ミュージカル『ふしぎ遊戯-蒼ノ章-』 「自分を信じる、愛してくれる人がいる、だから負けない!」

人気コミック「ふしぎ遊戯」は現在シリーズ累計販売は 2000 万部以上。女子中学生が本の中に吸い込まれてしまう幻想的なストーリ ー、1995 年にはアニメ化もされ、「ふし遊」と言われて親しまれている。

2010 年初演、2011 年朱雀編、2012 年青龍編と 3 度にわたり舞台化。2016 年には初のミ ュージカル化で前編となる「朱ノ章」を上演、今回は後編を「蒼ノ章」として上演、ミュージカル版の完結編となる。

キャストには、「四神天地書」という不思議な本の中に吸い込まれ異世界で翻弄されてしまう、主演・夕城 美朱を、田中れいなが続投。美朱を助け、守り続けていく少年・朱雀七星士・鬼宿(たまほめ)を演じるの は、本シリーズ初演から参加し、数々のミュージカルにも出演、歌唱力にも定評のある平野良。夕城美朱の 親友でもあり、敵対する本郷唯に「SUPER☆GiRL」の宮崎理奈が初出演。そして、ドラマやバラエティなど でも活躍中、同じく初演から出演し、原作の大ファンでもある宮地真緒が朱雀七星士・柳宿(ぬりこ)を演じる。

最初はストーリーの説明、夕城美朱(田中れいな)と親友の本郷唯(宮崎理奈)は本の中に!「助けなきゃ!」と叫ぶ夕城奎介(坂本真一)、場面は『本の世界』へ、鬼宿(平野良)と美朱は相思相愛、「朱雀七星士としてお前を守る!」そして美朱を連れて家に帰ると・・・・・・皆殺し!「俺が殺してやったんだ」という角宿(前田隆太朗)。

物語は歌とアクションをアクセントにスピーディに進んでいく。映像は使わずに照明、効果音、そしてアンサンブルの動き、フォーメーション、手にしている布で様々な技や心情などを表現する。玄武 の国・北甲国にある神座宝を使えば、朱雀を召喚できるという情報を得た美朱たちは、船で北甲国へ向かうのだが、多くの試練が降りかかる。

柳宿(宮地真緒)が尾宿(宮川智之)と1人戦う。「なめんなよ!」致命傷を負いつつも勝利、最期の力を振り絞り、入口を塞いでいた大岩を退けて力尽きるところは1幕の号泣シーン。宮地真緒はこのシリーズは初演からこの役を演じているが、当たり役。「精一杯、生きた、最後まで」と歌い、目的に向かって歩き出す朱雀七星士の一行。なぜ彼らは美朱に付き従うのか、それは「朱雀の巫女」というだけではなく、彼女の心意気と仲間や友達を思いやる姿に共鳴しているからに他ならない。

原作を知っていれば、この先に彼らに襲いかかる試練もわかっているのだが、それでも「次はどうなるんだろうか?」と観入ってしまう。美朱の親友の唯の複雑な心境、それを利用している心宿 (輝馬)、世界を、すべてを憎悪、仲間をも信じることが出来ない。そんな彼を慕う房宿(花奈澪)、彼女の最期は、哀れであるが、愛に殉じる姿は美しい。すべてのキャラクターにしっかりとドラマがあり、それをきっちりと描き切り、見せ場もふんだんに、そして時には楽しいやり取りもあって飽きさせない。

鬼宿の男気、美朱の諦めない気持ち、仲間を信じる、相手を思いやる、愛を貫く強さ、「命をかけて守るものがある」「自分を信じる、愛してくれる人がいる、だから負けない!」「願いを叶えるのは人の思い」、ラストは胸が熱くなる。平野良が演じる鬼宿、そしてヒロイン役の田中れいな、コンビネーションも良く、特にラスト近くの二重唱は聴かせどころ。その他のメインキャストも安定感があり、輝馬演じる心宿 の冷徹ぶりはアクセントに。
これでシリーズが終わってしまうのは、ちょっと寂しくなる、もっと鬼宿たちの冒険、活躍を見ていたい気がする。

 

ゲネプロ前に囲み会見とフォトセッションがあった。登壇したのは田中れいな、平野良、宮崎理奈、輝馬、宮地真緒、谷佳樹。
田中れいなは「2年空いて、新しいキャストさんも加わってどんな風になるんだろうと稽古をやっていました。お稽古は楽しくって。前回は笑うシーンとか楽しいシーンが多い印象で、今回は感情の上がり下がりが激しいシーンが多いので難しかった。来てくれた方に感動を与えられるように頑張りたいと思います」とコメント。初演から鬼宿を演じている平野良は「8年分の思い、積み上げてきたものが乗っかっている。3時間!すごいものを見たなと思って頂けるかと」と語る。宮崎理奈は「長い歴史のある作品に携われて嬉しいです。自分らいものを出せたら。楽しくやりたい」とコメント。輝馬は「初参加です。歌、演技、盛りだくさんです、3時間!千秋楽まで怪我なく!」と語るが、休憩込みの3時間、各キャラクターの感情が濃密で、ドラマ性も高く、本当に盛りだくさん!谷佳樹は「僕も初参加です。稽古から毎日積み上げてた一体感を、みんな仲良くいい空気で・・・・・・これはすごいことで、それは伝わると思う!全力で最後まで!」と語ったが、稽古場での良い雰囲気が随所に感じられる。宮地真緒は「(平野)良さんと同じ2010年から」やらせていただいて、何度も演じられるのは幸せなこと。新しい発見もあって・・・・・作品を知っている方も知らない方も楽しんで頂けます」とコメント。田中れいなは改めて「2年の間で色々な作品に携わせてもらって色々な役者さんの良いところを勉強させていただいての今回の舞台、2年前より良くなったと言ってもらえるようにやれたらいいなと思います」と言い、平野良は「足腰の弱さが(笑)と笑わせた。しかも「武器を持たないアクション、今回は脚が笑う(笑)」とおどけたが、キレのいいアクション、ジャンプや回し蹴りも決まっており、客席から見る限りでは『健脚』。また、共演者同士で誕生日のお祝いやピザパーティーをしたそう。稽古現場でも写真を撮りあう仲の良さで、そのチームワークは舞台でも感じられる。田中れいなは「笑いが絶えない稽古場で」と語る。また見所について平野良は「ひとりひとりの物語がある。ミュージカルシーンの見せ場はアンサンブル、ダンスの華麗さを是非!」と語る。全員スキルも高く、豪快で流麗、勢いのある群舞は必見!
それから和やかにフォトセッション、会見は終了した。

<あらすじ>
時は現代。 主人公の夕城美朱(ゆうきみあか)は、親友の本郷唯(ほんごうゆい)とともに、図書館で「四神天地書」 という不思議な本の中の異世界に吸い込まれてしまう。

そして、それぞれが「朱雀の巫女」「青龍の巫女」としての任務を負い、さまざまな不幸が重なり、2人は 対立することに。美朱側・紅南国は「朱雀」を、唯側・倶東国は「青龍」を召喚し、3つの願いを叶えよう とする双方。

朱雀召喚に必要な「朱雀七星士」を集めた美朱だったが、四神天地書を失い、その術を失った。だが、玄武 の国・北甲国にある神座宝を使えば、朱雀を召喚できるという情報を得た美朱たちは、船で北甲国へ向かう のであった…。

ミュージカル『ふしぎ遊戯-蒼ノ章-』稽古快調!脚本・演出・音楽:浅井さやかコメントも到着!公演は10月13日より!

【公演概要】

ミュージカル『ふしぎ遊戯-蒼ノ章-』
日程:2018年10月13日(土)〜10月21日(日)(全15ステージ)
劇場:全労済ホール/スペース・ゼロ
原作:渡瀬悠宇(「ふしぎ遊戯」小学館刊)
脚本・演出・音楽:浅井さやか(OneOnOne)
キャスト:田中れいな、平野良、宮崎理奈、輝馬、
宮地真緒、谷佳樹、松岡卓弥、小笠原健、葉山昴、薫太、花奈澪、前田隆太朗、
高根正樹、川崎優作、及川洸、木田健太、富田大樹、小島ことり、宮川智之、深澤恒太、坂本真一、
石橋拓也、佐々木雄治、鹿内大夢、清水錬、寺木慧佑、坪田ヒロキ、轟大輝、藤本将道、増田拓磨、森遼

監修:小学館
企 画 ・ 製 作:amipro
公演HP:http://www.39amipro.com/fushigi-ao/

取材:Hiromi Koh