『新体験』と銘打ったミュージカル「クリスマス・キャロル」が12月12日より開幕となった。何が『新」なのか、それは『食』が伴ったミュージカル観劇。普通は開幕前のアナウンスでは「上演中の飲食は禁止」というが、ここでは「大歓迎」、大いに食べて飲んでOKなのである(タバコはNG)。今、ホテルで真っ盛りのクリスマス・ディナーショーは実はショーが始まる前にお料理は全て出され、だいたい食べ終わる頃に始まるのだが、これは違う!観ながら楽しく食べて飲んで!ステージ中央はVIP席で舞台がよく見えて、しかも休憩中には堀江貴文が来て一緒に楽しくおしゃべりもできる。テーブルにはワイン、赤と白、そして日本酒も。
鐘の音が鳴り響き、いよいよ始まる。客席からキャストが登場「メリー・クリスマス!」まずはコーラス、一気に会場はクリスマス!舞台上はスクルージ家、クリスマスツリーが飾られている。孫娘とおじいさんの会話、おじいさんはサンタの格好をしている。彼の名はスクルージ(堀江貴文)、誰もが知ってる、あのスクルージだ。でも2人の会話をよく聞くと・・・・・「おじいちゃんはあの頃は金持ちだった、テレビ局も買収しようとした・・・・・」客席からクスクスと笑いが起きる。そう、これは堀江貴文ご本人の『ネタ』、多少のアドリブもあり、ストーリーはトントンとテンポよく進んでいく。かつて経営していた会社の話をする。そして若かった頃の青年スクルージ(小西成弥)が登場。スーツをパリッと着こなしたいかにも『THE できる!』な風貌だ。IT企業の社長として辣腕をふるう。経費はとことん節約、冬は暖房費を節約するのはいいが、寒すぎで社員はマフラーをしている。トイレも流す回数を制限するほどの徹底ぶり、無能と判断した社員は容赦なく解雇。金の亡者と言われようがどこ吹く風だ。「クリスマスは嫌いだ!・・・・・ふわふわした金儲けは嫌いだ!」と叫ぶ。募金もしないどころか追い返す始末。そんなクリスマスの日にかつての恋人だったケイト(長谷川かすみ)と再会するも会話がすれ違う。彼女はボランティア活動をしていた。施設の身寄りのない子供たちの世話が「楽しい」と言い、スクルージは「何が楽しいんだ?」と言う。そして家に帰り、たった一人の部屋、さて寝ようと思ったその時!自分の名を呼ぶ声が・・・・・何と・・・・・天使が!姿はかつての共同経営者であるマーレイと瓜二つであるが、実は大天使ミカエル(湯澤幸一郎)、部下である天使たちが訪れて三つのクリスマスを見せると告げるのだった。
芸達者が揃い、歌にダンスに賑やかさ満点。ストーリー展開もテンポよく見やすくなっており、小ネタも豊富で客席から笑いが頻繁に起きる。ケイト役の長谷川かすみは歌唱力が高く、しかもコメディーセンスもよく将来性を感じさせる。青年期のスクルージは小西成弥、弾けた金の亡者ぶりで場面をさらう。それぞれのキャラクターも個性的で、もうこれでもか!というくらいな勢い。ミュージカルナンバーもキャッチーで耳に残る。楽曲だけでクリスマスコンサートも可能な印象。
ストーリーは有名すぎて今更説明するまでもないが、主演の堀江貴文に合わせたアテ書きが効果的、もちろんハッピーエンドに決まっているが、細かいやりとりやセリフが面白く、ついつい見入ってしまう。途中休憩を挟んでの2幕もの。そして『本編』が終了したら・・・・・日替わりゲストタイム、本当に日によって違うので、何が飛び出すのかはお楽しみだ。
またゲネプロでは本物のサンタさんが!「グリーンランド国際サンタクロース協会」公認のサンタクロースは世界でたった120人しかいない!実は日本にはたった一人しかいないそうで、しかも!オーストラリアを含むアジア地域においては、唯一の公認サンタクロース!
なお、ゲネプロ終了後に出演者全員で集合写真をパチリ!
それから簡単な囲み会見が行われた。
堀江貴文は「ミュージカルは千秋楽があって同じチームで作り上げる、この達成感!面白いなと・・・・・・こんなに頑張ってやっている、中毒性がある。しかもやればやるほど上手くなる」と演じることの手応えを語る。従来の演劇鑑賞については「硬い椅子で座るのは腰が痛くなる」とコメント。このミュージカルでは椅子は座りやすく、しかもくつろいでの観劇となるので、そう言った意味においても、この新体験ミュージカルは画期的だ。また「演じることは役に立つ」と言い「声が張れるようになる」と語る。
ミュージカルの内容だが「当て書きです」と言い「芝居なので、僕の要素を拡大解釈してくれた」とコメントしたが、随所に堀江貴文そのもの感のあるセリフが出てくるので、ここは必見。クリスマスの思い出は?という質問が出たが、しばし考えてから「彼女がいなかった頃は寂しかった」とコメント。そして目の前で観客が食べたり飲んだりしているという状況に関しては「気にならない。もともと芝居は食べながら飲みながらのものだった。幕内弁当とかね」と語り、さらに「これが演劇のあるべき姿、厳しいルールが出てきて腰、痛くしてどうかな?と。役者も新鮮だったと」とコメントし、「演劇業界の方に観てほしい。気軽に楽しむきっかけを作っていきたい、また新しいことをやりたい」と締めて会見は終了した。
<酒類>
[King Tigran・スパークリングワイン]
食前にスパークリングワインが供される。アルメニアの「King Tigran」、手で収穫し、最高品質の葡萄が生産される。歴史を紐解くとおよそ6000年以上前から葡萄の栽培が行われている。程よいドライで品の良い香り、すっきりとした味わいで料理を引き立てる。食前もちろん、食事中でも。
[RODNY STRONG VINEYARDS・2015 赤ワイン]
赤ワインは重すぎないミディアムボディ〜フルボディぐらい。ぶどうの品種はカベルネ・ソーヴィニヨン、オーク樽使用。チェリーとブラックペッパーのフレイバーでややスパイシーさを感じ、若干のスモーキーさも。樽の香りも強すぎず、余韻もあり、程よい飲みごたえ。ワインに飲みなれていない方でも飲めるタイプ。アメリカ産。
[DECOY・2017 白ワイン]
白ワインはシャルドネ。日本人好みのぶどうの品種。酸は穏やかで白にしてはややしっかりした骨格を持ち、供される料理に負けない味わい。アメリカ産。
[「紀土」純米大吟醸 しぼりたて 日本酒]
日本酒は和歌山県の平和酒造の人気商品。精米歩合は麹米50%、掛米55%。冬季限定のもので、フルーテイーで程よい酸、柔らかい味わい。しぼりたてならではのフレッシュ感があり、ここで出される料理とも相性がいい。グラスで飲むと一層香りを感じ、飽きのこない旨味も。
アイリッシュコーヒー
甘いカクテル。温めたカクテルグラスに砂糖を入れて熱いコーヒーを注ぎ、そこにウイスキーを入れて生クリームをフロートする。コーヒーの香りと口当たりの良い生クリームのハーモニー、ウイスキーはもちろんアイリッシュウイスキーを使用。1940年代後半にアイルランドのバーテンダーが考案したカクテル。
<料理>
前菜
(リーフサラダ ゆでたまごキャビアのせ 美崎牛のミートパイ 炙りマグロのカルパッチョ ブッラータ エーデルワイスファームのソーセージ)
※ブッラータはイタリアのフレッシュチーズで水牛または牛の乳で作られる。製造後、48時間で賞味期限が切れる。モッツァレッラチーズよりも濃厚でコクのある味わい。シンプルにオリーブオイルで食すと一層チーズの味を感じることができる。
美崎牛のラザニア
パン
ケイト先生のシチュー(肉あり版)
美崎牛、神戸牛のローストビーフ
ケイトのクリスマスプディング
※スクルージ家のクリスマスメニューという設定。物語にも登場するので、観劇しながら劇中に出てくるメニューを堪能するという趣向。ローストビーフには定番のマッシュポテトが添えられている。原作の「クリスマスキャロル」は1843年に発表。特にクリスマスプディングは各家庭にレシピがあるくらいこだわりのあるもの。ここで出されるクリスマスプディングにはイタリアのピエモンテ州のヘーゼルナッツ入り。コクのあるナッツで、その味がアクセントになっており、甘さは控えめ。アイリッシュコーヒーと共に。
【公演概要】
新体験ミュージカル『クリスマス・キャロル』
2018 年 12 月 12 日(水)~16 日(日)東京キネマ倶楽部
原作:チャールズ・ディケンズ
脚本・演出・作詞・音楽:湯澤幸一郎
出演:堀江貴文/長谷川かすみ/小西成弥/湯澤幸一郎/横山智佐/川隅美慎/百花繚乱/みく(アンティック- 珈琲店-)/AKIRA/千吊(ペンタゴン)/愛川こずえ/別紙慶一/山下聖良/中根愛理/片岡沙耶/Iris(アイリ ス)/中村裕香里
料金:
☆ IP 席:150,000 円(ディナー付き/堀江貴文が休憩中・終演後に同席する特別席) ☆天望ビューシート席:80,000 円 (ディナー付き/サブステージ上に設置される特別席) ☆アリーナ席:40,000 円(ディナー付き)
2 階バルコニー指定席:9,000 円
2 階 BO 自由席:7,000 円 スタンディング席:5,000 円
※ディナー付きの席の料理は、 AG MAFIA(和牛マフィア)が提供いたします。 ※「☆」の席は、円卓を囲む形の座席となります。
※2 階 BO 自由席は、2階席後方のソファ席となり、座ると舞台の全景は見づらく立ち見の
出来る自由席となります。予めご了承ください。
※スタンディング席は、12 月 13 日(木)14:00 公演、12 月 14 日(金)14:00 公演のみのお取扱いとなります。
同 2 公演は、スタンディング席のみのお取扱いとなりアリーナ席で立ち見でも、2 階席では全員は座れないのですが 座席の数だけは座って観ることも自由です。
公式HP:http://christmascarol.jp
取材・文:Hiromi Koh