井上ひさしの意思を継ぐこまつ座として「太鼓たたいて笛吹いて」を通して、力強いリズムと美しいメロディーを届けたいと思います。
<コメント>
演出家 栗山民也
なんだか毎日の稽古がとても楽しかったせいか、本読みから通し稽古へのほぼ一ト月に何をしてきたのか、はっきりと思い出せないのです。6 人の俳優たちのいろんな絡み合いの絵が頭の中を巡り、その背後には劇中のたくさんの音楽が絶えず流れています。とにかく熱くなって多くを喋っていたこともおぼろげで、あっという間の初日なのです。激動の時代が目まぐるしく変転するこの熱い温度を持った作品が、今の世界の現在とあまりにも重なり合っていたせいかもしれません。
まるで今回の公演のために書かれたような、そんな感じの、とんでもなく愉快でとんでもなく厳しい芝居です。
大竹しのぶ(おおたけ しのぶ)/林芙美子役
もう一度やりたいとずっと願っていたことが、やっと叶いました。
今回は5人の新しいキャストの方々を迎えての、5度目の上演。
今この状況の世界だからこそ、多くの人に観て貰いたいと心から思うのです。
井上ひさしさんがいつも言っていた言葉「いいお芝居ですね。僕はこの芝居が大好きなんです」。
またそう言って頂けるよう、みんなでクリスマスの山形公演まで、一回一回頑張ってゆきます。
幸せです。
配役
高田聖子(たかだ しょうこ)/ 林キク役
天野はな(あまの はな)/ 島﨑こま子役
近藤公園(こんどう こうえん)/ 加賀四郎役
土屋 佑壱(つちや ゆういち)/ 土沢時男役
福井晶一(ふくい しょういち)/ 三木孝役
朴勝哲(ぱく すんちょる)/ ピアニスト
あらすじ
昭和10年、若き日の貧しくも奔放な浮草暮らしを詩情豊かに描いた「放浪記」で、華やかに文壇に登場した林芙美子。ベストセラー作家となった林芙美子の日中戦争が迫る 1935年(昭和10年)から第二次大戦を経て、47歳で心臓麻痺で急逝する戦後 1951年(昭和26年)までの16年間の軌跡をたどります。
世間の風は戦争へ突入すべく、日増しにきな臭さが強まり始めていく。芙美子が小説を書くことに行き詰まりを感じていたとき、出版した本が発禁処分されてしまう。芙美子につきまとい、金儲けを企むプロデューサー三木孝は、“戦さはもうかるという物語”と芙美子を説得し、従軍記者へと仕立て上げていく。
内閣情報部と陸軍部から派遣され、太鼓たたいて笛ふいてお広目屋よろしくふれまわる物語を書くために、シンガポールやジャワ、ボルネオを従軍した林芙美子が見たものは何だったのか…。
<こまつ座とは>
1983年、作家・劇作家の井上ひさしが座付作家として立ち上げ、翌年『頭痛肩こり樋口一葉』で旗揚げ。以降、井上ひさしに関わる舞台を専門に作り続けています。
近年の受賞作に2003年読売演劇大賞最優秀作品賞(『太鼓たたいて笛ふいて』)、2010年読売演劇大賞芸術栄誉賞(井上ひさし)、2012年紀伊國屋演劇賞団体賞 (「井上ひさし生誕77フェスティバル2012」の舞台成果)、2016年読売演劇大賞優秀作品賞(『マンザナ、わが町』)、2017年文化庁芸術祭賞の演劇部門において関東参加公演の部で大賞を受賞。2020年第5回『澄和 Futurist 賞』(顕彰事業)受賞。
その他にも受賞歴多数。
概要
日程・会場:11月1日(金)~11月30日(土)紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA
作:井上ひさし
演出:栗山民也
出演:大竹しのぶ 高田聖子 近藤公園 土屋佑壱 天野はな 福井晶一 朴 勝哲(演奏)
音楽:宇野誠一郎
美術:長田佳代子
照明:服部 基
音響:井上正弘
衣裳:宮本宣子
こまつ座公式サイト:https://www.komatsuza.co.jp
舞台撮影:宮川舞子
2025年 こまつ座新作上演
『フロイス -その死、書き残さず-』
日程・会場:2025年3月8日〜30日 紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA
作:長田育恵、演出:栗山民也
出演:風間俊介 川床明日香 釆澤靖起 久保酎吉 増子倭文江 戸次重幸