舞台『7SEEDS~春の章~』原作 田村由美×脚本・演出 西田大輔 スペシャル対談

不朽の名作漫画『7SEEDS』の舞台化『7SEEDS~春の章~』が2024年12月20日(金)から29日(日)までこくみん共済coopホール/スペース・ゼロにて上演される。『7SEEDS』は、2017年まで「月刊flowers」(小学館)にて連載されていた近未来サバイバルストーリー漫画。
2006年度(第52回)小学館漫画賞少女向け部門賞を受賞、2019年にはNetflixでアニメ化され、2024年7月時点で電子版を含めた累計発行部数は800万部を突破している。
原作者の田村由美先生と、本舞台で脚本・演出を担当する西田大輔の対談が到着。稽古場を訪れた田村先生が稽古を見た感想や西田が今作に懸ける思いを語った。

-作品を好きだと言ってくださる方の演出です!こんな幸せなことはないです。(田村由美)-

ーーお稽古をご覧になった感想を教えてください。

田村:作り始めの段階のお稽古を見せていただくことが初めてだったので、これほど綿密に、一人ひとりの気持ちに基づい
た演出をされるのかと、衝撃を受けました。西田さんが「(キャラクターたちの)心を大事に」っておっしゃってくださっていて、本当に感激です。すごく幸せな作品だと思います。ますます楽しみになりました。

ーー演じている俳優の皆さんのお芝居はいかがでしたか?

田村:皆さんもう佇まいがキャラクターたちなので、わたしは本人だと思って見ていました。素晴らしかったです。激しくやり合うシーンもあって、すごい迫力で。きっと本番では髪型や衣装などもよりキャラクターに近いものになると思うので、読者の方たちにも全く違和感なく楽しんでいただけるんじゃないかと思います。ぜひ観ていただきたいです!

ーー舞台化するにあたって、今どんなところに苦労されていますか?

西田:この絶望の場所で心情のまま動いていく勇気をきちんと描いていかないといけないというところですね。ただのサバイバルストーリーになってはいけない。そして、この世界をどう見せていくのかという作業を舞台という限られた空間の中で行っているので、想像力と心情で世界を広げていくというのがキーポイントだなと思っています。

田村:ただのサバイバルストーリーになってはいけない、というのは私も描きながら戒めていたことでした。私はうっかりするとすぐ、状況に反応してるだけになったりバタバタしたアクションのみのお話にしてしまう。人の気持ちを置いて行かないように気をつけねばと思っていました。西田さんがそこを大事にしてくださるのがとても嬉しいです。そして世界の見せ方はきっと難しいんだろうなと思いつつ、そこが楽しみでもあります。

ーー田村先生は、最初に舞台化のお話を聞いたときは、どのようにお感じになったのですか?

田村:もう驚いたり喜んだり!です。『7SEEDS』は自分としてはなかなか苦労した作品だったので、これを取り上げていただけるのが嬉しかったんです。
でもこの話をどうやって作り上げるんだろうと。長い話ですし、いろいろなチームがあるのでどこに、誰に焦点を当てるのかなって。そして登ったり飛んだり潜ったり動物が出たりする話なので…。ただ、ドラマやアニメは漫画と地続きな気がしますが、舞台って全く違っていて…。どんなものでも表現できるのが舞台ですよね。何もなくても、そこにジャングルがあって、虫がいて、それに対応する人たちが生きているという世界を描ける。とんでもないジャンルだと思ってますので、きっと壮大な景色を見せていただけると信じております。そしてそれを西田さんが演出してくださるという幸運に感謝しています。とても光栄です。

ーー先生が今回の舞台で特に楽しみにしているシーンは?

田村:全てのシーンがどうなっているのか気になります。物理的には、海や筏や虫たち花は崖を登るのか、とか柳(踏青)さんの痛い痛いシーンもそうですし、新巻(鷹弘)や百舌との出会いのシーンがどうなるのか。また心理面では、みんなが疑心暗鬼でいる序盤から絶望していく過程、それから…を俳優の皆さんがどう表現してくださるのか、そして音楽も、何もかも本当に楽しみです。

ーー原作を愛読していて、大ファンだったという西田さんですが、特に舞台で再現したいシーンはありますか?

西田:すごく難しい質問ですね(笑)。今回、『7SEEDS』を初めて舞台化するので、まずはこの世界を一つひとつ丁寧に作りたいという思いがあります。この絶望の世界に落とされた、新巻さんを含めた8人の姿に涙する瞬間がたくさんあるんですよ。一生懸命、リアルに生きている。その姿が胸を打つので、それをきちんと描いていきたいです。

田村:ありがとうございます。そんなふうに言っていただけるなんて。

西田:舞台でも「この人たちがどう頑張ってこれから生きていくんだろう」というところを見せたいと思っています。それから、とても演劇的でもある作品だと思いますし、今後登場するキャラクター含め、誰を応援したらいいか分からなくなるくらい魅力的で、どのキャラクターもその場に生きていることを描いていくためにも、この春チームの物語が重要だと思っています。

田村:春チームから始まることが大事なんですね。この話は大勢のキャラが出会って絡み合うことで動いていきます。実は、最初に『7SEEDS』を描き始めたときはそうなるとは思ってなかったんです。その前に描いてた『BASARA』での人間同士の戦いや策略を巡らすストーリーにちょっとくたびれた感があったので、 もっとシンプルな話にしようと思っていました。例えば、単純に動物が襲ってきて危ないとか、気候が異常だから避難するというような。でも、短編ならともかくそれだけでお話を作るのは無理で、気がついたら結局は人間同士がぶつかり合う話になっていました。誰が誰を救えるのかをずっと考え続けてたような気がします。

西田:『BASARA』ももちろん心の物語ということは間違いないと思いますし、先生の作品はそうしたところが胸を打つのだと思います。

田村:そうだったら嬉しいです。ありがとうございます。そういえば描き終わってから思ったんですが、『7SEEDS』には学園ものの側面があると思います(笑)。老若男女がいるわけではなく、若い同世代の人たちが同居する話でもあるので。舞台でのそういうシーンも楽しみです。

西田:どこにもない学園ものですけどね(笑)。

ーー改めて公演を楽しみにされている方にメッセージをお願いします。

西田:『7SEEDS』を舞台として作れることをとても幸せに感じています。時代を先取っていた物語でもあり、心が惹かれるものがふんだんにこの世界に詰まっています。たくさんの方に観ていただいて、この先の物語も観たいと思っていただけたら嬉しいです。

田村:西田さんはこうして芯の部分まで深く考えてくださって、もしかしたら私より世界観やキャラクターを理解して分析されてるのでは。作品を好きだと言ってくださる方の演出です!こんな幸せなことはないです。私自身、観るのを楽しみにしています。漫画を読んでくださった方にも、俳優さんのファンの方たちにもぜひ観ていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。ワクワクして待ちます!

あらすじ
巨大隕石が地球に衝突し、人類は滅亡する。
この最悪な予測に対し、政府は策を講じた。それが「7SEEDS」計画。
才能ある若い男女を選抜し、7 人 1 組で 5 つのチームを作り、冷凍保存によって人類の種を残すというものだ。
やがて、未来の世界で目覚めた若者たちは、苛烈な環境にさらされ、仲間との別れや出会いを繰り返しながら、懸命に生きようとしていた—
近未来 SF サバイバルストーリー

概要
日程・会場:2024年12月20日〜29日 こくみん共済coopホール/スペース・ゼロ
脚本・演出:西田大輔
出演:
末黒野 花:相楽伊織
雪間ハル:國島直希
角又万作:山本涼介
新草ひばり:澤田理央
鯛網ちさ:須藤茉麻
野火桃太郎:西山蓮都
甘茶藤子:藍染カレン
柳 踏青:村田洋二郎
新巻鷹弘:田口 涼
村上:佐藤たかみち
柴田:久保侑大
百舌:仲田博喜
プロデューサー:西田大輔/下浦貴敬(Office ENDLESS)
主催:舞台『7SEEDS~春の章~』製作委員会
制作:Office ENDLESS/DisGOONie

公式HP:https://officeendless.com/sp/7seeds_stage/

公式X:https://x.com/7SEEDS_stage

©田村由美/小学館/舞台『7SEEDS~春の章~』製作委員会