末原拓馬コメント到着 劇団おぼんろ『ラルスコット・ギグの動物園』開幕 美しく, 哀しく, そして 光り輝く。

劇団おぼんろ第26回本公演『ラルスコット・ギグの動物園』、 Mixalive TOKYO. Theater Mixaにて開幕。
この舞台は、2020年に「ひとりしばい」で公演し話題を呼んだ短編の同名舞台をもとに、劇団おぼんろの公演。
物語は二つの視点で描かれる二本同時上演で、劇団員の末原拓馬、さひがしジュンペイ、わかばやしめぐみ、高橋倫平に加えて、井俣太良(少年社中)、塩崎こうせい、そしておぼんろ初出演で「ひとりしばい」では虎のガラを演じた佐藤拓也が出演。そして物語の鍵を握るカラス役には、萩谷慧悟(7ORDER)、荒牧慶彦、泰江和明、石川凌雅、横井翔二郎、菊池修司、福圓美里、前川優希、鈴木拡樹(出演日程順)という豪華俳優陣が日替わりゲストとして出演。そして、「ひとりしばい」でクレバオーヌを演じた下野紘が、声の出演として本公演に参加。


開演前、キャストが客席に、絡まれることもあるので、絡まれたら楽しく応じよう。舞台と客席の一体感を楽しむための、”前説”的なもの。舞台壁面に電飾、劇団おぼんろらしい空気感。モノローグ、順番に語る、この物語の概略を説明する。

そして登場人物(登場動物)たちが揃ったところでタイトル、映像ではなく、手書きの幕、このアナログ感も劇団おぼんろならでは。動物たちはそれなりに暮らしていたが、ある日、戦争が起こる。戦争、もちろん、動物たちはこの戦争に関与していない、爆弾が落ちる、大騒ぎ。戦争は人間が起こしたもの、動物たちはただ、巻き込まれるだけ、理不尽。
2020年の『ラルスコット・ギグの動物園』では、ひとり芝居であった。しかも全ての物語が、登場する動物たちが異なる。戦争が起きて爆弾が落ちたところまでは同じなのだが、そこから枝分かれしていた。今回は、複数の動物たちが一度に登場するので、それぞれの絡みや関係性、そして各々の性格などがわかる。ちょっと怪しげな人物(動物)も。


「命を嫌いながら、命を集めてつくった園。」管理と秩序に支配されたチノイという都市、その周りに広がる果てしない荒れ地ラガキナ、未来なのか、過去なのか、どこか遠い外国なのか、そこは決まっていない。それは観客の想像に委ねられる。人間として認められたいギグ。親友はラルスコットだけ。怪しい金色の衣装に身を包んだ蛇、曲者感満載。登場する動物たちはすこぶる”人間くさい”愛すべき動物たち。臆病だったり、迷ったり。


ミュージカルではないが、歌やダンスもふんだんに、舞台の高低も存分に使って立体感のあるステージング。末原拓馬が描く独特の世界観、ゲスト出演、ゲネプロでは萩谷慧悟、カラス役、このカラス、この物語のキーマン(鳥)、わちゃわちゃとストーリーが進行、ショーアップされたシーンもあり、ひとり芝居バージョンを観劇したなら、全く新しい物語、と思って差し支えない。動物の数だけ物語があり、それを皆、背負っている。哀しみ、喜び、愛、生と死、特に戦争、というバックボーン、生きることと死ぬことが隣り合わせ。寓話、ファンタジー、だが、描かれている感情は普遍的、だから、ついつい見入ってしまう。

美しいが、どこか物悲しく、そしてどこか光り輝く。ラスト近くのどんでん返し的な展開もまた、楽しい。客席は”高みの見物席”ではない。巻き込まれることもあるのでご用心(笑)。会場になっているTheater Mixaは閉館することが決まっている。物語のどこか儚げな空気感と、劇場が現実として閉館する事実。そんな空気感を感じながら、ひとときのファンタジーを体感して欲しい。下野紘の声の存在感が圧巻。公演は20日まで。しかも物語は二つの視点で描かれる二本同時上演、だから最低2回は!ゲストは日替わり、贅沢な布陣も楽しみたい。

<2020年公演/佐藤拓也>

到着!「ひとりしばい vol.10 佐藤拓也 『ラルスコット・ギグの動物園』 」公式舞台写真

<2020年公演/下野紘>

到着! ひとりしばい vol.11 下野紘『ラルスコット・ギグの動物園』 公式舞台写真

<2020年公演/福圓美里>

到着! ひとりしばい vol.12 福圓美里 『ラルスコット・ギグの動物園』 公式舞台写真

あらすじ
「命を嫌いながら、命を集めてつくった園。」

昔々・・・はたまた未来かあるいは現在か・・・
猛獣を恐れ、管理と秩序に支配されたチノイという都市がありました。
その周りに広がる果てしない荒れ地ラガキナ
――その片隅に残酷なギグという青年がいました。彼はただ一人の親友ラルスコットと共に「人間」として認められる日を夢見て生きています。

ある日、金色のヘビが現れてささやきます。
「命を連れ、街へ行け。見世物にするのだ――」
けれど、その背後には、
魂を喰らうという〈カラス〉の影が忍び寄っていました――。

命を憎んだ青年が、命と生きた、
ちょっと不思議で、すこしだけ怖くて悲しくて
それでもとても、綺麗であたたかい物語。

日替ゲスト
<タイムテーブル>
9月11日(木) 18:30 ☆ 萩谷慧悟(7ORDER)
9月12日(金) 18:30 ☆ 荒牧慶彦
9月13日(土) 13:00 ☆ /18:00 ☆ 泰江和明
9月14日(日) 13:00 ★/18:00 ★ 石川凌雅
9月15日(月祝) 13:00 ★/18:00 ★ 横井翔二郎
9月16日(火) 休演日
9月17日(水) 13:00 ★菊池修司 /19:00(謝肉祭)
9月18日(木) 13:00 ☆ /18:30 ☆福圓美里
9月19日(金) 13:00 ★/18:30 ☆(収録予定) 前川優希
9月20日(土) 11:00 ☆ /15:00 ☆ 鈴木拡樹

概要
タイトル:劇団おぼんろ 第26回本公演『ラルスコット・ギグの動物園』
会期会場:2025年9月11日(木)~9月20日(土) Mixalive TOKYO. Theater Mixa
作・演出:末原拓馬

WEB:https://www.obonro-web.com/obonro26th