藤原竜也主演舞台「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」の製作発表会が行われた。
原作は日本を代表する世界的作家・村上春樹が36歳の時に発表され、海外でも人気の高い長編小説「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」、この初舞台化、フィリップ・ドゥクフレ演出・振付、藤原竜也主演、共演は森田望智、宮尾俊太郎、富田望生、池田成志、駒木根葵汰、島村龍乃介、藤田ハル、松田慎也。

製作発表会に登壇したのは藤原⻯也、森⽥望智、宮尾俊太郎、富⽥望⽣、駒⽊根葵汰、島村⿓乃介、池⽥成志、そしてフィリップ・ドゥクフレ(演出・振付)
フランス大使館公使より挨拶。

「『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』は1992年に翻訳出版されています。この作品が選ばれたのは特筆に値します。世界中で多くの読者を魅了する作品となったのは、アイデンティティと記憶に繋がるテーマを扱いながら、現実とファンタジーの世界を行き来する物語というだけでなく、知的で哲学的な息吹も要因の一つです。こうした物語を舞台化するのは大きな挑戦だと思われます」とコメント。

それから堀会長より挨拶。
「東京を皮切りに、今、公使がおっしゃっていただいた通り、『海辺のカフカ』以来のワールドツアーです」とコメント。
国内ツアー公演の後は、シンガポール、中国(上海、北京、蘇州)、イギリス、そして最後にフランス公演。詳細は後日。
そして各地の劇場関係者からコメントが披露。作品への期待値が高いことが伺える。それから登壇者の挨拶。

フィリップ・ドゥクフレ(演出・振付)「このように長くお付き合いいただけるということは大変私も心を動かされております。今回も素晴らしいチームを組んでいただきました。俳優の皆さん、そしてテクニカル技術スタッフ、制作スタッフの皆さん、本当に大勢で非常に質の良い仕事を皆さんしてくださってます。本当に心から感謝申し上げます。最初にこの作品を知ったとき、まず、どのように舞台にかけられるのだろうかと思いました。異なった二つの世界そして、数々の舞台装置、そういう環境があるので作品としても700ページの作品ですし、非常に豊かな世界。これは無理ではないかというふうに思ったんですが、だからこそ興奮を感じたのかもしれません。いわゆる演劇でもなく、いわゆるバレエでもなく、いわゆるミュージカルでもなく、と言いながら、その全てが同時にあるような、そんな作品です。願わくば、新しい何かを皆様にそして特別な何かを皆様にご紹介できたらと思います。稽古がまだ始まったばかりでので、どんなふうになるかというのはまだお話できない状態なんです。けれども、この素晴らしい皆さんと一緒に私達は(作品を)追求をしているところです」

藤原⻯也「フランス大使館は初めてで嬉しく思います。村上春樹さんの作品は初めて。そして初めてのフランス公演、」世界的文学的作品をフランスの方たちに受け入れてもらえるような、海外の方々に受け入れてもらえるような芝居を作っていきたいと思います。フィリップさんは大変だと思いますけど、村上春樹作品は初めてですけど何とも言えない世界観、二つの世界が同時に進行して失ったものを一つ求めていくっていう作品なんですけれども、これを何とかフィリップスさんの期待に応えてですね、我々今必死に稽古していいものを作り上げていこうといいえております。皆さんおっしゃいましたけど稽古は始まったばかりで、まだ試行錯誤してるんですけれども、フィリップさんが稽古初日におっしゃってました。やはり良い舞台にしたい、いい作品にしたい、その一つの目標に向かって世界の人たちに届けられる、いい芝居ができるように頑張っていきたいと思います」

森⽥望智「私自身初めての舞台なので素晴らしいキャストの皆さんダンサーの皆さん、そしてフィリップさんから日々学ばせさせてもらっています。すごく刺激的な毎日を送っています。司書と彼女に関してもいろんな捉え方があると思うんですけれど、私自身としては、何か彼女は何か私が失ったものを体現している存在で、司書の方はそれをなんか彷彿とさせる。現実世界に引ける、あの女性だなと考えておりまして、同時にその私と僕が惹かれ合う1人の女性でもあるので、そういう共通な繋がりを持ちつつも、何か同じ人なのか、違う人なのか、捉えどころのない…見た方にとって余韻の残る人物になったらいいなと思いながら日々過ごしていて、私自身もまだ答えがないので、何か模索している状態です」

池⽥成志「役作りといいますか、博士は、今、僕は考えてるのは、科学に対してとても純粋無垢な人ですね。僕と私っていうのが、この二つの世界でこうなってしまったっていうかそういう状態が見えるようになってしまった状態を作った張本人なんですが、とても無邪気に、なぜなんだろう、どういうことなんだろうと追及してる人でございまして。一方、博士は世界の終わりに住んでらっしゃる方で、全てを捨てて、安らぎの世界で生きてる方。僕に出会って、ちょっと心を動かされてるんじゃないかなっていう感じなんです。けれども、2人、非常に微妙で繊細。おそらくフィリップスさんが作る世界が美しい世界で、村上さんの原作も不思議でその内部の世界なんですけれども、私は普段、非常に雑で大雑把な、いい加減な芝居をやっているのでその繊細さをどうすればいいんだろうと非常に今、もがいている状態で苦しんでいます。その結果をぜひご覧いただければと思っております」

宮尾俊太郎「まず日本で制作したものがこれだけ海外で上演できることがやはりすごいことで、演者としてはすごく嬉しいです。ずっと僕はバレエダンサーとして言語のない世界で表現させていただいてきましたが、身体的に言うならばやはり筋肉を使って空気を振動させて表現するといったことでは違いは大きくはないかなと思っていますし、言語というのは、伝える相手がいて成立するものだと思います。自分の内側に向いたもの、より本能的であり、精神性というものがあると思います。今回の作品においては、やはり私の深層心理の世界の中に入ってきますので、自己との対話というところでは、言語を使い、より1人の内側に向いた精神性本能的な部分というのが表現できるかなと今模索しているところです。フランスからフィリップさんがお越しいただいて日本のアーティストの方と一緒に仕事をして、そしてそれを世界にお届けできる、非常に楽しみにしております」

富⽥望⽣「ピンクの女というとても魅力的な人物を演じられること本当に光栄に思っております。小説を読んで、この小説世界の想像の膨らみ方とか、またはピンクという女性に対して、どういう印象をお持ちか読んだ方々それぞれによって違うのではないかなと思っています。実際に稽古を進めていく中で、私自身が感じていた小説に対する思いとかピンクに対する思いっていうものが皆さんと良い意味で違ったりとかしていて。稽古を進めていく中で、いろんな角度からスパイスとか潤いを与えていただいている時間になってるなと思っています。そんな中で稽古を進めているので、本当にまだ私自身、舞台の上に立ってピンクを生きる、その答えというのはまだ見つかってないんですけれども、このキャストの皆さん、そしてダンサーの皆さんとフィリップさん、いろんなものをいただきながら、きっとピンクの冒険、私の冒険を見つけることができるのではないかなと思ってとてもわくわくしております。毎日稽古場でドキドキしているんですけれども…ピンクの前に訪れるものをキャッチしながら精一杯生きていけたらなと思っておりますのでぜひお楽しみにしてください」
駒⽊根葵汰「僕も初めての舞台になるんですが、一つの役を2人で演じるということも初めての経験で、そこはもう島村くんと一緒にいろんな意見を出しながらより良いキャラクターになるように日々精進していきます。本当にいろいろ…みんなでちゃんと作品を作り上げているという感覚を体感しながら、舞台ってこういうものなんだなと感じています。稽古の様子に関しても、本当に自分がでてないパートとかを見ているときにこんなに美しいものができるんだなと本当に完成が楽しみですし、皆さんに、より良い舞台を届けられるようにこれからも努力していきたいと思います。」

島村⿓乃介「初めて海外で舞台をさせていただくので、本当にもうすごく緊張してるんですけれども、海外で僕がどう見られるのかとか、どう評価されるのかっていうのが、僕の中ですごくわくわくしてて、公演を通して自分がどう成長してるのかっていうのをすごく楽しみにしています。海外公演はやっぱり言葉とか文化とかっていうのは本当に日本とは全然違うと思っているんですけれども、舞台の物語を届ける力は、僕の中では世界共通なのかなと思っています。言葉だけではなく、仕草だったり振りだったり、そういうのも、これからの稽古を通して詰めていって、言葉だけじゃなくそういう、そういったもので皆さんにこの素敵な物語をお届けできたらなと思っております」
それから質疑応答、今、この時代にこの作品を上演する意味、意義について。

藤原竜也「僕は本当に話をすると長くなるので…。15歳でこの演劇の世界に入っておりまして、15の時から村上春樹さんの作品を蜷川(幸雄)さんに『読め』と言われてそこで初めて本を手にしたわけですけれども、そこから村上春樹さんの作品、シェイクスピアとも違う、三島由紀夫さんとも違う。何か、我々の細胞の何かを揺るがせてくれる、蘇らせてくれる、目覚めさせてくれる文体が…そこには確かなものがあって常にドキドキさせてくれる…しっかりと作品を、言葉を文言を皆さんに届けたいなっていう思いではあるんですけれども、これ今これをやる意味を問われれば、何とも言えないんです。けれどもこのメンバーとフィリップスさんと組めるわけですから、この座組を持って、この戯曲を届けたいっていうことです。あんまり難しいことは僕は言えないんですけれども、演劇なんてちっぽけなものですから、まだ頑張って作っているんですよね。見ても見なくてもいいと思うんですよ。見たくなければ見なくていいし、でも見てちょっとでもね心が動けばそれでいいと思うんです。だからぜひ劇場に来てくださいとは言いません。見たかったら来てくださいね」
フィリップ・ドゥクフレ「私としてはもう日本に来られる、素敵な機会なので。この本を読んでも本当に熱狂しましたので、このお話をありがたくお受けしたのですが、私達が現在生きている世界はいろんなものが失われつつある世界だと思うのです。今回の作品舞台はハイブリッドないろんなものが…まさに現代の世界にも似たようなものかなと思ったのです。失われた愛を求めていくというようなストーリーです」

また演出について。
フィリップ・ドゥクフレ「ビデオ映像が入っていたりパネルが入っていたりまた音楽もたくさん入っているような作品になります」とのこと。
最後に公演PR
藤原竜也「初日1月10日、時間あるようでないような…一生懸命頑張って稽古して素晴らしい作品を届けたいと思います」

あらすじ
“世界の終り”と“ハードボイルド・ワンダーランド”という二つの世界が同時進行で描かれる。
二つの物語が織りなす、思いもよらない結末とは――。
・ハードボイルド・ワンダーランド
“組織”に雇われる計算士である“私”(藤原竜也)は、依頼された情報を暗号化する「シャフリング」という技術を使いこなす。ある日私は謎の博士(池田成志)に呼び出され、博士の孫娘(富田望生)の案内で地下にある彼の秘密の研究所に向かい、「シャフリング」を依頼される。博士に渡された贈り物を開けると、そこには一角獣の頭骨が入っていた。私は頭骨のことを調べに行った図書館で、心魅かれる女性司書(森田望智)と出会う。だが博士は研究のために、私の意識の核に思考回路を埋め込んでいた。世界が終るまでの残された時間が迫るなか、私は地下世界から脱出し、どこへ向かうのか。
・世界の終り
周囲が高い壁に囲まれた街に“僕”(駒木根葵汰/島村龍乃介)はやって来た。街の人々は一見平穏な日々を過ごしている。僕は街に入る際に門番(松田慎也)によって影を切り離され、いずれ“影”(宮尾俊太郎)が死ぬと同時に心を失うと知らされる。僕は古い図書館で美しい少女(森田望智)に助けられながら一角獣の頭骨に収められた夢を読む仕事を与えられていたが、“影”から街の地図を作成するよう頼まれる。影は街から脱出する方法を模索していたのだ。僕は地図を完成させるために、図書館の彼女や大佐、発電所の青年(藤田ハル)から話を聞き、街の正体を探るのだった。
概要
舞台「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」
日程・会場
東京
2026年1月10日(土)〜2月1日(日)東京芸術劇場 プレイハウス
宮城
2026年2月6日(金)〜8日(日)仙台銀行ホール イズミティ21
愛知
2026年2月13日(金)〜15日(日)名古屋文理大学文化フォーラム(稲沢市民会館)大ホール
兵庫
2026年2月19日(木)〜23日(月・祝)兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
福岡
2026年2月28日(土)・3月1日(日) J:COM北九州芸術劇場 大ホール
スタッフ
原作:村上春樹
脚本:高橋亜子
演出・振付:フィリップ・ドゥクフレ
出演
“ハードボイルド・ワンダーランド”の私:藤原竜也
“ハードボイルド・ワンダーランド”の司書、“世界の終り”の彼女:森田望智
“世界の終り”の影:宮尾俊太郎
“ハードボイルド・ワンダーランド”のピンクの女:富田望生
“世界の終り”の僕:駒木根葵汰(Wキャスト) / 島村龍乃介(Wキャスト)
“ハードボイルド・ワンダーランド”の小男、“世界の終り”の管理人:藤田ハル
“ハードボイルド・ワンダーランド”の大男、“世界の終り”の門番:松田慎也
“ハードボイルド・ワンダーランド”の博士、“世界の終り”の大佐:池田成志
上松萌子 / 岡本優香 / 冨岡瑞希 / 浜田純平 / 原衣梨佳 / 古澤美樹 / 堀川七菜 / 山田怜央 / 吉﨑裕哉 / Rikubouz (50音順)
協力:新潮社・村上春樹事務所
主催・企画制作:ホリプロ
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