
竹中直人と生瀬勝久の演劇ユニット・竹生企画の第四弾公演。 前作から7年ぶりとなる本作は“演劇 の聖地 ”下北沢 ・ 本多劇場 での上演 。 舞台と客席の距離がより近い空間で「濃い演劇味」が堪能できることは間違いない。 そして共演者は毎回、二人がぜひ舞台で共演してみたい俳優たちを迎えるという趣向。 今回集結したのは飯豊まりえ、戸塚純貴、サリngROCK、松浦りょう、浜野謙太。円熟味を増した竹中・生瀬の二人の怪優と個性豊かな共演陣を倉持裕がどう料理するかが注目ポイントとなる。その”料理される”側である戸塚純貴さんの取材会が行われた。
ーーオファーをいただいた時の感想をお願いいたします。
戸塚:今回ご一緒する生瀬さんとは、公私ともに、大変お世話になっております。もちろん尊敬している役者の先輩でもありますし、生瀬さんとともに演劇を作るのは、非常に大きいので、念願が叶ったという思いが強いです。この演劇界を築き上げてきたおふたりの竹生企画の作品に参加させていただける、身の引き締まる思いですし、自分に一体何ができるのか…楽しみです。
ーー生瀬さん、竹中さんの印象をお願いいたします。
戸塚:生瀬さんは、撮影前に準備してきた以上のものを、現場に応じて新たに生み出す引き出しを多く持っている役者さん。自分だけではなく、周りの方々も巻き込む力がものすごくて勉強になりました。お芝居で生瀬さんとご一緒したときはバディ役だったんです。刑事物のドラマでそのときも生瀬さんと2人で考えた掛け合いとか、こういうのを決まりにしようとか、そういうのを提案してくださったり、自分で生み出していく力がすごい人だなと思いました。竹中さんとご一緒したのは、『スーパーのカゴの中身』というドラマで、ゲストで来てくださり、思っていた以上のものを作り込んできてくださって、いい意味で壊してくれる、次は何やるんだろうかと…必ずそれが面白い方向にどんどんつながっていく。竹中さんには非常に期待した上で、思わず見てしまう魅力、それが全面に溢れでてる方だなと思っています。そんなお2人ですけれど、自分の中ではちょっと正反対なようにも見えてまして…だからこそ、こういうユニットを作っている意味もあると思いますし、その中に入っていくのは、すごく楽しみです。
ーー倉持さんの作品はご覧になったことがありますか?
戸塚:まだです。今回ご一緒するのは初めてですが、もちろん存じ上げております。倉持さんが脚本を書かれているNHKの『LIFE』というコント番組で、先輩のシソンヌの次郎さんが倉持さんに話したそうで『戸塚がめちゃめちゃすごいっていうことだけ伝えといたから、恥かかせるなよ』って…勝手にプレッシャーかけて(笑)、『ちょっとやめてください』と思いました。
ーー理想としている方々ですね。
戸塚:この舞台に声をかけてくださったのは生瀬さんなので、ストーリーでも生瀬さん側にいる人物かと思ったら、竹中さんに近しい役どころだったので、ちょっと意外でした。題材はシリアスに聞こえますが、倉持さんなので、きっとユーモアのある作品になるとは思いますが、それがどういうふうにつながっていくのか楽しみです。
ーーもし、3年後に地球が滅亡するならご自身はそうしますか?
戸塚:本当に普段と変わらない生活をすると思います。あまり変わった生活をしたくないと思っているので、普段と違うことをするときっと疲れるだろうなと思います。地球が滅亡することはなかなか考えないですよね。ドラマや映画でそういう題材は、いくつかあるかもしれませんが、多分法律や秩序がなくなると思いますし、どうせ3年後にいなくなるなら、多分、仕事放棄する人がいっぱいいるかもしれませんね。人間としてのモラルがすごく試されると思いますので、今回のテーマはちょっとびっくりしました。
ーー『マイクロバスと安定』というタイトルですね。
戸塚:マイクロバスがキーアイテムなのかわからないんですけど、イメージでは、大型のバスではなく、町の要の公共のバスでもない、バスの中でも、マイクロバス、そこが絶妙なチョイスだと思いました。フライヤーで撮影した写真が偽物の家族みたいな印象がありまして(笑)、そういうのも、タイトルと相まってつながっているような、つながっていないような印象を持ちました。
ーー本多劇場の感想をお願いいたします。
戸塚:声がものすごくよく聞こえますよね。本多劇場には何度も観劇に行ってますし、ご挨拶をしに楽屋に行ったこともありますが、長年築き上げてきた歴史を感じますし、観劇をしているとこの舞台に立ちたいと思ってきますね。本多劇場はそれが最たる劇場だなと思います。座席で観ていると本当にウズウズして、落ち着きがなくなってきます。自分がもしもこの位置で立っていたらこういうふうに聞こえるかな?あるいはこういうふうに見えるかな?と…そういう見方をするようになりました。本多劇場はすごく楽しみで嬉しいです。
ーーこの企画に声をかけられた理由は?
戸塚:お伺いしてないですね。生瀬さんから『昔の自分と似てる』とおっしゃっていただいてます。槍魔栗三助(旧芸名)時代の話なのか、わからないんですけど、槍魔栗三助時代の写真や20代のときの宣材写真とかを拝見すると、表情の作り方や佇まいがどことなく似てるんです。それを生瀬さんご本人がおっしゃってくださっているので、重なるものがあるのかな?と勝手に思っています。今回、前回公演から期間が空いていますし、今回の題材も、真に迫るようなテーマを持ってきているのも、きっとこの竹生企画の空白の期間の思いが”マイクロバス”に乗っている気がします。
ーー読者に向けてメッセージをお願いいたします。
戸塚:今感じている段階では、SNSなどデジタルなものがたくさんあり、人との距離感が難しくなっています。そういう時代をリアルに生きている中で、今まで考えられなかった何かに直面せざるを得ないような舞台になるイメージがありますので、観てくださった方には、普段の自分たちの生活では味わえないようなものを届けられたらいいなと思います。
ーーありがとうございました。公演を楽しみにしています。
あらすじ
「終わり」がちらつく
小惑星の衝突によって世界が滅亡すると発表されてからしばらく経って、
だったらこれまでしてこなかったことをして生きようという者と、
これまでと変わらず生きようとする者とに分かれ、それぞれ別々のブロックで暮らすことになる。
舞台は後者のブロックにある一軒家。
滅亡までは約三年。
「終わり」が目の前をちらつくたびにそれまで自分でも聞いたことのない唸り声を漏らしてしまうけれど、それでも「いつもどおりいつもどおり」と今までにない星がひとつ増えた空の下で生きる人々の物語。
概要
竹生企画第四弾 『マイクロバスと安定』
作・演出:倉持 裕
出演:竹中直人 生瀬勝久 飯豊まりえ 戸塚純貴 サリngROCK 松浦りょう 浜野謙太
公演期間・劇場
2025年 11月 8日(土)〜30日(日) 東京 下北沢 本多劇場
2025年12月 5日(金)〜7日(日) 兵庫 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
2025年12月 10日(水) 広島 JMSアステールプラザ 大ホール
2025年12月 13日(土) 熊本 市民会館シアーズホーム夢ホール
2025年12月 19日(金) 盛岡 トーサイクラシックホール岩手 大ホール
2025年12月 21日(日) 久慈 久慈市文化会館アンバーホール 大ホール
2025年12月 23日(火) 青森 リンクステーションホール青森 大ホール
2025年12月 27日(土) 長岡 長岡市立劇場 大ホール
公式WEBサイト:https://www.cubeinc.co.jp/archives/theater/takenama-4