藤間勘十郎文芸シリーズ其の五『其噂妖狐譚ーそのうわさだっきものがたりー』が2025年2月11日に京都・18日から24日まで東京で上演される。妖しの世界を演じては当代一の女優・白石加代子と歌舞伎の演出も手掛ける藤間勘十郎がタッグを組む「妖狐譚」。シリーズがスタートから10年を迎え、今作は、美しい女性に姿を変え、悪行を重ね国を滅ぼさんとしていた金毛九尾(きんもうきゅうび)の狐をとりあげる。
中国、インド、日本などに伝わる伝説は、日本では那須野が原の「殺生石伝説」として、能「殺生石」、文楽・歌舞伎の「玉藻前」や、アニメなど様々な芸能・文学にも登場。
上演台本・演出・振付・音楽の藤間勘十郎が様々な伝説の世界に独自のエッセンスを取り入れて「妖狐譚」を作劇し、格調高く雅やかで妖しいエンタテイメントの世界へ皆さまを誘うオリジナル作品。主演・賎の女(実は金毛九尾の狐)役に、日本演劇界のレジェンド白石加代子。妲己(実は金毛九尾の狐)役には、元宝塚歌劇団トップ娘役からグランドミュージカルの出演が続く朝月希和、玄奘法師/紂王(二役)に、舞台「熱海連続殺人事件」など多くの作品で主演を務める実力派俳優、荒井敦史。さらに元宝塚歌劇団雪組トップ娘役で退団後も多数の舞台や近年は声優など活躍の幅を広げている舞羽美海。そして、朝ドラをはじめ多くのドラマや舞台、落語家・三代目/桂すずめとしても活躍している三林京子ほかが出演。妲己(実は金毛九尾の狐)役の朝月希和さんのインタビューが実現、役柄についてなどを語っていただいた。
――このお仕事のご依頼を受けた感想をお願いいたします。
朝月:すごく嬉しい気持ちです。共演者の方のお名前を拝見したときに、白石加代子さんとご一緒できるなんて!という喜びと緊張と、そんな気持ちがいり混じりました。
――三林京子さんもいらっしゃるし。
朝月:本当に豪華でまだお会いできてないんですけれども(12月取材)、一体どんなお稽古場になるのかと…期待と想像が膨らんでおります。
――演じる役柄ですけれども。妲己実は金毛九尾の狐、このキャラクターは人間じゃない。
朝月:はい、人じゃない(笑)
――考えていることがヤバい(笑)
朝月:世界を魔界にしたい、世界征服ですね(笑)
――役柄についての印象を。
朝月:金毛九尾の狐のお話は、日本では歌舞伎や文楽などでご存知の方が多くいらっしゃるので、伝説の金毛九尾の狐はしっかり責任を持って演じなければいけないなと思っております。人間じゃない、妖なので、どのようにして表現していくかはお稽古で、自分自身の課題になると…妖の空気感、ただならぬ空気をまとっていないとお客様にわからない。白石さんが演じられます賎の女、実は金毛九尾の狐の姿とやっぱり何か通じるものがないと、と思っております。そうでないと、同じ狐であることも皆様にわかりづらいので、白石さんがどう演じられるのか、お稽古からしっかりと拝見して学ばせて頂き、自分自身の中に入れて狐の役作りをしていきたいと考えております。
――そこが一番難しいかもしれないですね。
朝月:そこがキーポイントではないかと。もしかしたら今も、いえ、いつの世でも金毛九尾の狐がどこかにいるかもしれないと。お芝居が完結して終わるわけではなく、皆様に『どうですか?』と問いかけるような…この後も続いていくような作品になっておりますので、そこはすごく難しいなと思いますね。
――スタジオでの衣装撮影の写真もちょっと見せていただきました。黄色、黄金色というんでしょうか、中国では高貴な方が着るお衣装の色、かなり豪華ですね。
朝月:はい。裾も長くてレースをあしらってすごく繊細で豪華なお衣装となっておりまして…ビジュアルでは全身は写っていないんですけれども、先までとっても綺麗なお色なんです。金色を纏う、位の高い人なので、所作だったりとか…そういう美しさがありますので、
研鑚しなければと思います。他の皆様の衣装もとても色鮮やかで綺麗で豪華なので見どころになります。
――お衣装も観劇ポイントに。
朝月:全て藤間勘十郎先生がお役のイメージに合わせてお選びくださっております。中国独特の雰囲気が表現されていてすごく素敵だなと感じています。
――先ほども出ましたけども共演の方々、白石加代子さん、三林京子さんなどなかなか共演できないような方々がいらっしゃって。荒井敦史さんが「熱海殺人事件」で木村伝兵衛役で。同じ宝塚歌劇団出身で、舞羽美海さんは雪組の先輩にあたるんですね。
朝月:はい、先輩でございます。
――お稽古はこれからですけれども、共演のキャストさんについてお願いします。
朝月:まず、白石加代子さんとご一緒させていただけて、さらにまさかの同じお役、軸は同じ、狐の役を演じさせていただける、まずは、このご縁に本当に感謝しております。人生この先もうないような機会を賜りましたし、お近くでお芝居を拝見できることはこの先ないのではと。今は、お芝居の迫力とかすごいんだろうなっていう想像だけが駆け巡っていますが、お芝居されるお姿を目に焼き付けてしっかりついて行って多くのことを学びたいと思っております。そして三林京子さん、女優ですし、さらに落語家でもいらっしゃるので、難しいセリフの言い回しとかたくさんあると思いますが、そこを極めていらっしゃる方ですので、しっかりと学ばしていただきたいなと思っております。荒井さんは時代劇だったり現代物だったりと、いろんな経験をされてさまざまなお芝居をされているので、まだご挨拶しかしていませんが、実際の稽古場でお芝居、セリフのやり取りをしたときにどんなふうになるのかがすごく楽しみです。そして先輩の舞羽美海さん、現役時代は組が違っていたので、同じ舞台に立つことがなかったので、今回は同じ舞台でお芝居させていただけるのは楽しみです。同じ宝塚出身、同郷ですごく頼もしいですし、私も信頼しておりますので、美海さんからも多くのことを学んで、この作品に取り組んでいきたいなと思っております。
――稽古が楽しみですね。
朝月:すごい楽しみです。緊張と楽しみがせめぎ合ってます。
――最後になりますけれども公演PRを。
朝月:題名を見ただけだとちょっと難しいかなと感じる方が多くいらっしゃるかもしれませんが、金色九尾の狐の伝説は世界でも日本でも語り継がれている物語ですので、日本人にも親しみやすい作品となると思います。そして何より藤間勘十郎先生のご演出で老若男女問わず楽しんでいただける作品ですので、固く考えずに新年ちょっと舞台を観て楽しみたいなという皆様、2月京都、そして東京にお越しいただけたら嬉しいです。
――藤間勘十郎さんの演出楽しみですよね。九尾の狐は妖怪系のゲームに出てきそうなキャラクターですし。
朝月:はい。見やすくわかりやすい作品だと思いますので、皆様ぜひご期待くださいませ。
――ありがとうございました。公演を楽しみにしています。
物語
玄奘法師は、元は猟師の十作と言ったが最愛の妹を妖怪に殺され、その死別により出家した。修行の旅の途中、那須野ケ原で道に迷い、俄かに見えた一ツ家に一夜の宿を借りる。
そこの主が一夜のなぐさみに、糸繰りの唄にのせ、妖怪の話を語り始める。
―――時は殷王朝末期。皇帝紂王の弟・薄雲は王朝を我が物にするため、兄・紂王に人心を乱すと噂のある、天竺の国の秘宝花陽夫人の姿絵を見せる。紂王はその絵の術にかかり心奪われ絵姿の女を求め逐電してしまう。
側臣・費仲は薄雲の行いを「謀反」と言いたてた為、追放されてしまう。
一方、松江の浜にある殺生石まで来た紂王は、その石が割れて中より絵姿に生き写しの女が現れ「妲己」と名付けて館に連れ帰る。
そんなある日、追放となった費仲の夢枕に観世音菩薩が立つ。今の紂王は妲己の言いなりで悪政を行っていること、そしてその妲己こそ実は金毛九尾の狐で、薄雲と結託してこの国を我が物にしようと企んでいる事を告げられる。さらに、その妖力を破るのに必要な「獅子王の剣」を費仲に授け、もう一つの「水神の鏡」は王宮にあるが妖力によってその力が弱っており、龍の年月揃った夫婦の血を注げば光を取り戻し、必ず妖魔を退治できることを告げられて…。
公演概要
藤間勘十郎文芸シリーズ 其の五『其噂妖狐譚』ーそのうわさだっきものがたりー
上演台本・演出・振付・音楽:藤間勘十郎
製作:アーティストジャパン
出演:白石加代子
朝月希和、荒井敦史、沢栁優大、白勢未生、冨岡健翔、舞羽美海/三林京子
◆京都公演:2025年2月11日(火・祝) 12:00/16:00 京都芸術劇場 春秋座
料金:S席9,500円 A席7,500円(税込・全席指定)
◆東京公演:2025年2月18日(火)~24日(月・祝) あうるすぽっと
料金:9,500円 A席8500円(税込・全席指定)
チケット発売中
お問合せ:アーティストジャパン
03-6820-3500
HP:https://artistjapan.co.jp/sonouwasadakkimonogatari_2025/
X:@aj_fk_bungei
https://x.com/aj_fk_bungei
聞き手・構成:高浩美