架空畳 第20回公演 量子探偵 ミンコフスキー密室/レムニスケート消失

架空畳、19年目の第20回公演は座・高円寺1にて『量子探偵』シリーズの新作2本立て公演を行う。『量子探偵』は江花実里主演で近年取り組んできた連作ではあるが、今作だけでも充分楽しめる作品。
今回は『量子探偵』その始まりと終わりの事件を描く。
ミンコフスキー時空と呼ばれる4次元空間で起こる密室事件や、レムニスケートという代数幾何曲線上での失踪事件など、通常あり得ない不可能事件を量子力学でひも解いてゆくミステリー。科学と哲学、神話と幾何学が交差して、やがて「物語」とは何か?そしてそれを必要とする私たちとは何者か?という実存的テーマを、膨大な情報量と運動量を駆使して描いていく、にぎやかでエネルギッシュな、楽しい90分二本立てのエンタティンメント作品。

コンセプト
《量子探偵》シリーズは、量子力学を用いて事件を捜査・解決する探偵のウォーターヘッド・順子・ノイマンが、量子コンピューターから生まれたAIのネオンと共に、観測問題、フレーム問題、ブラックホール試論、確率論などを『無理矢理』援用して謎を解決していく、チープでヒップなフェイク・サイエンス・エンタティンメントです。 江花実里・主演の連続シリーズとして、劇団内外にて、これまでに4作品を発表してきました。
(『量子探偵登場』、『量子探偵のフレーム密室』、『量子探偵 不在のシュワルツシルト』、『量子探偵かくも永きプロレゴメナ』)。 
今作は『ミンコフスキー密室』と『レムニスケート消失』の2本立て公演!
『密室』はノイマンが量子探偵となる最初の事件を
『消失』は衰えたノイマンが量子探偵として挑む最後の事件を、それぞれ描きます。
劇団メンバーである江花実里と岩松毅、レギュラーゲストの江花明里さんは『密室』『消失』両作品に出演。 さらに架空畳にはお馴染みの俳優たちと、オーディションから加わった俳優たちがそれぞれの作品に加わります。
他では絶対に見られない、量子的2本立て公演。

ものがたり
《ミンコフスキー密室》


密室にひとり引きこもる孤独な少女、順子・ノイマン。彼女が引きこもったのは、しかしタダの部屋ではない。それは『ミンコフスキー空間』…すなわち、4次元空間であった。3次元に住む人々が「距離」を移動できるのと同じく、4次元空間では「時間」をも移動することができる。ノイマンは、ミンコフスキー空間から時間を移動し、自分が大人になった様々な平行宇宙を観測していた。 彼女以外誰も入れないはずのその空間にだがある日、「物語の探偵」を名乗る男、トラヴィスが現れる。
今、別の時間/別の場所で、ひとつの遺体から複数の異なる死亡推定時刻を示す遺留品が検出されるという怪奇事件が発生し、その容疑者として、4次元空間を行き来できるノイマンがリストアップされたのだ。 自身の存在消滅を懸け、量子探偵として初めての事件を手がけるノイマン。だがそれは恐るべき『ウォーターヘッド事件』…その《トリガー(引き金)》に過ぎなかった。

《レムニスケート消失》

【昼】の世界と【夜】の世界。奇妙に捻じれてしまった近未来。 4次元人の存在が公にされた【夜】の世界では、深刻な社会問題が発生していた。それは4次元人による、他次元への介入である。4次元の人間が他次元の世界へ移動し、犯罪を犯したのち、4次元に逃げ帰ると、他次元人はその存在を追うことができない。その犯罪行為に対し、4次元人の決めた罰則は、別次元への短期移住であった。だが他次元の人間には、今・目の前にいる人間がネイティブの3次元人なのか、それとも移住してきた4次元人なのかを区別がする術がない。疑心暗鬼にかられた人々の間で、4次元人排斥の機運が高まっている。 
ノイマンは既に老い、さらに量子力学も過去の遺物となり果てた。存在を口にする者も絶えて久しい彼女の元に舞い込んだ依頼。それは捻じれた次元の隙間に人間が溶ける『∞(レムニスケート)失踪事件』。 ノイマンは、量子探偵としての最後の事件に挑む。

架空畳について
架空畳(かくうじょう)は、2006年、多摩美術大学在学中 であった小野寺邦彦が岩松毅らとスタートさせました。
尋常ではない情報量、台詞量、運動量を、類型的な物語の構造に詰め込んで飽和させる『エントロピー演劇』を標ぼうしています。
日本劇作家協会新人戯曲賞候補、神奈川短編演劇フェスティバル・戯曲コンペティション最優秀作品賞受賞など。

概要
日程・会場:2025年 5月28日(水)~6月1日(日) 
座・高円寺1
作・演出:小野寺邦彦
出演:江花実里、岩松毅、江花明里、大浦孝明、本田真唯、佐藤拓実、河西美季、大矢紗瑛、シマザキタツヒコ、岡村梨加、奥泉、岩田あや乃
提携:NPO法人 劇場創造ネットワーク/座・高円寺

公式サイト:http://kaku-jyo.com