わらび劇場オリジナルミュ-ジカル常設公演 30 年記念 ミュ-ジカル「秋田は何もない」上演中

秋田市生まれの東京育ちの内館牧子さんが 10 年ぶりにわらび座に書き下した最新作、ミュ-ジカル「秋田は
何もない」が、劇団わらび座のホームシアタ-であるわらび劇場(秋田県仙北市)にて上演中だ。
なぜか秋田弁にこだわる女子高校生・加賀谷蕗子(通称バッケ)を主人公に、家族や友だちとのドラマを描く秋田愛あふれる内館さんの作を、人情味とユ-モア豊かな演出で定評のあるマキノノゾミ氏がハートフルな舞台を創造。

メッセ-ジ 作/内館牧子
秋田県人が「秋田は何もない」というのをよく聞く。また、東京にいる秋田県人が「秋田は何もないから」と言うのも何度か聞いた。少なくとも私は、九州でも四国でも関西でも、他地方の人が自分の出身地(あるいは由縁の地)をこう言うのを聞いたことがなかった。
これは秋田県人が自画自賛を恥ずかしがるからだとか、謙遜しているのだとか、単なる挨拶がわりの口癖だとするかもしれない。
だが、これは秋田にとって、何のプラスにも働かない。「秋田の人が言うんだから、何もないんだろうな」と思われても不思議はない。秋田は個性的で、何でもあるのにだ。
今回の物語を回すのは、秋田弁しか話さない女子高生。今時、全国どこでもそんな子はいないよとする声は大きかろう。だが、方言は各地の気候、風土、歴史が生んだ言葉である。「標準とする日本語」だけの、わかりやすいが薄っぺらな言葉で、日本中をフラットにしてはならないと、私は強く思っている。方言と標準語のバイリンガルであるべきではないか。
これは消えて欲しい口癖と、消してはならない秋田弁が織り成すドラマである。

コメント 演出・上演台本/マキノノゾミ(初日公演後の取材会より)
はじめは、内館さんがつけた「秋田は何もない」というタイトルを聞いて、これで大丈夫なのか心配だった。しかしよく考えていくと、これは「何もない」といいながら、「秋田には何でもある」という反語であり、とてもキャッチャーなタイトルだと思った。
今回の見どころは2幕の文化祭のシ-ンでの 12 分間のパフォ-マンス。アカペラの合唱あり、バラ-ドあり、メタル調あり、民謡あり。「ボヘミアンラプソディ」のような合唱組曲をめざした。わらび座の底力を生かした見応えのあるパフォ-マンスになったと思う。
この作品は「秋田は何もない」と言いながら、「国誉めの舞台」だと思う。演劇には本来そういう要素がある。秋田県民であるないにかかわらず、自分のふるさとを大切に思う、ふるさとを愛する心の琴線にふれるものになってほしい。

ものがたり
加賀谷蕗子(通称バッケ)は、秋田市で灯職店を営む祖父和男と、ミュージシャン志望だった父杉彦の三人暮らし。6才の時から秋田に住んでいる。
竿燈の灯職を作る名人人の祖父はバッケの自慢だが、和男と杉彦の関係はギクシャクしている。秋田愛に燃え、秋田弁にこだわるバッケは「秋田は何もない」という言葉に腹が立つ。
バッケは高知生まれの転校生海三郎やバンド仲間たちと、東京出身の担任の香月先生を巻き込んで、「これが秋田!」と動き出す―。

概要
公演期間 25 年5月6日~11月24日109回+26年正月特別公演3回 計112回予定
上演時間 2幕 125分(途中休憩あり)
スタッフ
作:内館牧子|作詞:鈴木哲也|演出・上演台本::マキノノゾミ|作曲:八幡 茂|振付:新海絵理子|
美術:高橋知佐|照明:三重野美由紀|音響:福地達朗|衣裳:市橋幸恵|小道具:平野忍|ヘアメイク:
馮 啓孝|舞台監督:仁しづか・福田桜子|歌唱指導:紫竹ゆうこ|演出助手:栗城宏|音楽助手:上平美
咲|振付助手:冨樫美羽|方言指導:番場政司
企画・制作 一般社団法人わらび座
キャスト
加賀谷蕗子::遠田 雅、蕗子の祖父:(灯職人人) :・和男:渡辺 哲、蕗子の父・杉彦:鈴木裕樹、蕗子の母・
ミホ:丸山有子、転校生・瀬野海三郎:深谷雅之、同級生・ありさ:川井田南、同級生・伸一:瀬川舞巴、
香月先生:小松詩乃、杉彦の友人・伸和:黒木友宜、灯職店パ-ト・唄子:白井晴菜、同級生・弘:西田煌志

チケット情報
観劇のみ 一般 5,000円、小~大学生2,500円 (わらび座オンラインチケットは1 割引き)
あきた芸術村をまるごとお得に楽しめる、お得な「秋田は何もない」1DAY パスポ-ト
一般5,500円(観劇+温泉入浴 700 円+お食事券 1000円)
小~大学生3,000 円(観劇+温泉入浴 450 円+お食事券500 円+クラフト体験 500円相当)
公演の予約・お問い合わせ
あきた芸術村予約センタ- 月~土 9:30~11:30、12:30~17:00 TEL0187-44-3939
公式サイト:https://www.warabi.jp

舞台撮影:コンドウダイスケ