
本作「電気の夢」は、詩学を真に語り得たと⾔われるフランスの哲学者ガストン・バシュラール(※)の詩的想像⼒の研究から想を得ており、常にダンス・ワークショップにおいて受講⽣に対しても“想像⼒は⾝体と共にある”と声をかける勅使川原は、 バシュラールの詩学の深い境地に触れたことから、 ⾃⾝の⾝体の実感の源泉についての問いかけをはじめ、⾃⾝の幼少時代の記憶へと旅をし、そこから⽣まれる夢想の素となることについて作品創作によって探求する新たな試み。勅使川原三郎は「ガストン・バシュラール の 『無想の詩学』の頁から 飛び出した私は自身の古典的思考をさかのぼることになった。詩は生命の内側と外側の呼吸で、彷徨する身体と精神は実に軽やかに翼を広げ飛翔する喜びに身を投げ出した」と語る。
<公演イメージ(過去公演より)>
創作ノート
「電気の夢」に向かう
夢想の詩学から夢想のダンスへ
空想の実体 夢想の実体 夢想に現在も過去も無い
遠くからやって来る者がいる 別の名を風という
風が固まると言葉に成るが 風はそのまま音楽になる
言葉が溶ける 音楽が溶けると光になり色彩になる
同時に闇を作る 闇の保有者があなたでありわたしである
ドビュッシーからメシアンへ
夢想の坂道を下って行く休息する真実
朝 立ち去らない亡霊が道に迷って私と鉢合わせ
壁に立てかけられた床の夢 秩序ある高貴な夢の子供
緩んで垂れ下がる月 青く凍てついた太陽
宇宙の丸い沈黙が喉につっかかる 呼吸の夢 音楽
夢想する両性具有 夢を夢想する夢
※ガストン・バシュラール(1884〜1962)は20世紀フランスを代表する哲学者。詩の分析を通じて想像力の問題を論じた哲学者でもある。構造主義の先駆者の一人。科学的認識の獲得のために、前科学的な思考との断絶を求めた「認識論的切断」で知られる。のちには詩的想像力の領域に論を広げ、イメージや夢想の世界を考察した。著「否定の哲学」「水と夢」「空間の詩学」など。
概要
アップデイトダンス No.112「電気の夢」
日程・会場:2025年6月21日(土) 〜7月3日(月) *全 10 回公演 *6/25,26,7/1 休演 カラス アパラタス/ B2 ホール
演出/照明 勅使川原三郎
アーティスティックコラボレーター 佐東利穂子
出演 勅使川原三郎 佐東利穂子
予約:https://www.st-karas.com/updateticket112/
公式サイト:https://www.st-karas.com