
タクラボ第4弾『裏切り者に愛をこめて』、東京・⾚坂 RED/THEATERにて開幕。
タクラボとは、脚本家・演出家・役者でタクフェスを⼿掛ける宅間孝⾏が、原点に返り、⼩劇場という濃密な研究室にお客様をお迎えし、実験的な物語をお届けすることを⽬的に始まったプロジェクト。
今作のタクラボ第4弾公演は、宅間孝⾏新作書き下ろしの爆笑必⾄、ノワールコメディ。出演は宅間と、タクラボ常連の阿部⼒、ハマカーン浜⾕健司に加え、オーディションを勝ち抜いた3⼈の⼥性陣。なお、Noir(ヌワール、ノワール、ノアール)とはフランス語で黒という意味。
開演前、宅間孝行扮するヤクザの組員・さとるが、公演グッズを販売。役柄がヤクザなので、ヤクザっぽく紹介。販売している帽子を「ティファニーの帽子、50000円、安くして3000円」と言ってみたり。金額がぼったくり(笑)、早くも掴みはOK。それから出演者の紹介。最後に「下品極まりない奴らが大活躍!」と締めて”本編”が始まる。
舞台上はヤクザの組長の別宅、飾ってある絵画が高そう。そこにいるのは、さとる(宅間孝行)。。冷蔵庫から勝手にビールを出して美味しそうに飲む。細かい仕草からして笑える。そもそも組長の別宅で勝手に冷蔵庫……。そこにやってきたのは黒沢巌(浜谷健司)、若頭。さとるは途端に背筋を伸ばす。「飲んだんだろう」「飲んでないです」、この二人のヤクザの会話がクスッと笑える。ヤクザで「パワハラ禁止」とか……さりげなく時事ネタを。そして若い女性がやってくる、だらしがない歩き方、ジュリア(牧田優希)、キャバ嬢で組長の愛人。このジュリア、さとるにアプローチしたかと思いきや…さとるは「あんなくそ女に心持っていかれるなんて(怒)」。
そこへ派手な、高そうな着物を着た女性が登場、黒沢、さとるの態度が畏まって…組長の妻・成田美津江(魚谷尚代)、登場した途端に空気が変わる。それから日が暮れて夜。怪しい人影、2名、黒ずくめ、帽子、マスク。手には棒やらバットやら。どう考えても強盗なのだが、ちょっと腰が引けてる感が。しかもこの二人、知り合いではなさそう。いかにも気の弱そうな善人にしか見えないゴクウ(阿部力)と若い女・ツユ(西堀文)闇バイトに応募した二人、それぞれ言えない事情を抱えて闇バイトに手を出した様子。”強盗初心者”居間で寝ていたさとるにあっけなく見つかってしまう。
強盗に押し入った二人の顔を確認するさとる、ゴクウの顔を見て「!!!」。まさかの!斜陽なヤクザの家に強盗しにきた二人組と別宅にいる、ヤクザな人々の出会い、そして関わり、関係、物語は思わぬ方向へ転がり出していく……。
ノワールコメディと銘打っているので、とりあえず、バッドエンドにはならないので!だが、想定外の関係性や出来事、後半はすったもんだの展開に。「そうくるか」という場面もあり、スリリングでありながら、細かい笑いを挟み込んでくるので、ドキドキしながらも笑ったり。
ちょっとほっこりする瞬間もあり、ノンストップの1幕もの。情けない雰囲気のゴクウ、阿部力が演じているのだが、闇バイトに手を出した理由が泣ける。また、浜谷健司は若頭なので、凄んだり、大声で威嚇したりする態度、なぜか怖くない(笑)、そこがまた味わい深いところ。オーデションで選ばれた3人、組長の妻の魚谷尚代、振り切った演技で圧の強い組長の妻を演じる。
とんだ食わせ者感漂う愛人・ジュリア、牧田優希、出番は少なめだが、爪痕を残す。西堀文演じる闇バイトに手を出す女性・ツユ、後半、「え?」という正体が明かされるが、それまではどこにでもいそうな平凡な女性、だが、”平凡”は難しく、微妙な匙加減で演じる。
闇バイト、ヤクザ、この言葉だけ聞くとダークな印象だが、そこをコメディにして笑いに変える。下品で癖のあるキャラクターしか出てこない今回のタクラボ、極悪人はいない。時事ネタ、現代的な問題を織り込み、エンタメに。東京公演は20日まで。その後は名古屋にて23日のみ1公演、大阪にて25日〜27日、そして29日福岡にて大千穐楽を迎える。なお、公演パンフレットには「シノギ」「半グレ」「カタギ」「タタキ」などの用語解説が掲載、お上品なお客様は、用語をチェックしておくとわかりやすいかもしれない(笑)。
物語
闇バイトで〈タタキ〉強盗をする事になった気弱な男〈ゴクウ〉と平凡を絵に描いたような若い女〈ツユ〉。お互いの素性も知らない2人が指示役に言われるがままに押し入った先は、なんと!ヤクザの組長の別宅だった!
仁義なき裏切りの世界へ足を踏み入れたお間抜けな2人の運命は!?宅間孝行が描く笑いと涙のノワール•コメディ!!
<第一弾>
<第二弾>
<第三弾>
概要
公演タイトル:裏切り者に愛をこめて
日程・会場:
東京
2025年4月15日〜20日 赤坂赤坂RED/THEATER
名古屋
2025年4月23日 メニコンシアターAoi
大阪
2025年4月25日〜27日 近鉄アート館
福岡
2025年4月29日 ぽんプラザホール
作・演出:宅間孝行
出演:阿部力 浜谷健司(ハマカーン)
魚谷尚代 西堀文 牧田優希 / 宅間孝行
照明:山田真輔 / 美術:向井登子 / 音響:野中明・高松祐太
音楽:コトブキミュージックラボ
舞台監督:仲里良
制作:CHAMO ・三村楽・加藤千紘
製作 :タクラボ
公式SNS
X:@Takuma_new2023
Instagram: takuma_ laboratory
次回のタクラボ第五弾は2026年5月、あの映画が舞台に!
そして恒例のタクフェスは11月、名作『くちづけ』。