日本の劇団 「その鉄塔に男たちはいるという」開幕 日本を代表する劇団から選りすぐりでキャスティング

日本の劇団の第三劇目、「その鉄塔に男たちはいるという」9月3日~9日に新宿 THEATER BRATSにて上演中。
出演は、後田真欧(文学座)、オオダイラ隆生(劇団6番シード)、おおたけこういち(劇団スーパー・エキセントリック・シアター)、佐々木穂高(柿喰う客)、鈴木翔音(スタジオライフ)、田中博士(東京タンバリン)、豊田茂(青年座)、新原武(劇団扉座)、沼田星麻(アマヤドリ)、畑中智行(キャラメルボックス)。今回も日本を代表する各劇団から選りすぐりの劇団員をキャスティングし、作・演出には劇団MONO代表の土田英生。さらに今回は、全公演組み合わせが違うシャッフルキャスト公演。
日本の劇団初の”日本戯曲”。
初日は、おおたけこういち(劇団SET)、沼田星麻(アマヤドリ)、鈴木翔音(スタジオライフ)、田中博士(東京タンバリン)、佐々木穂高(柿喰う客)。
真っ暗闇、会話、「うるさい!」誰しもが一度は経験したかもしれない状況、修学旅行だったり部活の合宿だったり。寝ようとしてるのにヒソヒソ喋る。出だしはそんなことを思い出させてくれる。だが、タイトルにもあるように、ここは鉄塔の上、足を踏み外したら間違いなく…。しかも戦争状態、彼らは慰問のためにやってきた芸人なのだが、なんとリーダーを置いて脱走、ここに隠れている。

そんな状況にも関わらず、Tシャツで揉めたり、大の大人が少々子供じみている。そんなところに迷彩服にヘルメット、銃を構えた兵隊がやってくる。

思わず身構える4人だったが、彼は脱走兵だった、しかも彼らが鉄塔にいることは知っていた。彼がやってきたことで少し空気感が変わる。

だが、相変わらず、の彼ら、自由にやりたいと思う者、こんな時だからこそルールを作って秩序を保ちたいと思う者が反目する。止めに入る脱走兵。

観客は「こんな非常時に」と思うかもしれないが、人間のしょうもない性も感じる場面。
とにかくやることがない、どうでもいい会話、また、やるあてもないのにショーの稽古をしてみたり。和気藹々ではないが、彼らは運命共同体、どこか結束力があるような、ないような。そんなこんな、隠れている状況にも関わらず、彼らのいざこざはかなりくだらない、だが、そこが人間。脱走兵は迷彩服を脱ぎ、ヘルメットをとり、銃を下ろし、Tシャツを着るように。一緒にショーの練習をしたり、ほんの少しばかりのささやかな時間が流れる。

だが、戦争状態、争いはいつも理不尽だ。時折、戦争の音が聞こえる。身を隠している彼ら、観たことのある観客は結末はわかるはず、いや初見でも多分、なんとなくオチは見えてくる。

今もどこかで戦争が行われている世界、それでも皆、日常があり、懸命に生きる。ここに登場する男たち、皆いい奴。足を踏み外せば、それでお終い、そんな状況でも時には笑い合う。彼らの性格もうっすら見えてくる。
初日のメンバーは実はこれが初日で楽日。メンバーシャッフルで同じ組み合わせがないのが、今回の公演の”ウリ”、しかも原作の土田英生が演出。老舗劇団からベテランが集う、同じ脚本でも、回ごとに違う世界が見えるはず。公演は9日まで、俳優の息遣いが聞こえる空間、新宿 THEATER BRATSにて。

<過去公演レポ>

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日本の劇団とは
10年以上続く老舗劇団の劇団員からそれぞれ代表者一名が参加し、出演者全員劇団員のみで構成される企画。
クオリティよりも集客率の高い役者を集めて上演する小・中劇場演目が増え、飽和状態になっている昨今の演劇界の中で、個人の集客力ではなく、日本で活動する老舗劇団の中でも粒だった存在感を示し、演技のクオリティを重視したプロの演劇人のみで演劇を作り、作品の面白さを伝えていく。

概要
日程・会場:2025年9月3日(水)~9日(火) 新宿 THEATER BRATS
作・演出:土田英生(MONO)
出演:(五十音順):
後田真欧(文学座)
オオダイラ隆生(劇団 6 番シード)
おおたけこういち(劇団スーパー・エキセントリック・シアター)
佐々木穂高(柿喰う客)
鈴木翔音(スタジオライフ)
田中博士(東京タンバリン)
豊田茂(青年座)
新原武(劇団扉座)
沼田星麻(アマヤドリ)
畑中智行(キャラメルボックス)

舞台美術:松生紘子
音響:今村太志 毎原範俊(S.C.ALLIANCE)
照明:赤田智宏 野上花音(ALOP)
演出助手:小暮邦明(劇団スーパー・エキセントリック・シアター)
舞台監督:倉本徹(倉本工房)
宣伝美術:Lamm Lemon
宣伝写真:白根美恵
票券:Mitt
収録:彩高堂
制作:大関真 大森晴香 熊谷美咲(スーパーエキセントリックシアター)
企画・プロデュース:栗原功平
主催:スーパーエキセントリックシアター

公式 HP:https://www.set1979.com/stage/stageinfo202509/