藤間勘十郎文芸シリーズ 其の五『其噂妖狐譚』ーそのうわさだっきものがたりーが2月18日より、池袋あうるすぽっとにて開幕。
宗家藤間流の家元をつとめる舞踊家、歌舞伎の演出家として活躍する藤間勘十郎が上演台本・演出・振付・音楽を手掛け、文学に古典芸能のエッセンスを取り入れ作劇する本シリーズ。この『其噂妖狐譚』では伝説の九尾の狐や妲己を取り上げている。
主演・賎の女(しずのめ)実は金毛九尾の狐役には白石加代子、妲己(だっき)実は金毛九尾の狐役・朝月希和、玄奘法師（げんじょうほうし）／紂王(ちゅうおう)役・荒井敦史、そして側臣 費仲（ひちゅう）役・冨岡健翔、費仲の妻 張楊（ちょうよう）役・舞羽美海、さらに妲己乳母 胡喜媚（こきび）実は妖怪雉鶏精（ちけいせい）・三林京子ほかが出演。 当代の名優と元宝塚歌劇団娘役トップスター女優の顔合わせ、若手実力派俳優という歌舞伎俳優ではなく、現代演劇の俳優達が演じる歌舞伎作品に。
音楽、キャスト（白勢未生）が通路から登場し、前説を。それから賎の女（白石加代子）と玄奘法師（荒井敦史）が登場し、賎の女が「はるか昔」と語りだす。場面は変わり、宮廷に。舞台上で荒井敦史が紂王に早変わり。それから、摩訶不思議な物語が始まる。時は殷王朝末期、考古学的に実在が確認されている中国大陸最古の王朝、史実では王朝最後の帝辛（紂王）は即位後、妃の妲己を溺愛し暴政を行ったとされ、そして周に滅ぼされる。もちろん、この物語はノンフィクション、その妃の妲己が実は金毛九尾の狐（朝月希和）だったという設定。その絵姿に心奪われ、絵にそっくりの美しい女が現れて…というのが物語の流れ。
歌舞伎の所作が流麗で美しい。台詞回しもたおやかな中にもリアルが感じられる。登場人物の感情がエモーショナル、側近である費仲（冨岡健翔）、正義感と真っ直ぐさが清々しく、朝月希和の妲己(だっき)実は金毛九尾の狐、怪しげな微笑み。妖怪雉鶏精（三林京子）、立ち回りも見せるが、かなり強い！
可憐な張楊（舞羽美海）、そして2役を演じる荒井敦史、舞台映えする長身、2幕では難しい”人形振”にも挑戦、演技の幅を広げた。また、悪巧みをする弟・薄雲（沢栁優大）、いかにも悪そうな風情。
20分の休憩を挟んだ2幕もの。日本舞踊の動きもあり、日本の伝統芸能の良さを改めて感じさせてくれる。また、通路を使った演出を多用、通路側に座ったなら、俳優陣の迫力の演技が間近で！歌舞伎はなかなか敷居が高いと思って躊躇いがちな方でも気軽に観られる演目。豪華で凝った衣装も見どころ、公演は24日まで。
＜朝月希和インタビュー記事＞
藤間勘十郎文芸シリーズ其の五『其噂妖狐譚ーそのうわさだっきものがたりー』妲己(実は金毛九尾の狐)役 朝月希和インタビュー
物語
玄奘法師は、元は猟師の十作と言ったが最愛の妹を妖怪に殺され、その死別により出家した。修行の旅の途中、那須野ケ原で道に迷い、俄かに見えた一ツ家に一夜の宿を借りる。
そこの主が一夜のなぐさみに、糸繰りの唄にのせ、妖怪の話を語り始める。
―――時は殷王朝末期。皇帝紂王の弟・薄雲は王朝を我が物にするため、兄・紂王に人心を乱すと噂のある、天竺の国の秘宝花陽夫人の姿絵を見せる。紂王はその絵の術にかかり心奪われ絵姿の女を求め逐電してしまう。
側臣・費仲は薄雲の行いを「謀反」と言いたてた為、追放されてしまう。
一方、松江の浜にある殺生石まで来た紂王は、その石が割れて中より絵姿に生き写しの女が現れ「妲己」と名付けて館に連れ帰る。
そんなある日、追放となった費仲の夢枕に観世音菩薩が立つ。今の紂王は妲己の言いなりで悪政を行っていること、そしてその妲己こそ実は金毛九尾の狐で、薄雲と結託してこの国を我が物にしようと企んでいる事を告げられる。さらに、その妖力を破るのに必要な「獅子王の剣」を費仲に授け、もう一つの「水神の鏡」は王宮にあるが妖力によってその力が弱っており、龍の年月揃った夫婦の血を注げば光を取り戻し、必ず妖魔を退治できることを告げられて…。
概要
藤間勘十郎文芸シリーズ 其の五『其噂妖狐譚』ーそのうわさだっきものがたりー
上演台本・演出・振付・音楽：藤間勘十郎
製作：アーティストジャパン
出演：白石加代子
朝月希和、荒井敦史、沢栁優大、白勢未生、冨岡健翔、舞羽美海／三林京子
◆京都公演：２０２５年２月１１日(火・祝) 12:00／16:00 京都芸術劇場 春秋座
料金：S席9,500円 A席7,500円（税込・全席指定）
◆東京公演：２０２５年２月１８日(火)～２４日(月・祝) あうるすぽっと
問合せ：アーティストジャパン
03-6820-3500
HP：https://artistjapan.co.jp/sonouwasadakkimonogatari_2025/
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https://x.com/aj_fk_bungei
