橋本 淳,黒木 華etc.出演 加藤拓也 新作舞台『ここが海』開幕 コメントも_

加藤拓也と橋本淳がタッグを組んだ新作舞台「ここが海」が、9月20日からシアタートラムにて開幕。
2022年に第30回読売演劇大賞・演出家賞部門優秀賞、第26回鶴屋南北戯曲賞ノミネートと、数々の話題を集めた『もはやしずか』から3年ぶりの新作。
出演は、配偶者から「性別を変更したい」と告げられる主人公 岳人を橋本淳、性別変更の意志があることを告げる友理は、前作『もはやしずか』に続き、加藤と橋本が絶対的な信頼を置く黒木華。2人の子供である真琴は、映像作品を中心に活躍し、今回の舞台出演で新たなステップを踏み出す中田青渚。


とあるホテルの一室。リゾートホテル、岳人(橋本淳)と友理(黒木華)は夫婦、どちらも職業はライター、あちこちを転々としながら仕事をしている。子供は10代、学校にはいかず、オンラインを活用している、という設定。現代的なファミリーだ。なんということもない会話、そして友理はあることを告白する、性別について「女じゃないかもしれない」と。決して否定しない岳人、だが、そう言われるとちょっと動揺する。

そこから、少しずつ、3人の”立ち位置”に変化が。何も変わらないように見せかける岳人、優しさが滲み出る。ホテルでの生活、それぞれのやるべきこと、日々を淡々とこなしつつ、だが、少しずつ変化が。この家族はどこへ向かおうとしているのか、季節の移り変わりもしっかりと描きつつ、彼らの心理、気持ちもさりげなく。

登場人物は3人のみ。ホテルの従業員とか、そういったキャラクターが登場しない分、3人のカルテットがより明快に見えてくる。友理の服装が少しずつ変化していく。自分らしくなっていくのが視覚的にわかる。そして受け入れようとしている岳人、だから友理に色々聞く。職業柄、頭で理解しようとする、受け入れたいが、戸惑いも大きい。

細かい表情や仕草で心情を見せる。ふと俯いたり、笑ったり、その中に見え隠れする感情。岳人を演じる橋本淳、戸惑いを隠せないが、決して否定しない、根底にある愛情を感じるし、対する黒木華演じる友理、告白した方が生きやすい、だが、パートナーとして連れ添った岳人を傷つけたくない、淡々としているように見えて、その揺らぎを黒木華がナチュラルに見せる。そして出番は少ないが、二人の一人娘である真琴、今風の子らしい口の聞き方、少し、物事を斜めに見ているように見えるが、実はナイーブで傷つきやすい少女、中田青渚が健闘。

この家族の着地点はどこなのか、そこは観る観客に委ねられる。ハッピーエンドとかバッドエンドとか、そういう終わり方ではない。様々な思いに馳せることができる。どこか温かく、愛に溢れた終わり方。人と人は関わり合うことで生きている。シンプルだが、そんなことを思う作品であった。三軒茶屋のシアタートラムで20日より。

作・演出 加藤拓也
この物語は、性別を変更したいと家族から告げられた第二の当事者を描いた小さな物語です。家族は暮らしかたも多くの人が経験しているような暮らしかたをしていません。そして「変わっていく人を受け入れることができる」という信頼を、変わっていく人の中に少しずつ積み重ねていく家族の話でもあります。劇場でこの作品を一緒に観れることを楽しみにしています。

橋本淳

開幕まで辿り着くことができたのは、関係者の皆様、そしてお客様のおかげです。心より感謝申し上げます。
演じる側として、しっかり自覚し考え、現時点での明確な答えを表現に乗せるために尽力します。もちろん観た方の数だけ、感じるものや考えがありますので、ただ純粋に鑑賞を楽しんでいただけたら幸いです。
素晴らしいスタッフ・キャストに囲まれていることに感謝しつつ、いつもの作品以上に、その場で起こることに正直に反応し続け、その時間や空間の中で存在出来ることを、より意識して届けられたらと思います。
ぜひシアタートラムにお越しください。お待ちしております。

黒木華

長かったような短かったような稽古期間を経て、いよいよ本番です。
岳人、友理、真琴。
三人でとても濃密な時間を過ごした気がします。
共演のお二人の感情を取りこぼさぬよう、
また一緒に友理を作って下さった方々の気持ちも乗せて、
見てくださる方に葛藤や愛情が伝わりますように精一杯演じたいと思います。

中田青渚

稽古を重ねるごとに作品が少しずつ立体的になっていく感覚がすごく不思議であっという間の稽古期間でした。
舞台に不慣れな私にも、演劇の初歩的な部分から皆さんに沢山のことを教えていただき、難しいけれど演劇って面白い!と感じました。
いよいよ開幕するということで緊張ももちろんありますが、皆さんに観ていただけることがとっても楽しみです!
人と人との関わりを丁寧に描いた作品ですので、ぜひ観に来ていただけると嬉しいです。

橋本 淳インタビュー記事

橋本淳インタビュー 『ここが海』9月20日より上演

あらすじ
岳人と友理は共に仕事をしながら、真琴を連れて日本各地のホテルやロッジ等を転々としながら暮らしている。ホテルに長期滞在中のある日、友理の誕生日を祝う為にレストランを予約していた岳人は、性別を変更しようと思っていると友理から告げられる。

概要
「ここが海」
日程・会場:2025年9月20日(土)~10月12日(日) シアタートラム
作・演出:加藤拓也
出演:橋本 淳 黒木 華 中田青渚
STAFF
美術 山本貴愛
 照明 吉本有輝子
 音響 佐藤こうじ(Sugar Sound) 
衣裳 伊賀大介
 ヘアメイク 谷口ユリエ
演出助手 葛西祥太 
舞台監督 竹井祐樹

ジェンダー・セクシュアリティ
制作協力 認定特定非営利活動法人ReBit 藥師実芳 
ジェンダー・セクシュアリティ考証 若林佑真
制作 佐粧 恵
 プロデューサー 山浦依里子
 エグゼクティブプロデューサー 小見太佳子
企画・製作 株式会社アミューズクリエイティブスタジオ

公式WEB:https://kokogaumi.com