
20世紀最大の巨匠と称される振付家モーリス・ベジャール(1927~2007)。そんなベジャールは大の日本びいきで、和を題材にした作品をいくつか発表し、今日まで上演され続けている。そんな作品の1つが東京バレエ団のために創作された『M』(1993年世界初演)。上野水香、柄本弾を中心にバレエ団総出演でまもなく開幕。
『M』は三島由紀夫という人物や特定の作品をバレエ化するというものではなく、1人の芸術家としての三島を、彼の代表作である「潮騒」「金閣寺」「鏡子の家」「鹿鳴館」「午後の曳航」などの名作のエッセンスと絡め、何よりも言葉が命である作家を、言葉を用いないバレエで視覚化させたという大胆な作品。
プロモーション映像
舞台は静かな潮騒の音にのせ、老婆(三島の祖母である夏子)に手をひかれて子役扮する少年三島が登場する場面で幕をあける。女性ダンサーたちによる波を表現する美しい群舞が舞台いっぱいに広がり、観客は一気に三島ワールドへと誘われる。その後は世界五大バレエ団とも称される実力派揃いの東京バレエ団のダンサーたちによる力強い踊りが次々とつむがれ、圧巻のフィナーレまで約100分間、息をつくひまもないほど濃厚かつ美しい場面がまるで絵巻物のように展開されていく。
作品のタイトルでもある『M』はMishimaの頭文字であるとともに、海(Mer)、変容(Metamorphose)、死(Mort)、神秘(Mystere)、神話(Mythologie)といった三島の人生の表象でもある。ベジャールは自作の1つをいずれも45歳で夭折したQUEENのフレディ・マーキュリーとベジャールの愛弟子ジョルジュ・ドンに捧げられているが、『M』はベジャールよりも2歳年上で、同じく45歳で自裁した三島に献じられている。三島文学のファンも必見だ。
概要
三島由紀夫生誕100年記念
東京バレエ団『M』
振付・演出・衣裳コンセプト:モーリス・ベジャール
音楽:黛 敏郎、C.ドビュッシー、J.シュトラウス二世、E.サティ、R.ワーグナー
公演日程
2025年
9/20(土)14:00
9/21(日)14:00
9/23(火祝)13:00
上演時間:約1時間40分(休憩なし)
会場:東京文化会館(上野)
ピアノ:菊池 洋子
公式サイト
Japanese https://www.nbs.or.jp/stages/2025/m/
English https://www.nbs.or.jp/lp/m/2025/index.html
簡体字 https://www.nbs.or.jp/lp/m/2025/cn.html
繁体字 https://www.nbs.or.jp/lp/m/2025/tw.html