
ハジケ・る ポップコーン一座『テイ・る オブ ナイトメア』〜不思議の国の給仕係〜が開幕。
切ない愛のミュージカル、愛を探す魔法使い養成学校の生徒たちのコント、愛を手に入れたいサイコパス殺人犯、不思議の国の給仕係がアリスと紡ぐ3つのオムニバスストーリー。
本作は、る・ひまわりが新たに立ち上げた「ハジケ・る ポップコーン一座」による1作目。笑って泣ける「祭」シリーズなどを手掛け、大盛況の内に幕を閉じた『革命 もえ・る剣』が記憶に新しいる・ひまわりが次に挑むのは、ファンタジー世界で紡がれる「愛」をテーマにしたオムニバス演劇。
日替わりゲストのアリスを迎えて送るオープニング「不思議の国の給仕係」&日替わりのエンディングを手掛けるのは、大倉孝二と共に「ジョンソン&ジャクソン」というユニットでも活躍するブルー&スカイ。猟奇的な殺人をおかした青年を描くコント「悪魔との面会」を手掛けるのは、お笑いコンビ「かもめんたる」として2013年のキングオブコントで優勝を果たし、2020年、2021年と続けて岸田國士戯曲賞最終ノミネートされた「劇団かもめんたる」主宰の岩崎う大。そして15世紀頃のルーマニアで生きる切ないヴァンパイアのミュージカル「ルシアン」を手掛けるのは、る・ひまわりの祭シリーズのミュージカルなどで主演の相葉裕樹とタッグを組み、「パタリロ!」から映画「たべっ子どうぶつ」の脚本までジャンル問わず幅広く執筆を行い活躍する池田テツヒロ。冒険コント全寮制の魔法学校で魔法使いを目指す男子たちを描いた「とけろ魔法」を手掛けるのは、キングオブコント2021王者で、個性的なキャラを生かした独特な世界観が人気のコンビ「空気階段」、水川かたまり。演劇界大注目の豪華作家陣による共作は大きな見どころ。
演出は劇団「拙者ムニエル」に旗揚げより参加して以降、看板俳優として全ての公演に出演するほか、脚本や演出、映画監督、絵本製作と幅広い活動を見せる加藤啓が担う。演じる側と制作側、両方の経験による多角的な視野から一座をまとめる。
「愛」には様々な形があり、双方が愛し合っていればそれは正しく心を潤すものになり、何かが歪めば「苦しい」ものになる。コロナ禍以降、”孤独“を抱える人も増えたかもしれないこの現代で、人間が生きる上で必要不可欠な「愛」をテーマに、恋人との美しい「愛」、家族からの「愛」、少し歪んだ「愛」、執着の「愛」など、様々な”いききった“「愛」を、時に弾けすぎて笑ってしまうほど、時に弾けすぎて引いてしまうかもしれないほど、時に爆笑で泣いてしまうほどの「愛」が詰まった物語を。
3つの個性豊かなストーリーの入り口としてオープニングが。そして出口としてエンディングが用意。
外からやってきた日替わりゲストが、この世界の「案内人」と共に不思議の世界に入り込み、3つの世界を回っていく。いくつもの「愛」の果てでたどり着く、この物語のエンディング。
エンディングは2つ用意。ゲストが辿ったルートによって「ハッピーエンド」になるか、はたまた予測がつかない「ミラクルエンド」になるのか。日々どのエンディングを迎えるかが変化する、たくさんの「仕掛け」を施した舞台となる。
全く違う3つのオムニバスストーリーとなるため、出演者たちはそれぞれに様々な重要キャラクターとして登場します。時にはサイコパスな殺人犯であり、時には身分違いの恋に身を焦がす青年であり、ミュージカルもあり。
主演は相葉裕樹。共演に須賀健太、丘山晴己、横山賀三、村上純、坂田聡、オレノグラフィティ、紫吹淳。実力派俳優たちが「サイコパスな殺人犯」や「身分違いの恋に身を焦がす青年」など、ふり幅のあるいくつもの役柄に挑む。
開演前、風の音、雷鳴、いかにも”森の中”といった音が流れ、それから始まる。紫のシルクハットを被った不思議の国の給仕係(相葉裕樹)が客席通路から登場する。「ここは森の中…嵐が近づいているかもしれない」と呟く。館、しかも古びている、そこへ旅人(須賀健太)がやってくる。「母が不治の病で」「薬草を探しているのです」何かが起こりそうな予感がするも、なぜか会話が…(笑)。旅人は「確定申告に憧れています」など意味不明なことを、客席から笑いが起こる。「母は激辛料理を食べて胃が痛いと」給仕係は胃薬を渡す…(なんのこっっちゃ状態)。のっけから笑える会話、そこへ、一人の男がやってくる。彼はアリス(日替わりゲスト。ゲネプロでは伊藤裕一)、注文した料理がハンバーグ定食(笑)、だが、作れないという給仕係。会話が可笑しいので、ここはよく聞いて笑うところは大いに笑いたい。そしてお約束のうさぎ(加藤啓)が登場し、期待通りに穴に落ちるアリス。ここから不思議な物語が展開していく。
Episode1は「とけろ魔法」、どこかで見たような制服姿の学生、カエル姿のアイバル(相葉裕樹)、同級生と思しきスーガ(須賀健太)とカエザ(横山賀三)、雑談。
そんなこんなのEpisode1、紫吹淳が校長先生!しかも生徒たちから「オババ」と呼ばれ、いちいち怒って魔法を!オチはオチるところに落ちるのだが、そこに至る過程が面白おかしく。世界的大ヒットの某舞台の格好がなんとも言えず(笑)。
ちょっとした寸劇の後、Episode2は「悪魔との面会」、これもどこかで見た様な取り調べ室、カツ丼は出てこない(笑)。
殺人犯として取り調べを受ける青年、彼の名は丹羽(相葉裕樹)、刑事はナベ(須賀健太)とハン(坂田聡)、二人のやり取りも去ることながら、この容疑者の取り調べがシュールな展開、ここは劇場で。
次のエピソードに行く前に寸劇、ちょっとした時間なのだが、ここがなかなかに面白い寸劇に仕上がっているので!
Episode3はミュージカル『ドラキュラ・ルシアン』。ドラキュラといえば、”血を吸う、歳取らない”。いつまでも歳を取らない王と年月を重ねてそれなりに歳をとる女王、そして剣の腕が立つ将校。ミュージカルなので歌唱力を見せつけるキャスト、しかも殺陣もあるので、なかなか動きのある場面が多い。
そしてドラキュラなので、ダークな雰囲気、愛と哀しみ、観る者の心をキリキリさせる展開。
オープニング、3つのEpisode、全て脚本家が違うので、全てまったく異なる”味付け”、食べ物に例えると”豪華幕の内弁当”のような、あるいは手の込んだコース料理のような、そんな印象を受ける。ガッチリとお腹いっぱいになれる作品、今月の30日まで。
コメント
・相葉裕樹
いよいよ初日の幕が上がります。ここまでスタッフ、キャストの皆さんと力を合わせ、一つ一つ丁寧に作り上げてきました。
クセの強いキャラクターたちが暴れまわる、不思議でハチャメチャな世界。そして、ついに物語はほぼ完成しました。
ほぼ? そう、まだ足りないんです。この作品の最後のワンピースは客席に座る皆さんの「笑い声」。「え、なにこれ?」
「なんでそうなるの?」「……いや、でもちょっと面白いな」「ぐふふふ」そんな、じわじわくる笑いがこの物語を完成させます。
僕らも最後まで、この妙な世界にどっぷり浸かります。なので、皆さんも 「考えるより、感じる」 くらいの気持ちで、不思議な世界を一緒に楽しみましょう!
・須賀健太
『テイ・る オブ ナイトメア』ついに開幕です!
今日まで稽古を重ねてきましたが、一作品ごとに本当に違う世界観になっていて”オムニバスすぎるオムニバス”となっております。笑
更にここにゲストの皆さんのエネルギーが加わると思うと今からワクワクしております。
不思議の国の世界をぜひお楽しみください! 劇場でお待ちしております!
・丘山晴己
オムニバス作品に初挑戦します!個性的な世界観と素敵なキャストでお届けする本作は、コメディ要素がありつつも演劇としての魅力を大切にし、絶妙なストーリーの繋がりを楽しめる作品です。
初日のお客様との化学反応が楽しみです!千秋楽まで全員で駆け抜けられるよう頑張りますので、よろしくお願いします!
・横山賀三
お客様の反応が未知でとてもワクワクしています。コント、ミュージカル含め全く違った色を持った3つのコメディを新鮮な気持ちで楽しんで頂けたらと思います。稽古場ではニヤニヤが止まらない日々でした。
僕自身も毎公演で生まれる空気を楽しんで千秋楽までぶつかっていこうと思います!!
・オレノグラフィティ
本作はすべて『愛』をテーマにした物語だと、稽古初日と最終日に演出の加藤 啓さんが仰いました。悲劇と喜劇は表裏一体と言いますが、ポップで軽快なコメディにも、ダークで悲壮的なドラマにも、奥底には多種多様な『愛』が流れていることを感じていただける作品になったと思っております。人と人との繋がりを強く持たなければ、笑いも悲しみも産まれない。そして繋がるための大きな衝動は『愛』でしかないのだと、稽古を通して毎日訴えかけられておりました。あとは観ていただける皆様の『愛』と劇場で深く繋がれることを楽しみに、初日を迎えたいと思います。どうか日常の全てを忘れてお楽しみください。
・村上純(しずる)
ばっち(相葉くん)が僕を指名で呼んでくれたこと、そしてそのお陰でこのカンパニーに参加させてもらえていることに、稽古期間を経て改めて心より感謝しています。
キャスティングの時点でその作品の良さはほぼ決まってくる、みたいな考え方を見聞きしたことがあるんですが、まさにそれを今回の共演者の皆さんとの稽古を通して痛感しています。 振り返ると、スタッフさんも含め稽古場にいる全員が同じトーンで作品作りの楽しさを共有していたように思います。 おかげさまで変な遠慮など一切せず、皆さんとコミュニケーションを図れたと勝手に思っています。そのベースとして、演者みなさんが各々個人で緊張感を持っていたから、根底でのお互いへのリスペクトが感じられたからだと思います。 その結晶として、本番ではお客さん皆さんに演劇でもコメディーでもコントでもない、恐らく観たことのない不思議で面白い舞台を届けられると思っています。
・坂田聡(ジョビジョバ)
全ての稽古を終え充実してこの日を迎えました。素晴らしい作家陣の脚本を元に、稽古場で考え抜きました。バリエーションに富んだ楽しい作品になったと思います。前知識なく見ていただいても大丈夫です。とても楽しい仕上がりになったと思います。
本番が楽しみです。さあどうなることやら。劇場でお待ちしております。
・加藤啓
演出とウサギ役を担当します。
相葉くんをはじめとするキャスト、そしてスタッフが、面白い作品にするために愉快に誠実にトライしてくれて、豊かな稽古の日々となりました。誰も見たことのない演技体を突然見せてくれたり、僕の意図を分かりやすくフォローしてくれたり、短期間で思わぬ変化をしたり、あるシーンの大きなアイデアを出してくれたり、嬉しい瞬間がたくさんありました。
オムニバス公演なので、皆さん複数の役をやりますが、色んな人物を愛を持って生きてくれて、僕は稽古中ずっと飽きずに笑って心動かされてきました。さらに頼もしい日替わりゲストも登場します。本番が本当に楽しみです。是非観て下さい。
・紫吹淳
今回、俳優・紫吹淳としてある意味初めての扉を開けております。
今年の初仕事がテレビ朝日の池田テツヒロさん脚本の『家政婦のミタゾノ』から始まり又すぐにこの様な機会を頂き不思議なご縁を
勝手に感じています。新たな扉を模索しながら開けたその扉が皆様にどう映るかドキドキです。
お笑い、コントと全くわからない世界でもがきながら開けたその扉の先に何があるのか…。
是非、その姿を沢山のお客様に劇場で見届けて頂けましたら幸いです。そして、その紫吹淳が皆様にどう映るのか…。
こっそり教えてくださいませ~笑。その回答を聞くのも怖い気もしますが、この素敵なご縁を頂戴して私自身も楽しみながら公演に臨みます。劇場で…お待ちしております。
物語
オープニング:不思議の国の給仕係
脚本:ブルー&スカイ
「不思議の国のアリス」のような世界。
アリス(日替わりゲスト)は、「案内人」に連れられて、不思議な世界にやってくる。
そこには愉快な帽子屋を筆頭に、個性豊かな人物たちがたくさんいて…
Episode1:とけろ魔法
脚本:水川かたまり(空気階段)
全寮制の魔法学校で魔法使いを目指す男子たち。しかし勉強そっちのけで、コイバナに真剣。
ことごとくくだらないことに魔法を使ってしまい…。
Episode2:悪魔との面会
脚本:岩崎う大(劇団かもめんたる)
猟奇的な殺人事件の犯人として取り調べを受ける青年の言い分とは…。
Episode3:ミュージカル『ドラキュラ・ルシアン』
脚本:池田テツヒロ
青年将校といつまでも歳をとらない王。
そして歳を重ねていく王妃。彼らの行きつく先には―
エンディング
脚本:ブルー&スカイ
アリスが不思議の国から目覚める時間。
結末は2つ。アリスが夢から覚めた時、感じた「愛」とは―
概要
公演名:ハジケ・る ポップコーン一座 『テイ・る オブ ナイトメア』〜不思議の国の給仕係〜
日程:2025 年 3 月 21 日(金)〜3 月 30 日(日)
会場:I’M A SHOW
脚本:岩崎う大(劇団かもめんたる)、池田テツヒロ、水川かたまり(空気階段)、ブルー&スカイ
演出・出演:加藤啓
音楽:オレノグラフィティ
出演:相葉裕樹、須賀健太、丘山晴己、横山賀三、村上純、坂田聡、オレノグラフィティ、紫吹淳
日替わりゲスト:伊藤裕一、広井雄士、前川優希、鯨井康介、松田岳、spi、村井良大、上口耕平、平野良、内藤大希(出演日順)
オフィシャル HP:http://tale-of-nightmare.com/
問い合わせ:る・ひまわり info@le-himawari.co.jp
主催:る・ひまわり