
PARCO PRODUCE 2025 三谷文楽『人形ぎらい』が開幕した。
2012年に誕生した三谷文楽『其礼成心中』。文楽の伝統と技芸に敬意を評しながら、三谷幸喜の新しい視点と演出で創作した古典エンタテインメント、久々の新作、タイトルは『人形ぎらい』。
時は現代、文楽の劇場を舞台に、役を演じている人形自身のお話。文楽の人形は、俳優と同じように出し物によってさまざまな役を演じる。主役の人形もいれば、脇役専門も、そして人形たちにも、人間と同じようにそれぞれ名前がある。今回の主人公は、脇役の名優、嫌みな小悪党を演じさせたら天下一品の“陀羅助”という人形。
近松門左衛門作『鑓の権三重帷子』(※1)。それを演じる権三役の源太&おさゐ役の姐さん&万年引き立て役の陀羅助。陀羅助は憎まれ役ばかりを演じさせられることに不満が爆発し、ついには人形たちが劇場を飛び出して、というのが大体の流れ。


冒頭、三谷人形が解説、愛嬌のある風貌に思わず笑いが溢れる。それから始まる。劇中劇、人気演目、権三役は源太、おさゐ役の姐さん、陀羅助は主演は回ってこない状況、しかもヒール役ばかり、舞台裏での会話、鬱積していた不満。




ついに陀羅助は近松門左衛門のところに行き、直談判(笑)、うまくいくはずもなく。源太と口論になり、源太の人形立てが倒れて!なんと人形の天敵、ネズミが!ネズミが!目が赤く光って不気味!顔が!顔が!源太はどこかへ。

破天狼でしかもスピーディーな展開、源太を探しにいく陀羅助、通天閣に登ったり、スケボーに乗ったり!もう、なんでもやる!客席から笑いが起こる。そして、この物語に登場する女性が強い!姐さんは源太を叩くし、お福は陀羅助に発破をかけるし、元気いっぱい。


笑って楽しく見ていられる展開、もちろん、バッドエンドにはならないので!人形遣いもコミカルに、小芝居を(笑)。
伝統芸能は敷居が高いと思い込んでいると損をする!気楽に楽しく観られる三谷文楽。人間ができることは基本、人形もできる!運動能力も高く、スケボーのシーンは「もしかしてオリンピック出れる?」ぐらいのスキルの高さ。思わず、「おお〜」。公演は28日まで、涼しい劇場で、今、一番ホットな文楽を!
※1:『鑓の権三重帷子』、近松門左衛門の 「三大姦通物」の一つで、郷ひろみ主演で映画化。槍の名人で色男の権三&人妻おさゐが、不義密通の濡れ衣にを着せられる物語。初演は享保2年(1717年)・竹本座。2回目は昭和30年、200年以上経ってから復曲。その後は人気狂言となり頻繁に上演されている。
概要
PARCO PRODUCE 2025 三谷文楽『人形ぎらい』
日程・会場:2025年8月16日〜8月28日 パルコ劇場
作・演出:三谷幸喜
監修・出演:吉⽥一輔
作曲・出演:鶴澤清介
出演:⽵本千歳太夫 他
企画・製作・主催:パルコ
共催:サンライズプロモーション東京
助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京【芸術文化魅力創出助成】
公演問合:03-3477-5858 https://stage.parco.jp/