
映画『461 個のおべんとう』(2020 年公開/東映配給)の原作となった、TOKYO No.1 SOUL SET・渡辺俊美のエッセイ『461 個の弁当は、親父と息子の男の約束。』(マガジンハウス)を 2024 年に朗読劇化し、再演となる本作では、兼重淳が引き続き監督・脚本・映像監督を担当。キャストに山崎樹範、田村海琉、藤本もあ菜、蒼井嵐樹。13日開幕。
映像でライブの様子、それから始まる。父・渡辺俊美(山崎樹範)のモノローグ、「息子が受験に失敗した」「学校が全てではない」といい、一方の息子・登生(田村海琉)は「受験に失敗したのは僕自身」「パパとママは別々に暮らし始めた」「僕はパパが好き。授業参観にもきてくれた」パパが大好きな息子はパパと一緒にいることを選ぶ。無事に高校に入り、父は言う「お金を渡すか、パパが弁当を作るか」息子はパパの弁当を選ぶ、そこから毎日の弁当作りが始まる。
欠かさず、弁当を作る、学校を欠席しない、男同士の約束。「それが全ての始まりでした」そしてスクリーンにタイトルロール。
弁当の写真を撮ってSNSにアップする父、ちょっと微笑ましく、しかもちょっといいこともある「ミニトマトのヘタは取って弁当に入れる(ミニトマトのヘタにはもともと雑菌が多くいるので、そのまま放っておくと菌が増殖してしまうから)」とアドバイスをもらったり。観客は弁当作りのコツも知ることができる、という一石二鳥。

そして誰もが好きな卵焼き。”弁当にはこれがなくっちゃ”と言う人も多いと思う。ご多聞にもれず、父も息子もそう思っている。父はその卵焼きを毎日工夫。
学校で登生の弁当の卵焼きが話題になることも。まさに弁当が結ぶ縁、彼女もできたし、親友もできて充実の学校生活。だが、父が作る弁当の量が多く(いっぱい食べてもらいたいと言う愛情)、息子は中学時代から太ったことを気にし始めたり(思春期あるある)、その弁当をめぐってちょっとした親子喧嘩も。「父さんは好きなことばかりしている」といい後から後悔する息子。
意地でも休まない弁当作り、いつしか料理の腕前もぐーーんとアップ、それだけではない、弁当を通じて父も息子も成長、気付きを得る。弁当は作り手からのメッセージ、それを受け取る側は弁当箱を空にしてそのメッセージの返答をする。一見、なんでもなさそうなこの弁当のやり取り、深い絆を育む。

そして最後の弁当作り、461個目、「ありがとう」と息子から父へ。その間に父は再婚したり、家族の変化も。妻を得ても弁当作りはあくまでも自分がやると決めた俊美の思い。最後の弁当、しっかり完食、その弁当箱には息子・登生からの手紙が入っていた…。

映像で弁当制作の動画であったり、完成した弁当の写真だったり、最後には全ての弁当が映像に、これが圧巻。また、父子の会話が中心だが、学校での様子やちょっとしたショータイムを挟み込んで進行する。朗読劇と聞くと椅子に座って、と言うイメージだが、なかなかアクティヴな場面も。再婚の場面は映像で妻役の堀田茜が登場、リアルと映像の融合も違和感はなし。そして461個の弁当を作り終えた俊美だが、再婚相手との間にできた子供たちが大きくなり、弁当を持っていく年頃になり、再び弁当作りが(笑)。だが、男子高校生向きの弁当とは少々勝手が違うところでちょっと笑える瞬間も。大学生になった息子・登生とビールを飲むシーン、そして「弁当教えて」と息子に言われる、こういう瞬間は父親にとっては嬉しいひとときかもしれない。
弁当を中心にして描く親子の物語、上演時間は休憩なしのおおよそ1時間45分、見終わった後は「たまには弁当、作ってみようかな」と思わせてくれる作品。山崎樹範演じる父親、髪がボサボサ、その飾らない雰囲気、そしてエプロン姿がなかなか似合う。対する息子役の田村海琉、俯き加減な少年だったが、少しずつ前を向き、父の気持ちを慮る優しい青年へと成長する。最後の方で父とビールを飲むシーンは心温まる場面。公演は東京は18日まで、それから、大阪は5月31、1日。
開幕コメント
渡辺俊美役:山崎樹範
いよいよ始まります。稽古段階から昨年よりもパワーアップしたと実感しております。台本、演出も変わりました。パフォーマンスも増えました。田村海琉君は目覚ましい成長を遂げております。新しいメンバーも心強いです。私は皆さんからパワーをもらって、腰の痛みが和らぎました。あとは本番の幕が上がるのを待つだけです。今か今かと待ち焦がれています。この気持ちって何だろうと考えたら、もしかしたら「1年ぶりに息子が帰ってくるのを待っている父親」の気持ちなのかもしれません。皆様の事を劇場でお待ちしております。あぁ、早く会いたいなぁ。
渡辺登生役:田村海琉
稽古場はとても温かい空気で、毎日楽しくお芝居に取り組ませてもらっています。
昨年に続いてご一緒している兼重さんと山崎さんには、変わらない安心感があり、『やっぱりこの感じだな』と嬉しくなります。
今年初参加の2人も、まっすぐに役に向き合いながら周りと意見を交わしていて、その姿に僕も自然と背中を押されています。
みんなで力を合わせて、観に来てくださる方と一緒に楽しめる舞台をお届けします。ぜひ楽しみにしていてください!
後藤未来役:藤本もあ菜
毎回のお稽古で色々なことを学び、とても嬉しく、楽しくお稽古させていただいています!もう本番と思うと緊張もしますが、みなさんにお届けできるのがすごく楽しみで、わくわくもしています!歌あり、ダンスあり!とても盛りだくさんな朗読劇になっていますので、楽しみにしていただけると嬉しいです!!私自身初めての朗読劇、お稽古で積み重ねてきたことが発揮できるように全力で頑張ります!
ライブシーンでは一緒に盛り上がって、楽しみましょう!!
劇場でお待ちしています!
岡山楓役:蒼井嵐樹
岡山楓役を務めさせていただきます、蒼井嵐樹です。
短い稽古期間でしたが、とても学びが多く、温かい現場だったと思います。
今回、自分が普段の演技ではしないトライをすることが多かったのですが、本当に温かくアドバイスしてくれたり、すごく細かいところまで褒めていただけるので演技をすることに変な緊張がなくとてもリラックスして、楽しみながら演技をすることが出来ました。
なので皆さんに観劇していただけるのが今はとても楽しみです。
演技以外にも歌、ダンスがあるのでそこにも注目していただけたら嬉しいです。
あらすじ
ミュージシャンとして活動する渡辺俊美は、長年連れ添った妻と離婚した。その影響なのか、15 歳と多感な年頃を迎えた息子・登生は高校受験に失敗してしまう。好きな事をやって生計を立てている俊美は、”学校に行く事だけがすべてではない”と考えるが、登生は「もう一度、高校受験をしたい」と伝える。次の年、見事高校に合格した登生は 3 年間休まずに学校に通うことを約束する。お昼ご飯をどうするか問いかける俊美。登生は「パパの弁当がいい。コンビニの弁当より、パパが作った方がおいしいから」と答えた。こうして「3 年間お弁当を作る」「3 年間、休まず高校へ行く」という”大切な男の約束”が生まれた。徹夜明けの朝も、ライブの翌日も、二日酔いの朝も、一日も欠かすことが無かったシングルファーザーの怒涛の弁当作りの記録を通して、親子の絆を描く。
概要
日程・会場:
東京公演:2025 年 5 月 13 日(火)~5 月 18 日(日) よみうり大手町ホール
大阪公演:2025 年 5 月 31 日(土)~6 月 1 日(日) クールジャパンパーク大阪 TT ホール
原作:渡辺俊美
『461 個の弁当は、親父と息子の男の約束。』(マガジンハウス)
脚本・演出・映像監督:兼重淳
出演:山崎樹範 田村海琉/藤本もあ菜 蒼井嵐樹/堀田茜(映像出演)
主催/企画・製作:AOI Pro.
共催:サンライズプロモーション東京
音楽:北里玲二 美術:平圭衣子 照明:金子翔一(DISCOLOR Company) 音響:高岡凱(DISCOLOR Company) 衣裳:石井玲子(dexi) ヘアメイク:田中美希 振付:松本稽古(bamboo)舞台監督:石黒勝巳 演出助手:菅野由佳子 映像機材:荒川ヒロキ 宣伝美術:鈴木美結 宣伝写真:池田花梨 歌唱指導:渡辺俊美 小佐井みほ 宣伝:TOHO マーケティング 劇中映像:鈴木智貴 有路由利恵 HP 制作:森脇康貴(安住の地)
制作: style office 制作プロデューサー:米田基(style office) チーフプロデューサー:代情明彦 近藤富英 プロデューサー:伊藤夏恵 長谷川陽奈子 吉田涼乃 協力プロデューサー:黒澤優介 吉田和睦(ナナガツ) アシスタントプロデューサー:大下沙綾 桑原飛向 涌井恵美子 広報:大髙日菜子 山本有里恵
公式サイト:https://aoi-stage.jp/461bento/
公式X(旧Twitter):https://x.com/461bento
公式ハッシュタグ:#461弁当
©AOI Pro./サンライズプロモーション東京