石井一孝,矢田悠祐,宮原浩暢,辰巳真理恵,北翔海莉 出演 バロック音楽劇『ヴィヴァルディ~四季』ドラマコンサート開幕

バロック音楽劇『ヴィヴァルディ~四季』ドラマコンサートが新国立劇場 小劇場にて開幕。ヴィヴァルディの「四季」は、誰もが聞き覚えのあるヴァイオリン協奏曲で、春夏秋冬それぞれに3楽章ずつ計12楽章から成り立つ楽曲。この曲が産まれるまでには、作曲家のアントニオと、父ジョヴァンニの父子の栄光と希望、挫折や葛藤の感動秘話を、ドラマ仕立てのコンサートに作り上げ、名曲の誕生をひも解く。
バロック音楽劇、そしてドラマコンサートと銘打っているだけあって、音楽劇の要素、コンサート、芝居の要素を巧みに入れて構成。演奏者が舞台上に登場し、ヴィヴァルディの音楽を奏でる。それから演者登場、という段取り。


物語は、1703年、ジョヴァンニ・ヴィヴァルディ48歳、アントニオ・ヴィヴァルディ25歳。ジョヴァンニ・ヴィヴァルディ自身はイタリアのヴァイオリニスト、作曲家、床屋、興行師。床屋を生業にしながらヴァイオリン奏者としても評判が高かったジョヴァンニ、早くから息子の才能を見抜き、その成功のために息子に箔をつけさせたい、神学校に入れて司祭にした。

そして息子を音楽家として成功させるべく、興行師としてあらゆる手段を講じる、息子のために邁進する姿は、父親あるいは母親の経験があるなら大きく頷けるところだろう。彼らを取り巻く人々、サン・マルコ広場近くのカフェの女主人・メリッサ、彼女が営むカフェには様々な人々が集う。ちなみにサン・マルコ広場の近くに300年ほどの歴史ある世界最古のカフェ『カフェ・フローリアン(Caffè Florian)があり、観光名所となっているが、なんと、今、我々が普通に飲んでいるカフェ・ラテの発祥の地だとか。ヴィヴァルディ親子もカフェ・ラテを嗜んでいたかもしれない、そんなことを念頭に入れると物語は俄然、面白くなってくる。

彼らを取り巻く人々もユニークなキャラクター揃い、石井一孝はジョヴァンニ・ヴィヴァルディ、とにかく熱い!矢田悠祐はアントニオ・ヴィヴァルディ、クールさの中に熱い思いを秘めて、父親思いの息子、辰巳真理恵はアンナ・ジローを演じるのだが、可愛らしく、ちょっとあざとさもあるが、そこが人間味あふれる雰囲気。

男役スイッチon。

宮原浩暢と北翔海莉はナレーションのほかに複数役を演じ、さらに歌唱場面もしっかりと。北翔海莉は元宝塚トップスターだったので、ここでもかっこいい、ちょいダークな弁護士・マルチェッロを演じるのだが、その切り替えが鮮やか。さらにアントニオに片想いするアンナになった時はいきなり乙女!ここは必見。

そして宮原浩暢も北翔海莉に負けず劣らず、振り幅広く、様々な役に切り替わる。特に足の悪い老人に扮した時のナンバー「ジジ ジジ 爺い」はなかなかにインパクトあり!石井一孝との掛け合いも楽しい1曲。
注目の音楽はヴィヴァルディの楽曲はもちろんだが、中村匡宏がこの作品のために書き下ろした楽曲も聞き応えあり。コミカルなナンバーあり、恋の歌、息子自慢の歌、どれも耳に馴染む。


息子が可愛い父、だが、いつかは子離れしなければならないし、子供の方は親の気持ちは有り難いが、それが鬱陶しくもなったりする。そして反発、だが、争いに巻き込まれたりして、父と仲直りするところは共感を呼ぶはず。

死期が近い父と寄り添う息子。

休憩込みの2時間半だが、長さを感じせないテンポ感。人生は山あり谷あり、そして春夏秋冬、人生を四季になぞらえて、ヴィヴァルディの『四季』の楽曲を入れていく心憎い構成、公演は少々短めの11日まで。帰りにはどこかのカフェでカフェ・ラテを。

コメント
▼ジョヴァンニ・ヴィヴァルディ:石井一孝

 

天才の息子を溺愛するあまり、鬱陶しがられる父親(笑)ジョヴァンニを演じます。
自分の夢を息子に託して熱く指導する父親…今の時代にもいますよね。
日本でいうと江戸時代のイタリアのお話ですが、とても普遍的なテーマです。
キャストは5名のみ。しかし驚くべき歌唱力と芝居力のメンバーばかりで、
稽古でも耳が幸せでなりませんでした。
笑いと涙の宝石箱のような脚本・知的でドラマティックな音楽・鬼気迫る魂の演奏。
まさに見所満載です。しかし劇場で、お客様の眼差しと呼吸の中、
皆様にヴィヴァルディの人生を辿っていただかなければ、この作品は完成しません。
この愛と絆のストーリーを皆様にも楽しんでいただけたら幸いです。

▼アントニオ・ヴィヴァルディ:矢田悠祐

アントニオ・ヴィヴァルディ役の矢田悠祐です。
素晴らしい音楽に囲まれたこの作品が、無事に初日を迎えられることをとても嬉しく思います。
ヴィヴァルディ親子の半生を描いたこの作品が、時におもしろおかしく、時に美しく、時に悲しく、
時に暖かく、皆さんに寄り添う作品になれば良いなと思っております。
ヴィヴァルディが実際に作曲した曲も劇中で演奏され、尚且つ今回のこの音楽劇の為に書き下ろされた曲も沢山あります。
その素晴らしい楽曲を素敵な歌い手の皆さんとオーケストラの皆さんと共に千秋楽まで美しい音色を紡いでいければと思います。
個人的には父、ジョヴァンニ・ヴィヴァルディ役の石井一孝さんからは作中のアントニオ同様沢山学ばせて頂くことが多かったので、親子で似ているな、と観にいらっしゃった皆さんに思って頂けると嬉しいです!

▼男性:宮原浩暢(LE VELVETS)

バロック音楽劇「ヴィヴァルディ」四季ドラマコンサート、初日の幕が遂に開きます。
石井一孝さん演じる父親ジョヴァンニと矢田悠祐さん演じる息子アントニオの父子の物語。
そしてその物語に登場する個性豊かな人物達を、男女のナレーター役である北翔海莉さんと宮原浩暢が大半を担っていきます。
次から次へと役が変わったりナレーションをしたりと大忙し。そこも見どころのひとつ。
そして、ドラマコンサートのタイトル通り、素敵なソロにデュエットにと歌も盛り沢山です。
ヴィヴァルディの名曲にオリジナルも加えて、チェンバロ、バイオリン、フルートの贅沢トリオで。
優雅な響きがバロック音楽の世界へとお客様を誘います。どうぞこのひとときをお楽しみ下さい。

▼アンナジロー:辰巳真理恵

お稽古が始まってから、本当にあっという間に幕が開きました。
出演が決まったときは錚々たる方々ばかりで緊張していましたが、いざお目にかかると、温かく穏やかで面白く、
歌も演技も素晴らしい方ばかり。日々学ばせていただいています。
岡本さとる先生による、感動的な(中に、くすりと笑いもある)台本と演出、
中村匡宏先生のロマンティックな珠玉の名曲の数々、楽士の皆様の華やかな演奏。
見どころ・聴きどころばかりです!
私はアントニオの音楽のミューズ、実在のオペラ歌手アンナ・ジロー役を、心を込めて歌い演じます。
お一人でも多くの方に劇場にいらしていただけますと嬉しいです!再演・全国公演も実現しますように!

▼女性:北翔海莉

今回はなんと7役も演じさせて頂きます。尚且つ歌も演じ分けるので、非常に大変ですが(声帯が…)、
ヴィヴァルディ親子が世に伝えてきた音楽を2時間半にわたり、皆様と共有できることを嬉しく思います。
中年女性から清純な女の子、陽気なウエイトレス、そして敵(かたき)である嫌味たらしい男の役まで演じますので、
これぞ七変化となれば幸いです。
初めて共演させて頂く、ミュージカル界の大先輩、石井さんをはじめ、共演者の方々からたくさんのことを学ばせて頂きながら、千秋楽まで挑戦し続けたいと思います。

物語
1703年、ジョヴァンニ・ヴィヴァルディ48歳、アントニオ・ヴィヴァルディ25歳。

サン・マルコ広場近くに、メリッサという女主人が営むカフェがあり、様々な人たちが集っていた。
床屋でありながらヴァイオリンの腕は一流で、サン・マルコ大聖堂のヴァイオリニストにも選ばれていたジョヴァンニは、息子のアントニオの才能を見抜き、どうしても音楽の道で成功させたいと願い、まずは神学校に入れて、遂には司祭にして身分に箔をつけさせた。
というのも、庶民出身の自分が音楽家として生きていくことに限界を覚えていたので、その夢を息子に託し、一流の音楽家にするべく、あらゆる手段に講じていた。
毎日のようにこのカフェに来ては息子自慢をしながら、息子をプロデュースしていくジョヴァンニ。

カフェの近くには、ピエタ慈善院があった。孤児院で、男児は職業訓練を受けて16歳で巣立ち、女児は結婚または修道院に入ることでピエタを出るか、音楽に生きて生涯を過ごす事もできた。
というのも女児は、幼少期から音楽の勉強や訓練を受け「合奏・合唱の娘たち」の一員として育てられた。
ピエタの合唱・合奏団は、ヴェネツィアの名物でもあり、時折開催するコンサートの収入は、ピエタの運営をささえる財源にもなっていた。

カフェの女主人メリッサも、ピエタの出身で、結婚で巣立ったのだが夫と死別し、カフェを営んでいた。
ピエタで技術を学び、靴職人として巣立ったフランコもよくこのカフェに来て、息子自慢のジョヴァンニと、それに反発するアントニオが始める親子げんかに遭遇する。
親のないフランコにとって、そんなアントニオがうらやましくもあり、自分を可愛がってくれるジョヴァンニを父のように慕うのであった。 ピエタでは音楽教育に力を入れていたので、ガスパリーニなど優れた音楽家が指導にあたっていたが、司祭になったアントニオにも、その役割がまわってきた。
彼の愛弟子となったアンナ・マリアは、ヴァイオリンの奏者として実力を伸ばし、司祭となって、同時に結婚が許されない身分となったアントニオに思いを寄せ、自分も結婚はせずに一生を音楽に捧げたいと願うようになる。
しかしアントニオは、オペラ界に進出し、音楽創りに没頭し始める。
成功をおさめたものの、劇場地主の貴族で、音楽家であり弁護士でもあるマルチェッロと、興行師のサントリーニとの諍いに巻き込まれ、さらにマルチェッロによる画策で、司祭の身でありながら、アンナ・ジローというオペラ歌手を連れ歩くことがスキャンダルとして取り沙汰され、その人気に翳りが見え始める。いっときは、父ジョヴァンニに反発し、袂を分かったアントニオであったが、結局は父ジョヴァンニのプロデュースなしでは、うまくいかず、父子は和解するのであった。
1736年 ジョヴァンニも寄る年波には抗えず、アントニオをアンナ・マリアに託して、世を去っていく――

<石井一孝×矢田悠祐クロストーク>

石井一孝×矢田悠祐クロストーク バロック音楽劇『ヴィヴァルディ~四季』ドラマコンサート

概要
バロック音楽劇『ヴィヴァルディ~四季』ドラマコンサート
原案:伊藤 大
上演台本・演出:岡本さとる
音楽:中村匡宏
企画・製作:アーティストジャパン
出演:石井一孝、矢田悠祐、宮原浩暢、辰巳真理恵、北翔海莉
演奏:花井悠希、林 愛実、山本有紗
日程:2025年5月8日(木)~5月11日(日)
会場:新国立劇場 小劇場
料金:S席9,500円 A席8,500円(税込・全席指定)
取扱:アーティストジャパン、イープラス、ローソンチケット
問合:アーティストジャパン 03-6820-3500 https://artistjapan.co.jp/

公式サイト:https://artistjapan.co.jp/vivaldi-drama-concert2025/