『体内活劇「はたらく細胞」』「死ねーーおらああああああ!!!!!!」「このままで終わると思うなよ!!!!!」仁義なき果てしなき戦いは・・・・。

人間の体内に存在する細胞を擬人化したコミック「はたらく細胞」、アニメ化も果たし、そしてまさかの舞台化、『体内活劇』と銘打って11月16日より上演。この作品は原作者である清水茜初の連載作品で2016年の「このマンガがすごい」の第7位に輝いている。

幕が開く前にいわゆる『前説』、これをキラーT細胞たち(君沢ユウキ、他)とナイーブT細胞(太田将熙)が行うが、マッスルなキラーT細胞たちとちょっとヘタレなナイーブT細胞の掛け合いが楽しい。すぐに叩かれるナイーブT細胞、何かとでかい声を出し、上腕二頭筋を誇示するキラーT細胞、ここから観客はこの「はたらく細胞」の世界に。

幕開き、ナレーションが入る。人間の細胞の数は約37兆個以上、と解説。字幕で赤血球の働きが映し出される。そしてすぐに客席から!バイ菌たちが!肺炎球菌(馬場良馬)が!「今日からここは俺たちの国だ!」と高笑いしたと思ったら・・・・・・そこへ「死ねーーおらああああああ!!!!!!」「この雑菌野郎!!!!!!」とやってきたのは白血球(和田雅成)、コミックやアニメを知っていれば、もうこのセリフは『お約束』だ。のっけからアクション!これもまた、よくある捨て台詞、「このままで終わると思うなよ!!!!!」と肺炎球菌。それからキャラクターがテーマ曲にのって賑やかに登場するオープニング。それから物語が始まる。しょっちゅう道を間違えるおちょこちょいな赤血球(七木奏音)、手に持っているダンボール、これはO2、つまり酸素、赤血球は身体の隅々にまで酸素を運ぶが、免疫細胞のような戦闘能力はないので、何かあれば、基本的に逃げるしかない。この赤血球は細菌の侵入など、トラブルの現場に居合わせることが多く、肺炎球菌に襲われたことから、白血球と知り合いになる。

次から次へとこのコミックに描かれているキャラクターが登場する。血小板(岸田結光、森田 恵、木内彩音)は、もうとにかく可愛い!3人1組で登場する。「よいしょ、よいしょ」の掛け声もキュート。白血球も赤血球も筋肉質のキラーT細胞も、みんなこの3人にはメロメロだ。

出てくるエピソードは基本的に原作通り。よってどんなことが起こるかは観劇前から分かっているのだが、それでも面白おかしい。体内にいては困る化膿レンサ球菌(増田裕生)、肺炎球菌、黄色ブドウ球菌(富田翔)たち、もうコミック通りのビジュアルを再現、わかりやすい悪者であるが、そこにコミカルな味付けをして、確かに悪いやつらではあるが、憎めない。そしてすぐに白血球の「死ねーーー!!!」の声とともにやられてしまう、この『お約束感』がなんとも言えず、おかしさと哀愁があり、ちょっと感情移入できるキャラクターに。そして劇場の客席は身体の中という設定なので、当然、観客が巻き込まれるところもあり、ここは素直に巻き込まれることをおススメする(いじられることも覚悟)。

とにかく身体の中は大騒ぎ、危機に次ぐ危機、そのたびに細胞たちは戦ったり、逃げ回ったり。しかし、これは大げさなことではなく、実際に身体の中では細胞たちが頑張っている。そして季節柄、インフルエンザの季節なので、もちろんインフルエンザウイルス感染細胞(髙木 俊)も登場、ここは皆、これからインフルエンザにかかるかもしれないので、よく見ておくと『予防』になるかも??!!

ノンストップの約2時間、身体の中の大活劇を舞台上で『再現』、テンポよくリズミカルに物語は進んでいく。大いに笑うところもあり、また、ちょっと涙、なシーンも用意されており、しかも身体の中がよくわかる!映像も過剰にならず、基本的に身体を張ったアクションがメイン。キラーT細胞と男勝りなNK細胞、演じるのは元宝塚歌劇団男役スターの茉莉邑薫、君沢ユウキとのアクションの応酬はなかなか見応えあり。アンサンブル陣の活躍、もう何役もこなして八面六臂!出番は少なめだが、ヘルパーT細胞(戸谷公人)と制御性T細胞(甲斐千尋)の息のあった掛け合い(お約束のお茶をしている)、メルヘンな格好ですごいことをするマクロファジー(平田裕香)など、どこを見ても面白いキャラクターしかいない!見終わった後はビールやチューハイではなく、青汁の一気飲みで締めたい。これから風邪の季節だから!


ゲネプロ前に囲み会見があった登壇したのは和田雅成、七木奏音、君沢ユウキ、馬場良馬。
まずは挨拶、「お客様と一緒にこの世界を作りたい」(和田雅成)「ついにこの日が!楽しみにしています」(七木奏音)「細菌を発見次第、2秒で殺す役です」(君沢ユウキ)「僕自身は違う世界でしたが、ヒーローをやっていました。その時の知識を存分に活かして今回の!肺炎球菌、かませ犬!頑張ります」(馬場良馬)
見所については「白血球は雑菌見つけた時はすごい形相ですが、天然さがあるので、そこが白血球の可愛さかな?可愛さ出せるように!」と解説。そのギャップはかなりの落差。「酸素を運ぶ仕事ですが、とにかく迷子になるので、そのおかしな感じを出せたら」と七木奏音。舞台上では迷子になるばかりではなく、よくコケる!「とにかく戦います!アクション、演出のきださんがこだわっていて、そういうところがたくさんあるので、いろんな種類の戦いを楽しんで」と君沢ユウキ。『体内活劇』と銘打っているこだわり、ここは必見シーンで映像とのコラボもあり、全くのアナログな場面もあり。「悪い人ながらに、どう笑いを残していくのか、をモットーにしています」と馬場良馬はコメントしたが、ここで他のキャストから「馬場良馬が一番面白いですよ」と『補足説明』が。冒頭から『THE  悪いやつ(でも、きっとすぐにやられる)』を全開!衣裳については「白いなーー基本的に僕は腹黒です(笑)レセプターはしっかりおっ立てていきます!」と和田雅成。「私は『赤いな』って(笑)」と七木奏音、君沢ユウキは「黒いなーー(笑)。アメリカの海軍の特殊部隊みたいな感じでテンション、上がりますね」といい、「細菌チームは、衣裳は一番お金がかかっています(笑)、それに見合ったお芝居を!」と馬場良馬。細菌チームの衣裳の造形は必見。稽古の雰囲気は楽しかったようで「本当に面白くって!」と和田雅成。そのチームワークの良さは掛け合いに。細菌たちとの戦いだけでなく、細胞同士の会話もなかなか笑える。特に白血球は細菌と1vs1で対峙することが多いため、アドリブ風なのもあったり。そこはきっと毎回ちょっとずつ変わっていくところであろう。また稽古場でも血小板の子供たちが可愛く、最初は緊張していた様子であったそうだが、ゲネプロではしっかり演技。大人たちの良い刺激になった様子。「学校との両立ですごく頑張っていた。癒されていました」と七木奏音。また「お客さんも細胞の一つとなっているので、前のめりで」とキャスト一同。客席も含めた劇場全体が『体の中』という設定、客席巻き込みがかなり、しかもいろんな形での参加シーンが用意されている。

最後に締め、「役者として悪役ができるのは役者冥利に尽きます。存分に楽しんでいきたいと。みんなで白血球を倒しに!」(馬場良馬)「パワフルで!楽しんでもらえたら。お子さんシートもあるので子供たちの勉強になると思います」(君沢ユウキ)「お客さん同士で楽しめると思います。元気になって長生きしてくれたらいいなって(他のキャストから笑いが)」(七木奏音)「楽しく学べるのが目的、テーマになっているので、演出のきださんも脚本の川尻さんもそうですが、すごくわかりやすく作品を届けようと描いてくれて演出してくださっているので、僕たちはそこを体現してお客様と一緒に学んでいこうと思います」(和田雅成)と締めくくり、会見は終了した。

 

<Gyao!ストアにて千秋楽ライブ配信決定>
[ライブ配信]
11月25日 15:30開演 販売価格(税込):2700円
[アンコール配信]
11月29日正午〜12月4日 23:59 販売価格(税込):2700円
詳細はGYAO!特設サイト「ニゴステ(2.5次元ステージ)」へ!
HP:https://gyao.yahoo.co.jp/special/25stage/

<Blu-ray &DVD発売決定>
2019年3月27日
Blu-ray:9800円(税別)
DVD:8800円(税別)

【概要】
「体内活劇『はたらく細胞』」
日程:2018年11月16日(金)~11月25日(日)
会場:シアター1010
<スタッフ>
原作:清水茜(講談社「月刊少年シリウス」連載)
演出:きだつよし
脚本:川尻恵太(SUGARBOY)
<キャスト>
和田雅成 七木奏音/
君沢ユウキ/山田ジェームス武 戸谷公人 茉莉邑薫 太田将熙/
平田裕香 甲斐千尋 川隅美慎 正木 郁 岸田結光 森田 恵 木内彩音/
阿瀬川健太/松本城太郎 菅野慶太 福田圭佑 来夢 髙久健太
高橋 凌 網代将悟 栗本佳那子 松田祐里佳 田中里奈 柿の葉なら/
増田裕生 髙木 俊 馬場良馬 富田翔
制作:トライフルエンターテインメント
主催:体内活劇「はたらく細胞」プロジェクト(アニプレックス、トライフルエンターテインメント、講談社)

公式HP:https://hataraku-saibou.com/butai/

©清水茜/講談社・体内活劇「はたらく細胞」プロジェクト 2018

取材・文:Hiromi Koh