
東京・十条にある老舗の大衆演劇場「篠原演芸場」が、2025年春に大規模な改修工事を経てリニューアルオープン。
創業から73年。地域に根ざし、庶民の娯楽として親しまれてきたこの劇場は、次の時代に文化をつなぐため、新たな一歩を、そのリニューアル記念として選ばれた特別公演が、舞台版『瞼の転校生』。
原作は、旅回りの一座に育つ少年の葛藤と成長を描き、映画でも注目を集めた作品。
脚本家・渡辺和徳氏が新たに舞台用に書き下ろし、演出は劇団美松の松川小祐司座長。
出演者には、次世代を担う若き才能たち大衆演劇の新星・紫鳳花道(劇団美鳳)と長谷川樹莉亜(劇団駒三郎)、さらに多ジャンルで活躍する表現者・makotoの3名がメインキャストとして出演。
紫鳳花道と長谷川樹莉亜は、それぞれ劇団に所属し、十代とは思えぬ存在感で観客を魅了。大衆演劇の未来を担う逸材、makotoはダンス・舞台・映像と多彩なジャンルで活躍し、昨年は大衆演劇の舞台にも参加。今年の夏には、和装ダンスアーティスト集団「KIMONO×DANCE PROJECT」のメンバーとしてフランス・JAPAN EXPO Paris 2025 への出演も決定している。



また、今回の公演では、地域の小中学生を対象とした観劇招待企画も実施。普段なかなか舞台に触れる機会のない子どもたちに、“生の演劇”を体感してもらうための企画。
コメント 篠原演芸場
大衆演劇に出会い、その魅力に心を奪われて–気づけば創業73年。
多くのお客様に支えていただきながら、「篠原演芸場」は2025年、劇場の大規模な改修を行いました。
このリニューアルは、単なる建物の修繕ではありません。
大衆演劇という文化を、この先の時代にどう残し、どう届けていくか–
その問いに対する、私たちなりのひとつの答えであり、新たな挑戦でもあります。
これからも地域に根ざした劇場として、誰もが気軽に訪れられる場所であり続けたい。
そんな想いを込めて、今回の記念企画として舞台版『瞼の転校生』の上演を決めました。
本作は、映画『瞼の転校生』をもとに、脚本家・渡辺和徳さんが舞台用に書き下ろしてくださった作品です。
旅回りの大衆演劇一座、いわゆる“旅役者”の世界で育つ少年が、さまざまな出会いや別れを経験しながら、自分自身の居場所を見つけていく–
役者が舞台に懸ける想い、家族や仲間との絆、そして地域の人々とのつながりが、丁寧に描かれています。
私たちはこの公演を通して、大衆演劇がなぜ100年以上にわたり、人々の暮らしの中に生き続けてこられたのか。
昭和100年という節目を迎えた今だからこそ、あらためてその原点に立ち返り、次の世代へとどう繋いでいくかを考える機会にしたいと考えています。
これまで親しんでくださった方々には、大衆演劇の日常にある温もりを。
そして初めて触れる方々には、未知の世界へのときめきを。
「出会えてよかった」と感じていただけたなら、それが何よりの喜びです。
また今回は、作品の主人公と同じような年頃の子どもたちにもこの舞台に触れてもらいたいという思いから、地域の小中学生を対象にした観劇招待企画も実施いたします。
普段なかなか劇場に足を運ぶことのない子どもたちに、生の舞台の迫力と温かさを届けたい。
それが、文化を未来へつないでいくきっかけになると信じています。
『瞼の転校生』が映し出す旅役者の世界には、今の子どもたちにも通じる感情がたくさん詰まっています。
生き方に迷い、誰かと出会い、舞台に立つ。
その一瞬一瞬を、劇場という“生の空間”でこそ、感じてほしいのです。
この取り組みが、大衆演劇という日本の舞台文化に触れるはじまりとなり、やがて未来へと受け継がれていく、小さな種になってくれたら。
私たちは、心からそう願っています。
概要
日程・会場:2025年11月15日(土)・16日(日) 篠原演芸場
演目:舞台『瞼の転校生』
脚本:渡辺和徳
演出:松川小祐司
出演:紫鳳花道(劇団美鳳)、長谷川樹莉亜(劇団駒三郎)、makoto ほか順次発表
原作: 映画「瞼の転校生」(監督:藤田直哉 / 脚本:金子鈴幸)
製作:埼玉県 / SKIP シティ彩の国ビジュアルプラザ / 川口市
製作プロダクション:アルタミラピクチャーズ / デジタル SKIP ステーション
主催/制作:有限会社 篠原演劇企画
協力:一般社団法人 日本文化大衆演劇協会
問合:劇場全般 03-3908-1874(篠原演芸場)/リニューアル公演 03-3905-1317(篠原演劇企画事務所)
WEBサイト:https://www.shinohara-engeki.jp/