南果歩,平田満出演 横山拓也 書下ろし「ハハキのアミュレット」会見コメント到着

可児市文化創造センターalaでは、<ala Collectionシリーズ>、ハハキのアミュレット」が開幕。
本シリーズ16回目を数える今回は、社会問題に鋭く切り込む観察眼に加え、ユーモアとエンタテイメントを盛り込んだ緻密な会話劇に定評のある横山拓也を作・演出に迎え、同族経営の後継者問題で揺れ動く家族の葛藤を炙り出す新作「ハハキのアミュレット」の創作に挑戦。
主演は凛とした強さと華やかさを併せ持つ南果歩、その兄役を熟練の演技で存在感を増す実力派の平田満が演じる。
日本企業の90%以上が同族経営といわれ、核家族化や経済の低迷による企業の弱体化が進む今、後継者問題はもはや避けられない社会課題といえます。棕櫚箒(しゅろほうき)作りを営む家族に焦点を当て、ユーモアを盛り込みながら、家族であることの生き辛さ、時と共に変化するライフスタイルと広がりゆく世代間ギャップ、それでも変わらない家族愛と生きていくことの尊さをドラマチックに描く。

上段左から 横山拓也 福本伸一 緒方晋 田中亨。下段左から 橋爪未萠里 南果歩 東宮綾音

★南果歩 会見コメント
私は今、可児市に住んでおります。
犬を連れて来ましたので、このalaの劇場の徒歩圏内のところに犬と共に暮らしながら、お稽古場に通っています。稽古場に原寸大の美術セットを組んでいただいて、そこでお稽古ができる。そして24時間、演劇のことを考えながら日々を暮らし、稽古場に集い、時々仲間とご飯を食べたり、いろんなことを話したりという、この可児での生活というのは東京では考えられないぐらい豊かで、そして本当に演劇に没頭できる、今まで経験したことのないような演劇の関わり方をさせていただいてます。このalaシステム(滞在型の創作)を全国に広げていってほしいなと思います。東京と可児の時間の流れというのは全く違っていて、土地によっていろんな文化が違い、風習が違い、さまざまな違いがあることを、こうやって実際に長い時間を過ごしていくと実感します。私は兵庫県出身なので、地方の時間の流れをわかっているつもりなんですが、東京の生活が長くなるとだんだんそれが薄れていってしまいます。自分の原点に戻る時間をここでまた感じているというのが今の心境です。
市民サポーターの皆さんの応援にも感謝です。
横山拓也さんの戯曲で一番惹かれたのは、人と人との対話です。人と対話することによって生まれる空気感、互いの違いを知ること、人間関係の中に、自分自身の考えを呼び覚ますようなヒントがたくさんあるということをこの戯曲の中から感じています。私が演じます奏(かなで)は、ある人の出現により、心の中に押し込めていたいろいろな感情と自分が向き合い、戸惑い、答えは見つからないまま逡巡します。でも最後には、自分が向かう方向性を決めていくという素晴らしい瞬間もあります。こういった戯曲に出会えた幸せを今とても感じています。

★横山拓也 会見コメント
『ハハキのアミュレット』の「ハハキ」はホウキの語源なんです。
今回の舞台では、地域は明確にしていませんが、南近畿で使われてきたホウキ、棕櫚箒(しゅろほうき)を造り続けている職人のお話です。ここには後継者問題であったり、過疎の問題であったり、どこの地域でも抱えている社会的な問題、これから考えていかなければいけない問題を扱いながらも、人と人とのやり取りの中で生まれる人生の喜びみたいなものを味わっていただける作品になっていると思います。俳優のみなさんが全員関西出身で、関西弁の台詞で進行していきます。平田満さんだけ東京から戻ってきたお兄ちゃんの役なので標準語ですが、地域性みたいなものも味わっていただけるのではないかと思っております。チラシのビジュアルを見るとちょっとシリアスな印象もあるかもしれませんが、さまざまな人物の心の動きみたいなものを楽しんでいただける、とてもコミカルでユーモアのある作品になっております。
可児の生活ですが、普段東京で過ごしていると忘れていた時間の流れみたいなものに気づかされます。稽古を日中ずっとやっていますが、これだけ稽古に集中させていただける環境、演劇とずっと向き合い、演劇だけのことを考える時間があるというのは、とても豊かで幸福なことだなと思います。市民サポーターの皆さまからお米をいただいたりパンをいただいたり、お腹を十分に満たしていただきながら、幸せに創作活動を邁進しております。
初日に向けて、みんなで一丸となって稽古を進めておりますので、どうぞご期待いただければと思っております。

あらすじ
かつて棕櫚箒(しゅろほうき)の名産地として栄えた南近畿のある町。 しかし今は過疎化の波に飲まれ、町も工房も風前の灯火。幼馴染や仕事仲間と一緒に、倉西商店で棕櫚箒の歴史を守ってきた野花奏(南果歩)。時代に取り残されながらも、伝統を懸命に紡ぐ日々を送っていた。そこへ、町を捨てた兄・雄一(平田満)が突然現れる。過去と現在が交錯し、家族と町に見えないさざ波が立ち始める。消えゆく手仕事の温もりと家族の未来を棕櫚と共に編みなおす“小さな祈りの物語”。

概要
日程・会場:
可児
2025年9月29日(月)~10月5日(日) 可児市文化創造センターala・小劇場
主催:(公財)可児市文化芸術振興財団
東京
2025年10月9日(木)~15日(水) 吉祥寺シアター
主催:(公財)可児市文化芸術振興財団 協力:(公財)武蔵野文化生涯学習事業団
作・演出:横山拓也
出演:南果歩 / 福本伸一、緒方晋、橋爪未萠里、田中亨、東宮綾音 / 平田満
美術:稲田美智子 照明:葛西健一 音響:佐藤こうじ 衣裳:木村春子 演出助手:畑田哲大
舞台監督:深瀬元喜 制作:髙野美保、岩田悠、馬場順子 プロデューサー:澤村潤
宣伝協力:吉田プロモーション 制作協力:ニベル