
日本を代表するコンテンポラリー・ダンスのアーティストのひとり、勅使川原三郎の公演、アップデイトダンス No.113「静か」 echo of silenceが、アーティスティックコラボレーターに佐東利穂⼦を迎え、7⽉19⽇―7⽉31⽇にカラス アパラタスで上演。
ーー過去にも上演してきた「静か」ですが、今回再びアパラタスで公演しようと思ったのはなぜでしょうか?
勅使川原三郎:初演から再演を重ねることによって、過去が常に生まれ変わりつづける新たな生命としての作品を作るためです。
ーー改めて、なぜこのように一切音楽を使用しない “沈黙のダンス”を創作しようと思ったのでしょうか?
勅使川原:音が無いということは、豊かな時間を創出します。ただ無音でダンスをやったらどうかということではありません。豊かさや明解な存在を作るための沈黙です。「静か」には無数の極薄い「静けさ」が折り重なってて、身体が無音の「静けさ」の上に存在します。そこに非日常的な空間が現れる。ダンスが新たに現れる時間を創出するのです。この作品は問いからではなく明解な準備から始まりました。無音の中で身体と空気との絡みが作りつづける「静か」のダンスです。
ーー照明のデザインを楽しみにアパラタスの公演を観る方もいますが、今回「静か」ではどのような構想でしょうか?
勅使川原:人工的な効果の無い極めて清楚な舞台にします。明るさと暗さは自然界から届けられる。舞台が呼吸します。
ーー「静か」はどのような作品でしょうか?
佐東利穂子:「静か」。再演ですが、この作品こそ未知の可能性を秘めています。
初めて60分間音楽なしで公演をしたときに感じたことは今も鮮明に覚えています。
音がないのではなくて、何があるのか、を強烈に感じました。
それは毎日新鮮に観客の皆さんと私たちの関係から生まれるものでした。緊張感から始まり、次第に何かが溶け始め、徐々に何かが動き出し現れ出し、変化していくさま。目に見えないけれども手に取るように確かに感じられる出来事、状態の変容。
全身で耳を澄まして聴く「静か」です。
そんな体験をまた新たに出会う皆さんと共有できることを楽しみにしています。
概要
アップデイトダンス No.113「静か」 echo of silence
会期会場:2025年7⽉19⽇(⼟)―7⽉31⽇(⽊) カラス アパラタス B2ホール
演出/照明:勅使川原三郎
アーティスティックコラボレーター:佐東利穂⼦
出演:勅使川原三郎、佐東利穂⼦
主催 有限会社カラス 企画制作:KARAS
助成 ⽂化庁⽂化芸術振興費補助⾦(舞台芸術等総合⽀援事業(公演創造活動))|独⽴⾏政法⼈⽇本芸術⽂化振興会