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幅広い音楽性や明るく親しみやすいキャラクターで、老若男女問わず、多くの世代に支持されるエンターテイナーとして活躍している吉幾三が明治座に2年半振りに登場。第一部は吉幾三自らが原案と音楽を担い、人形町が舞台の人情喜劇「人形町『末っ子(おとんぼ)物語』」を上演。
第二部では「酒よ」「雪國」「酔歌」など数々の名曲を世に送り出してきた吉幾三の歌の世界「吉幾三オンステージ 冬から~春爛漫へ」の二部構成。
初日に先駆けて第一部の公開稽古が行われた。
最初のシーンは人形町の呉服屋「はせがわ」。春野陽子(芳本美代子)、番頭・多田幸一(前田耕陽)ら、この呉服屋にお勤めしている面々が次々と登場。陽子はしっかり者、幸一はなかなかの接客上手、うますぎてマダムから人気がある様子。雑用係の井田源(いぐち武志)は、仕事が上手いというわけではなさそうだが、ちょっとした仕草が笑える、「はせがわ」のお笑い担当(笑)。新人の新条美姫(新谷姫加)は一見おとなしそうだが(笑)。この物語の主人公・長谷川四郎(吉幾三)、見た目がインパクトあり(笑)、独特の髪型が」なんとも言えない風情。
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ここの主人は長谷川長吉(曽我廼家文童)、四郎の兄二人は独立している。次男は長次郎(江藤潤)、三男は長三郎(小林功)、この呉服屋「はせがわ」のいつもの日常が、次男と三男がやってくることによってさざなみが立ち始める。また長吉は高齢故に店を続けるのか、どうするのか…。
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人情喜劇と銘打っているので、バッド・エンドにはならないのはお約束。この主要な登場人物たち以外もインパクトのある人たちが(笑)。怪しげな経営コンサルタントに金融会社、長次郎と長三郎の妻はド派手、舞台上は常に賑やかで小ネタのオンパレード。吉幾三のエプロン姿が可愛い!
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途中で登場する謎のオタクに幸一を触りまくるマダム、最初に台詞で出てくる店は実際に人形町にある有名店(森乃園、芳味亭、双葉)、これを機会に実際に行ってみるのも一興。最後の最後のオチは満塁逆転ホームラン級。上演時間はおおおよそ85分程度。休憩をはさんで「吉幾三オンステージ 冬から~春爛漫へ」となる。
なお、公演限定「青森×人形町の縁弁当」が販売されるので、幕間のお弁当はこれでキマリ。
公開稽古の前に簡単な会見が行われた。登壇したのは、吉幾三、芳本美代子、江藤潤、前田耕陽、新谷姫加、小林功、曽我廼家文童。
Q:役柄・意気込みを教えてください。
吉幾三「私は四男坊で、ちょっと変わっているアホの役です。意気込みはあるんですけど、(まだ台詞が入ってないので)たどたどしいかも…。いろいろと助けてもらってます。私が一番しっかりしなきゃいけないんだけど、役柄がしっかりしていないもので、そのまま演じているので…。見どころは三場です。私が出てないので(笑)。」
芳本美代子「私は呉服屋「はせがわ」先代の番頭さんの娘で、今はその呉服屋で働いています。吉さん演じる四郎さんとは幼馴染の関係です。前回の明治座も、吉さんの座長公演に出演させていただいて、またご一緒させていただけることを嬉しく思っています。頑張ります。」
江藤潤「私は長谷川家の次男坊・長谷川長次郎という役をやらせていただいています。長男・長太郎が早くして亡くなったので、小さいころから長太郎の代わりのような気持ちでやっております。いい青年でいたいのに、三男と四男を目の敵にして意地悪している、そんな役柄です。最終的には四郎(吉幾三)に助けられて…という。楽しくやらせていただいております。」
前田耕陽「呉服屋「はせがわ」の番頭をやらせていただいております。人形町界隈のマダムたちに言い寄られて困っているという役柄でございます。」
新谷姫加「私は、呉服屋「はせがわ」の新人店員でして、「はせがわ」が経営の危機という時に、イベントをやろう!となるのですが、その時に大活躍する役です。光栄な役をいただいたので精一杯頑張りたいと思います。」
小林功「私は吉さんのお兄さん、長谷川長三郎をやらせていただきます。長三郎はわがままで自分勝手な男なんですが、最後に四郎(吉幾三)に助けられて目を覚ますという役でございます。意気込みとしては一生懸命、吉さんに意地悪をしていきたいと思っています。」
曽我廼家文童「こういう息子4人を育てた役なので、一番罪が重いと思っております(笑)。自分の女房を早くに亡くしてしまって、子供も甘やかした結果が、こういう気ままな子供たちを作ってしまった。その中でも気が優しくて、喧嘩をしながらでも兄弟のことを陰で思いながら、父親のことも心配してくれている息子(四郎)が、最後みんなの目を覚まさせてくれる、そんなありがたい役だと思っています。なんとか千穐楽まで仕上げて行きたいと思っております。」
Q:(吉幾三さんへ)お稽古期間が短かったようですが、大丈夫そうですか?
吉幾三「それは…大丈夫じゃないと思います。(笑)千穐楽にはきちっといい芝居になっていると思います。」
Q:(吉幾三さんへ)2年半ぶりの明治座、今のお気持ちはいかがですか。
吉幾三「芝居だけだったらいいんですけど、歌はあんまり好きじゃないので…(笑)明治座は、幕が開いてから歩いてきても間に合うような距離に住んでいます(笑)。楽しみです。」
Q:(吉幾三さんへ)今回のお芝居の舞台となる「人形町」への思い入れはありますか?
吉幾三「自分が人形町の知っているところを書かせていただきました。今回のお芝居は人形町の活性化のためにも良いのではないかな、と思います。お芝居にも出てきますが、人形町には、森乃園さんというお茶屋さんがあります。その横に双葉っていうお豆腐屋さんがあります。その目の前に芳味亭というレストランがありますので、ぜひ寄って行ってください。」
Q:(芳本美代子さんへ)カンパニーへの雰囲気はどうですか?
芳本美代子「座長が気を遣ってくれるので、毎日おいしいものをいただきながら…とても楽しい座組です。」
Q:(曽我廼家文童さん、新谷姫加さんへ)吉さんの公演に初出演のお気持ちはどうですか?
曽我廼家文童「こういう天才の方と付き合えるって幸せだな、と思う反面、さてどうしたもんやろうなあ…という気持ちです。稽古場に入ってからも座長(吉幾三さん)が気を遣ってくれているのがわかる。こっちが気を遣わなきゃいけないのに…申し訳ないなと思っています。」
新谷姫加さん「私も青森出身なので、青森の大スター・吉幾三さんとずっとお会いしてみたかったんです、こうやってお芝居ができることが光栄です。変に緊張せずにお芝居することができております。頑張りたいと思います。」
Q:(吉幾三さんへ)最後に見どころを教えてください。
吉幾三「親子愛や兄弟愛だったり、周りが助けてくれる呉服店「はせがわ」、地域のかかわり方を描いていて、そういうところが人情喜劇かな、と。たくさん笑っていただき、なるほどなと思っていただき、最後は絶対に泣いていただきます。ハンカチ忘れずにもってきてください(笑)。」
あらすじ
人形町の呉服屋「はせがわ」の主人・長谷川長吉(曽我廼家文童)には、妻・初枝との間に四人の息子がいた。次男の長次郎(江藤潤)、三男の長三郎(小林功)は、それぞれ自分で事業を興していて、末っ子の四郎(吉幾三)が家に残って店を手伝っている。しかし、“おとんぼ(末っ子)”の四郎は、町内でも変わり者で通っていて、いつも周囲の者たちをハラハラさせているのだった。
それでも店には、客あしらいが巧みな番頭・多田幸一(前田耕陽)、しっかり者の先代番頭の娘・春野陽子(芳本美代子)、おっとりしているが、なかなか抜け目のない新人・新条美姫(新谷姫加)達がいて、四郎を盛り立てながら長吉を支えている。
近頃、体調が思わしくない長吉は、いよいよ店をたたもうと決意する。それに対して四郎は、陽子の助けを得て、この難局に立ち向かおうとするのだが……。
概要
『吉幾三特別公演』
日程・会場:2025年2月7日〜2月24日 明治座
第一部「人形町『末っ子(おとんぼ)物語』」
潤色・演出:岡本さとる
出演:吉幾三 芳本美代子 江藤潤 前田耕陽 新谷姫加 小林功 / 曽我廼家文童
第二部「吉幾三オンステージ 冬から~春爛漫へ」
構成・演出:吉幾三