メフィスト賞・三島由紀夫賞など数々の文学賞を受賞し、その強烈な文体と個性が際立つ「舞城王太郎」。
2002年に発表された青春ミステリー小説『世界は密室できている。』 が、丸尾丸一郎脚本・演出によって数々のオリジナルソングを用いて舞台化。
今作の主人公である「西村友紀夫」と「ルンババ」を、なんと今公演では回変わりで糸川、笹森 両氏が演じる。


シンプルな舞台セット、ルンババこと番場潤二郎の姉涼子が、飛び降り自殺してしまったり、そのショックで男物の乳首のような湿疹がルンババの体中にでてきてしまったり。非日常な彼らの日常。また「西村友紀夫」と「ルンババ」、中学生らしい会話、そして修学旅行が東京、スクリーンに映る東京の風景、サンシャイン60とか都庁などが映し出される。もう”お上りさん”状態。そんな二人の姿が微笑ましい。そこで出会う姉妹。東京に行くだけでも冒険、そこにさらなる冒険、その姉妹が一言でいえば「ぶっ飛んでる」、そして殺人事件。非凡なことが次から次へと起こる、ミステリー要素満載だが、描かれていることは普遍的。青春だったり。糸川耀士郎と笹森裕貴がこの二人を交互に演じる。

拝見したのはDチームの西村友紀夫役を笹森裕貴、番場潤二郎(ルンババ)は糸川耀士郎、井上榎役は小田えりな。笹森裕貴の西村友紀夫は全身で青春してる10代を熱演、糸川耀士郎のルンババは登場しただけで、空気感を変える。

リズミカルでテンポよく進んでいく展開、また、中盤あたりでタイトルの意味もうっすら見えてくる。密室、殺人事件とくれば、かの有名なアガサ・クリスティーをイメージするかもしれないが、全く違うスピード感を持ってトリックが解き明かされる。そして、意外性もあり、エンターテイメント・ミステリー、丸尾丸一郎が舞台化を熱望したのも頷ける。


歌、音楽、そしてコンテンポラリーな振り付けで独特の世界観をビジュアル化、立体化。作品ファンは「これが舞台になるとこうなるのか」という意外性と驚き、作品が全くわからなくても、十分に楽しめるエンタメ性、原作がある舞台化というのは、ファンだけでなはなく、そうでない人にもアピールできなければならないが、この舞台、『世界は密室でできている。』はむしろ原作を紐解きたくなる。


重鎮・山本亨が二役、ここも見どころ。上演時間はおよそ2時間、公演は11月2日まで。


あらすじ
15歳の僕と14歳にして名探偵のルンババは、家も隣の親友同士。
中三の修学旅行で東京へ行った僕らは、風変わりな姉妹と知り合った。僕らの冒険はそこから始まる。
地元の高校に進学し大学受験――そんな10代の折々に待ち受ける密室殺人事件の数々に、ルンババと僕は立ち向かう。
舞城王太郎の青春ミステリー・エンターテイメントが、丸尾丸一郎によって初の舞台化を遂げる!!

概要
OFFICE SHIKA PRODUCE
『世界は密室でできている。』
日程・会場:2025年10月24日 (金)〜11月2日(日) シアターサンモール
原作 舞城王太郎『世界は密室でできている。』(講談社)
脚本・演出 丸尾丸一郎(劇団鹿殺し)
振付 平原慎太郎、大西彩瑛
出演
糸川耀士郎 笹森裕貴
岡部麟 小田えりな 田口愛佳(AKB48) 橘輝
山本亨
西出将之、大西彩瑛、AYUBO、村井玲美、山本悠貴
劇団鹿殺し
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