project K『僕らの未来』自分自身にしか描けない未来、ほのかな炎を絶やさない生き方と自分だけの志を・・・・・・。

project K『僕らの未来』は加藤和樹がアーティスト活動を行って初めて作詞を手掛けた「僕らの未来~3月4日~」 を原案に、「生きる年数は決めることはできないが生き方だけは決められるだろう」をテーマ に、自分の意志や力でしっかり生きるという考え方を問う作品となっている。

舞台上はちょっとレトロ感の漂うバー、マスター・干場武夫(なだぎ武)と若者神山レオン(吉高志音)の会話、「今から働くと時間外労働です!」「掃除してもらえるとありがたい」、レオンはいかにもウザそうな態度だ。そこへギターケースを背負った一人の男が入店してくる。「ちょっと!6時からなんですけど〜」とレオン。男の名は藤代 樹(加藤和樹)、それからこの物語の登場人物が次々にやってくる。安藤 健(鎌苅健太)、倉田陽介(河合龍之介)、再会を喜び合う3人、同年齢、友達同士、樹は10年ぶりに日本に帰ってきた。彼は途上国を転々と旅をして回っていたのだった。そんな彼らより年上のマスターも彼らとは旧知の仲。「いつもの!」と樹がオーダーすれば「ハイボールね!」とマスター。

3人はともに33歳。もう若者ではないが、かといって中年というわけではない。社会に出て色々と経験を積み、かつて抱いていた夢とか希望とかがちょっと・・・・・ではなくかなり薄らいできている。現実とかつての夢とのギャップ、また、バーにいるバイトのレオンのような今時の若者とは全く会話も感覚も噛み合わない。陽介は「それなりに満足」と言う。『それなり』に、だ。映画監督志望の健は映像作家になっていたが、実家から電話が・・・・・周囲に聞かれたくない内容の様子。そんな3人をレオンはズバッと遠慮なく「おっさん!」と言う。10年、この歳月の間に3人の境遇はすっかり変わってしまったのだった。日本にいなかった樹は少しばかり健と陽介とは雰囲気が異なる。そんな若干の違和感を覚えつつ、彼らの10年ぶりの交流が再開した。そしてこの『再会』と『再開』が彼らにとって何を意味するのか、そして彼らの未来は・・・・・・。

等身大のキャラクターを演じるキャスト陣。リアルな「ある、ある」な感情と想い。現実はかつての夢を薄くぼんやりとしたものにしてしまう。陽介はデザイナーになりたかったが、今はハウスメーカーの営業、家族を養う一家の大黒柱だ。健は実家の父親の具合が良くないらしい。日々の生活に疲れて、かつてのキラキラした頃は遠い過去になってしまったが、海外で旅をしてきた樹のパッションは熱い。そんな樹、ちょっとずつであるが周囲の空気を変えていく。樹はレオンに「出会うやつに関係ないなんて、一人もいないんだ」と語る。

回想シーンでは夢と希望に溢れた3人が登場する。大いに盛り上がり、未来を語る。テンション高めな3人は見ていて微笑ましい。また初舞台を共演した3人の空気感も相まって、見ているこちらもちょっと楽しくなる場面だ。

作品タイトルは『僕らの未来』、未来は永久に未来、それをどうするかは自分次第。何を見つけるか、そして自分自身にしか描けない未来とは何か、その答えは観客が考えること。タイトルの『僕ら』は舞台上にいるキャラクターだけではない。生きとしいける人々全てを指している。見終わった後に残るのはほのかな炎、決して大きい炎とは言い難いが、そんな小さな炎を心に絶やさずに持ち続けたい、優しいギターの音色と共に。

ゲネプロ前に会見が執り行われた。登壇したのはキャスト全員とほさかよう。加藤和樹は「いよいよ・・・・・楽曲をもとにこうした舞台ができることを嬉しく思います。この少ない人数で凝縮されたお芝居、皆さんに届けばいいな、と」と意気込みを語る。鎌苅健太は「この楽曲がこうして時を経て舞台になるのは個人としても嬉しいこと。大好きなメンバーと素敵な時間を!」と嬉しそう。河合龍之介は「この世界に入った時から仲間であったメンバーと特別な時間を過ごさせていただいています」とこちらも笑顔で。この3人はミュージカル「テニスの王子様」で苦楽をい共にした仲間、いわゆる「同じ釜の飯を食っていた」というわけだ。彼らより年上の40代のナイスミドルななだぎ武は「それぞれが等身大の世代の役をやる。リアルなお芝居だなと。それぞれの瞬間の『今』を切り取っているお芝居です。日常を感じながらの芝居をするのはあんまりなかったんで・・・・・・ずっと私を見て(笑)」と笑わせた。このカンパニーの中では最も若い吉高志音は「3世代なので考え方や感じ方は違っていても想いは一緒だったりするので、そこを吸収したりします・・・・・頑張ります!」と最年少らしい回答。ほさかようは「リアルに寄せた芝居になっています。シンプルに演劇を信じて作ってきました。派手なものやエンターテイメントっていうところを見ると『おとなしすぎない?』とか不思議な感じになるかもしれません。自分たちのことをやっているんだと思って見ていただけるように作っています・・・・・面白くなっていると思います!ご期待してください!」とコメントしたが、リアルな感情や状況は共感できるところが多い。

それから話題が変わり、世代間ギャップ、いわゆるジェネレーションギャップに関しては吉高志音が「先輩たちが口ずさんでいる歌がわからない!」と発言。さらに「スーパーマリオは見たことがない」とも。鎌苅健太は「僕らの頃はテレビがメインだった」といい、そこへさらに吉高志音が「僕は1999年生まれ」発言で他のキャストから「おおおお〜」と(笑)。大人世代には懐かしい『ノストラダムスの大予言』で盛り上がり、なだぎ武から「(あれは)ドキドキした」発言が!

加藤和樹は「これは自分の楽曲が元になっていて・・・・あの頃からすると今は立派な未来。当たり前なことが当たり前ではない。未来は自分たちで切り開くもの。各々(個人)の歴史で頑張ってきたからこそなし得ること。奇跡のつながり、思いがあれば・・・・形になったのが嬉しい」としみじみ。そして同世代3人、加藤和樹は「ミュージカル『テニスの王子様』はみんな初舞台だったかな?強い絆で繋がっていますが時を経て共演してもこの感じが懐かしい」といえば鎌苅健太は「加藤さんはミュージカル『テニスの王子様』の時も部長で前に立ってくれた。影響力が強いです。誰よりも早く稽古場に来ている。河合龍之介は背後から包み込む感じ」とコメント。河合龍之介は「当時は自分が何者でもないところから始まった」と振り返る。苦楽を共に、しかも同世代、加藤和樹は「仲間たち、自分自身の思い、今の時代だからこそ伝えられる作品、目標、夢、大事なメッセージが込められている、それぞれの未来がある、自分らしく生きていくこと」とコメント。派手さはないが、きちんとしたオリジナル作品、10年後の『僕らの未来』もちょっと覗いてみたくなった。

<ストーリー>
高校卒業後、都会で期待と不安を感じ社会と戦ってきた3人も15年経ち30代半ばになろうとしていた。 夢を描いていたあの頃、現実を知った日々、道半ばの彼らがたくさんの人々に出会いながら歩んできた “僕らの未来”とは?
「生きる年数は決めることはできないが生き方だけは決められるだろう」 こんな時代だからこそ、自分の意志や力でしっかり生きるという考え方を問う。

【公演概要】
project K『僕らの未来』
脚本・演出:ほさかよう
原案:加藤和樹「僕らの未来~3 月 4 日~」
出演:加藤和樹 鎌苅健太 河合龍之介 なだぎ武 吉高志音(50音順)

※DVD発売決定!2019年3月4日劇場ロビー、WEBにて予約受付中!特典映像付き!
<東京公演>
2018 年 12 月 6 日(木)~12 月 16 日(日)
品川プリンスホテル クラブ eX
<大阪公演>
2018年12月20日(木)~12月23日(日・祝)
大阪ビジネスパーク円形ホール
主催:Assist/ネルケプランニング
公式サイト: https://www.nelke.co.jp/stage/bokuranomirai/
公式 Twitter:https://twitter.com/project_K2018