勅使川原三郎 新作公演 「電気の夢」上演中 コメントも_

勅使川原三郎の新作公演 「電気の夢」が荻窪のカラス アパラタスにて好評上演中、舞台写真も到着。公演は7月3日まで。
絶え間なく新作をクリエイトし続けている勅使川原三郎、本作「電気の夢」は、詩学を真に語り得たと⾔われるフランスの哲学者ガストン・バシュラール(※)の詩的想像⼒の研究から想を得ており、常にダンス・ワークショップにおいて受講⽣に対しても“想像⼒は⾝体と共にある”と声をかける勅使川原は、 バシュラールの詩学の深い境地に触れたことから、 ⾃⾝の⾝体の実感の源泉についての問いかけをはじめ、⾃⾝の幼少時代の記憶へと旅をし、そこから⽣まれる夢想の素となることについて作品創作によって探求する新たな試み。

勅使川原三郎は「ガストン・バシュラール の 『無想の詩学』の頁から 飛び出した私は自身の古典的思考をさかのぼることになった。詩は生命の内側と外側の呼吸で、彷徨する身体と精神は実に軽やかに翼を広げ飛翔する喜びに身を投げ出した」と語る。
濃密で没入感があり、息遣いも感じられるパフォーマンスを体感できる空間、カラス アパラタス、貴重な公演となっている。

勅使川原三郎より
一つ一つのシーンがより充実してきて、同時に繊細でいて確かな流れが新たに日々作られていっていることをダンスしながら実感する。音楽は終始繊細を極め、メシアンのオルガンからラヴェルのヴァイオリンとチェロ、そしてドビュッシーのピアノからヴォーン ウィリアムスのオーケストラ、再びメシアンという構成。照明は音楽以上に細やかに滑らかに展開する。それらの音楽と光の明暗の空間にダンサー2人が消えつつ現れる。現れて消える存在の確かさと不明さがこの作品の核で、正に無時間的空間が作る透明の彫刻と言えそうだ。夢想の数々は言葉ではなく、呼吸と動きと溶け合う。つまりダンスが成す「詩想」そのものである。

※ガストン・バシュラール(1884〜1962)は20世紀フランスを代表する哲学者。詩の分析を通じて想像力の問題を論じた哲学者でもある。構造主義の先駆者の一人。科学的認識の獲得のために、前科学的な思考との断絶を求めた「認識論的切断」で知られる。のちには詩的想像力の領域に論を広げ、イメージや夢想の世界を考察した。著「否定の哲学」「水と夢」「空間の詩学」など。

概要
アップデイトダンス No.112「電気の夢」
日程・会場:2025年6月21日(土) 〜7月3日(月)  *休演6/25,26,7/1  カラス アパラタス/ B2 ホール
演出/照明 勅使川原三郎
アーティスティックコラボレーター 佐東利穂子
出演 勅使川原三郎 佐東利穂子
予約:https://www.st-karas.com/updateticket112/
公式サイト:https://www.st-karas.com

舞台撮影:Akihiko Abe