
扉座の看板女優、中原三千代、伴 美奈子主演の『北斎ばあさん―珍道中・神奈川沖浪裏― 』が好評上演中だ。
タイトルの”北斎ばあさん”、かの有名な葛飾北斎の娘(腹違い)、しかもだいぶお年を召している。そして葛飾北斎は登場しない、という一風変わった作品。



どう見ても綺麗とは言い難い家に住む老姉妹、旅に出る。姉妹とは言っても腹違い、性格も異なる2人の道中、門前の団子屋のシーン、財布無くしたり(取られた?)、些細な出来事が面白おかしく、また、機転をきかせて切り抜けたり、なぜか風神が登場したり、まさに珍道中。ところどころに北斎の有名な絵画のオマージュ的なシーンも。



中でも、あの大波の!世界的に有名な絵、『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』を彷彿とさせる場面があり、”人海戦術”で波を表現、映像演出は一切なしで、ここのシーンは客席から拍手が。その絵の後方に描かれている荒波に揉まれている小舟の様子もしっかり。また、お栄、画号は葛飾応為、北斎が娘を「オーイ」と呼んだので、それをそのまま号とした説、そんなお栄はどこか楽しげでヤンチャな雰囲気、対するお美与は北斎の長女、現存する資料が少ないので、人物像は定かではないが、その分、想像力でキャラクターを構築、思慮深い印象、後半、泣けるシーンも用意。

また、随所に細かい笑いを挟み込み、客席からは頻繁に笑い声が。また、席には、公演をより楽しむための解説が記されているパンフなどがあるので、事前に読んでおこう。また、主演の中原三千代、伴 美奈子、いい味わいを出しており、脇を固める岡森 諦、風神様、なかなかインパクトあり。


この日はアフタートーク、ゲストはすみだ北斎美術館主任学芸員の奥田敦子。墨田区は葛飾北斎ゆかりの地、貴重な資料や北斎、応為の絵を紹介。北斎と応為の絵の違い、共通点などスライドを使用しての紹介、『夜桜美人画』、応為の作、父である葛飾北斎の絵との比較・考察、30分超のトークイベントであったが、稀有な講義であった。
公演は22日まで、座・高円寺にて。
公演概要
劇団扉座第79回公演
『北斎ばあさん―珍道中・神奈川沖浪裏―』
作・演出 横内謙介
厚木公演 ※公演終了
厚木市文化会館リニューアルオープン記念事業
厚木市制70周年記念事業
厚木シアタープロジェクト第36回公演
日程・会場:2025年6月7日(土)18:00/6月8日(日)14:00 厚木市文化会館 小ホール
主催:(公財)厚木市文化振興財団 扉座
応援: 厚木シアタープロジェクト市民応援団
東京公演
座・高円寺 夏の劇場07
日本劇作家協会プログラム
日程・会場:2025年6月11日(水)~22日(日) 座・高円寺1
提携: NPO法人劇場創造ネットワーク 座・高円寺
◇北斎アフタートーク=6月12日(木)14:00の回 6月17日(火)14:00の回
終演後に横内・出演者×ゲストによるトークショウ開催!
6月12日(木)14:00の回 北斎を【考える】
神山典士(ノンフィクション作家)
6月17日(火)14:00の回 北斎を【学ぶ】
奥田敦子(すみだ北斎美術館主任学芸員)
ラクイブナイト=6月21日(土)18:00の回
終演後にスペシャルイベント有り
★劇場託児サービス有※要事前申込み
出演
中原三千代 伴 美奈子 岡森 諦 有馬自由 犬飼淳治 鈴木利典 鈴木里沙 松原海児 野田翔太 藤田直美 三浦修平 小笠原 彩 北村由海 佐々木このみ 土岐倫太郎 他
スタッフ
作・演出:横内謙介
舞台美術:金井勇一郎(金井大道具)
舞台監督:大山慎一(ブレイヴステップ)・尾崎弘延
照明:塚本 悟(LIGHT TRAIL)
音響:青木タクヘイ(ステージオフィス)
衣裳:木鋪ミヤコ・大屋博美(ドルドルドラニ)
ヘアメイク:川口博史(アート三川屋)
所作指導:花柳輔貴理子
協力:大沢事務所 エルビス・エンタテイメント すみだパークスタジオ ベルモック 明和運輸 厚木扉座サポーターズクラブ〈厚木公演〉
宣伝美術:吉野修平(ヨシノデザインオフィス)
イラスト:溝口イタル
題字:小林三左衛門覚
制作:赤星明光・田中信也/(公財)厚木市文化復興財団〈厚木公演〉
WEB宣伝:串間保彦
票券:そのださえ・菊地恵未
製作:(公財)厚木市文化振興財団〈厚木公演〉/(有)扉座
問い合わせ
劇団扉座 〒130-0003 東京都墨田区横川1-1-10すみだパ-クスタジオ53B
TEL 03-3221-0530 FAX 03-3221-0532
公式サイト:http://www.tobiraza.co.jp