
村山彩希主演「新・幕末純情伝」が紀伊國屋ホールにて開幕。
『幕末純情伝―龍馬を斬った女―』と題し『野性時代』、1988年7月号にて発表、同年9月21日に角川書店より刊行。沖田総司は女だった、という突飛な設定を軸に幕末の動乱を描いた作品。
沖田総司は女性だったという設定で幕末の騒乱期を描く時代劇で、沖田と土方歳三や坂本龍馬との恋愛模様が繰り広げられる。
そして、『戯曲 幕末純情伝』と題し1989年8月1日に白水社より刊行、『幕末純情伝 黄金マイクの謎』として同年8月7日にPARCO劇場にてつかこうへい作・演出により初演、主演は平栗あつみ・西岡徳馬。映画版は1991年公開。角川春樹事務所製作、松竹配給。主演は牧瀬里穂、渡辺謙。
何度も、さまざまなカンパニーで上演されてきた作品だが、ミュージカル化は今までほぼなかった。楽曲は既存のものを使用、つまり、「ジュークボックス・ミュージカル」の形式、聴き慣れたヒット曲。


ストーリー自体は変わらないが、ミュージカルシーンはPOP、アームコンポが楽しい振付。歴史上の人物ではあるが、設定はフィクション。沖田総司が女性だったら、坂本龍馬と恋愛関係だったら、ファンタジックな設定、と改めて感じる。休憩なしの怒涛のおよそ130分、心に刺さるセリフが洪水のように押し寄せる。

また、つか作品の特徴としてはその時の時事ネタを入れてくるのだが、今回は「米」、「備蓄米」というワードも飛び出す。そこが面白いところであり、眼が離せないところでもある。よって、大筋は同じでも細かいところや振付などをみると、前回とは異なるところがかなりある。だから、上演させるたびに観たくなるのが、つか作品のマジックなのである。
沖田総司を演じるのは村山彩希、勢いがあり、突っ走る姿は清々しく、また、あっぱれでもある。対する坂本龍馬を演じる百名ヒロキ、登場した途端に宙返り、最初に空中で回る坂本龍馬は、記憶に間違がなければ、多分『初』、そしてこれでもか、という膨大なセリフを立板に水の如くに喋りまくる。一癖も二癖もある坂本龍馬を軽やかにコミカルにそして”漢”を感じさせて魅せてくれる。
エネルギーの塊のようなカンパニー、展開を知っていても引き込まれる、戯曲の力と座組のパワーが融合し、舞台上で爆発する。主演の村山彩希はほぼ出ずっぱり、殺陣もこなし、役者としての可能性を見せる。
貫禄の細貝圭、眼光鋭く、柳下大の勢い、青木瞭は初参加、熱気いっぱい、嘉島陸は殺陣は初めてだそうだが、そうは見えないこなれっぷり。佐久本宝は沖縄で同作品に出演歴があるとのこと、ラストは圧巻。
1989年に初演、以降繰り返し上演されてきた作品、色褪せず、それどころか、万華鏡のごとくに様々な表情を見せてくれる作品。公演は24日まで、しかも紀伊國屋ホール、観たことがない方はもちろん、観たことがある方も、ミュージカル版の「新・幕末純情伝」、要チェック。
公演に先駆けて公開ゲネプロと会見が行われた。登壇したのは、村山彩希、百名ヒロキ、柳下大、細貝圭、青木瞭、嘉島陸、佐久本宝。MCは近藤勇役の久保田創。まずは挨拶から。
村山彩希(沖田総司役)「この稽古期間、本当に右も左もわからない私を本当にキャストの皆さんが、言葉だったり背中で教えてくださり、今ここに立ててるなと思っていますので、全力で、今できる沖田総司を全力で演じたいなと思います」
百名ヒロキ(坂本龍馬役)「1ヶ月毎日毎日稽古してきたので、全力を出して、1公演公演本当に実力を出し切りたいと思います」
柳下大(土方歳三役)「この紀伊国屋ホールという劇場でつかこうへいさんの作品ができる意味を毎日かみしめながら、1公演1公演全力でぶつかっていきたいと思います」
細貝圭(勝海舟役)「個人的に7年ぶりの『新・幕末純情伝』そして勝海舟をさせていただくのですが、今キャストが新たに、この座組でしか表現できないことを皆さんにお届けできたらなと思います」
青木瞭(桂小五郎役)「僕はつかさんの作品は初めてなんですけれども、とにかく熱量がすごいってのをまず前面に押し出していきたいと思います」
嘉島陸(岡田以蔵役)「僕にとって本作で殺陣が初挑戦になるので、殺陣をこの1ヶ月頑張って稽古してきたので。作品の熱量を最後の最後までお届けできるようにしていきたいと思ってます」
佐久本宝(二宮役)「僕は9年か10年前に沖縄の『新・幕末純情伝』公演に出まして久しぶりなので、今回、二宮役としてまた『新・幕末』で出ることができて本当に嬉しいです。全力で頑張っていきます」
MCより稽古場エピソードを聞かれ、村山彩希は「結構スケジュールがみっちりだったのですが、そのときに早上がりできる日があったりとかすることがあって、早上がり組と居残り組と分かれることがあって分れることがあって、最初の段階は本当に居残り組は皆残るって感じだったんですけど、終盤になるにつれて、もう上がってもいい方々も残って、稽古を見てくれてたっていうのが、『仲間なんだな』っていうのを改めて感じました((いましたか?とMCにふられて)いましたよ、当たり前じゃないですか!by細貝圭)」とコメント。百名ヒロキは「今回本番、1日に2公演あるじゃないですか。稽古で2回通し、うん。するかしないか問題が発生しました。また、今回ミュージカルということで、それについては細貝圭は「バッチバチにやってます!!」また、村山彩希は稽古中の忘れられないことに関して「稽古初日、柳下さんだけ台本を外していらっしゃってて。うん。さすがかっこいいなって思ったのが印象的でした」と言いつつ、MCの久保田創は「(実は台本に)書いていないことが多いんですね」と補足。佐久本宝は沖縄での公演エピソード、「役者がちょっと出れなくなってしまって急遽…そのときはもう必死すぎて作品の内容を全く覚えてなかったんですけど、今回初めてチャンスを…台本を見て新選組の話…新選組の皆さんが本当にもうみんな個性豊かでめちゃめちゃバランスいいと思うんです。新選組が好きになっていて、桂さんとのシーンが多いんですけど、新選組やりながら桂さんのシーンもやってるので、桂さんのこともだんだん好きになってきちゃって。皆さんが役を膨らましてくれてるので、僕はこの稽古がめちゃめちゃ面白かったですね。密に1ヶ月やってきましたので、そのあたりも楽しみにしてもらえたらと思います。」と語った。嘉島陸は殺陣について「バチバチにやってました!」と殺陣に力を入れていることを。
最後に村山彩希が公演PR。
「今回、『新・幕末純情伝』をどうやってより良いものにして届けるかっていうのを、本当に稽古期間みんなでたくさん汗をかいてきました。そしてアドバイスだったりとか、今回だからこその演出もたくさんあるので、本当にこのメンバーでしかできない『新・幕末純情伝』がお届けできるかなと思っていますので、ぜひ生で皆さんの目で見ていただきたいですし、この時間とお金をかけてきてよかったって、絶対後悔させないので!ぜひ!この劇場でお待ちしております」と元気に締めくくり、会見は終了した。
概要
タイトル:つかこうへい戦後80年に問う ⾰命ミュージカル「新・幕末純情伝」
⽇程・会場:2025年8⽉8⽇(⾦)〜8⽉24⽇(⽇) 紀伊國屋ホール
作:つかこうへい
演出:岡村俊⼀
振付:多和⽥任益(梅棒)
出演:村⼭彩希/百名ヒロキ 柳下 ⼤ 細⾙ 圭 ⻘⽊ 瞭 嘉島陸 佐久本宝 久保⽥創 ⼩川智之
杉⼭圭⼀ 河本祐貴 ⼩柳 喬 ⼤⽯敦⼠ 伊藤陽光/平塚翔⾺ ⼩川 優
チケット:発売中
制作:アール・ユー・ピー、エイベックス・ライヴ・クリエイティヴ
主催:⾰命ミュージカル「新・幕末純情伝」製作委員会
問合: 03-6265-3201(平⽇12:00〜17:00)
公式WEB:http://www.rup.co.jp/