
2025年の日韓国交正常化60周年を迎えることを記念し、鄭義信が日本の戦後史の影を描いた、日韓合同公演『焼肉ドラゴン』が上演。
この舞台は、2008年に新国立劇場が芸術の殿堂(ソウル・アーツ・センター)とのコラボ企画として、鄭 義信に書き下ろしを依頼し制作。02年、05年上演の『その河をこえて、五月』(平田オリザ・金 明和 作/李 炳焄・平田オリザ 演出)に続く、同劇場との2度目のコラボ企画。
1970年前後、高度経済成長と大阪万博に沸く関西の地方都市。そこで慎ましくも懸命に生きる在日コリアン一家と、彼らが営む焼肉店「焼肉ドラゴン」に集う人々の人間模様を、生き生きと描き出した本作。その年の日韓両国で数々の演劇賞を受賞し、18年には鄭義信自身がメガホンを取り映画化もされた。
日韓の過去、現在、そして未来を、音楽を交えながら、おかしくも哀しく切なく描くこの物語は、08年、11年、16年に続き、この25年に4度目の上演を果たす。
2025年のツアーファイナルとして12月19日~21日に新国立劇場 中劇場で上演する。10月に新国立劇場 小劇場で幕を開けた後、11月には芸術の殿堂での韓国公演、そして福岡、富山での全国公演を経て、12月、満を持して新国立劇場へ凱旋。この凱旋公演会場はなんと新国立劇場の中劇場で上演。初演から17年を経て、新たな歴史を刻む。
作・演出 鄭 義信コメント
正直な話、中劇場は苦手である。茫洋と広がった空間が、いつも僕をとまどわせる。しかしながら、「焼肉ドラゴン」2025年版は新国立劇場小劇場からはじまって、ソウル、北九州、富山公演を経て、中劇場で締めくくりとなる。この長い旅を経て、あの家族たちが中劇場にどんな姿で降りたつのか……僕自身も大いにはらはらどきどきしている。そして、大いに楽しみでもある。
これまで小劇場で、「焼肉ドラゴン」をご覧になった(もしくはこれからご覧になる)皆さま、一度もご覧になったことのない皆さまに、お願いです。どうぞ中劇場に足をお運びください。今回の中劇場公演をもって、「焼肉ドラゴン」はラストステージとなります。
どうぞあの家族たちの行く末を見届け、温かい拍手で送ってくださることを願ってやみません。
ものがたり
万国博覧会が催された1970(昭和45)年、関西地方都市。高度経済成長に浮かれる時代の片隅で、焼肉屋「焼肉ドラゴン」の赤提灯が今夜も灯る。
店主・金 龍吉は、太平洋戦争で左腕を失ったが、それを苦にするふうでもなく淡々と生きている。
家族は、先妻との間にもうけた二人の娘・静花と梨花、後妻・英順とその連れ子・美花、そして、英順との間に授かった一人息子の時生……ちょっとちぐはぐな家族と、滑稽な客たちで、今夜も「焼肉ドラゴン」は賑々しい。ささいなことで泣いたり、いがみあったり、笑いあったり……。
そんな中、「焼肉ドラゴン」にも、しだいに時代の波が押し寄せてくる。
概要
公演タイトル:日韓国交正常化60周年記念公演『焼肉ドラゴン』凱旋公演
会期会場:2025年12月19日(金)~21日(日) 新国立劇場 中劇場
作・演出:鄭 義信
出演:千葉哲也、村川絵梨、智順、櫻井章喜、朴 勝哲、崔 在哲、石原由宇、北野秀気、松永玲子
イ・ヨンソク、コ・スヒ、パク・スヨン、キム・ムンシク、チョン・スヨン
芸術監督:小川絵梨子
主催:新国立劇場
一般発売日:2025年10月12日(日)10:00~
チケット料金:S席 8,800円/A席 6,600円/B席3,300円/Z席(当日)1,650円
