忍法浪漫剣劇『百花百狼 ~戦国忍法帖~』~月下丸の章~ 「何があっても全力でお守りいたします!」生と死の狭間で命がスパーク 無償の愛と絆と運命が絡み合う、月の輝きと共に

数々の乙女ゲームを手がけるD3Pオトメ部と魅力的で重厚な作品をうみだすレッド・エンタテインメントが放つ、恋愛アドベンチャーゲーム「百花百狼 ~戦国忍法帖~」を原作とした作品、忍法浪漫剣劇『百花百狼 ~戦国忍法帖~』~月下丸の章~が12月13日、開幕した。
開演前の諸注意はこの作品の主人公である月下丸が務める。そして幕開き、上野勘道(笠原竜司)が登場し、一門の忍者が集まる。「甲賀の忍びとして立派に務めを果たすのだ」という。月下丸(古谷大和)は上野槐(花房里枝)に「私の主(あるじ)は貴女なのです」と言う。
それからオープニング、忍者なので、かなりなアクロバット的な動きを多用し、ここで雰囲気はアップ、それから本格的にストーリーは進行する。上野槐にとっては初任務、ドキドキが止まらない。豊臣秀吉(緑川睦)は天下人となり、石川五右衛門(小笠原健)がその名を馳せていた。五右衛門を捕らえる、という任務、ところが顔がよくわからない、まして初めての任務に就いた槐にとっては全くわからない。そして出会った!五右衛門に。しかし誰だかわからず、「五郎さん」と五右衛門は名乗る。五右衛門は「嬢ちゃん」と槐にいうが、途中でわかり、ビギナーズラック的に五右衛門を捕まえる槐。しかし、これが彼女にとっては運命の歯車があらぬ方向で動いていく序章に過ぎなかった。


次々におそいかかる試練、そんな彼女を月下丸が慕い、守っていく。あらぬ嫌疑をかけられて忍者の里を追われることになった槐、月下丸は体を張って守り抜こうとする。同志でもあり、そして家族のように結束の固かった忍者たちに命を狙われる槐、辛く、いつ終わるかわからない果てしなき戦いに2人は立ち向かっていく。

この時代、出世した大名で忍者の助力を受けていないものはきっとほぼいなかったであろう。そのくらい忍者は歴史の中で重要な役割を果たしていた。ストーリーはもちろんフィクションであるが、近年の研究では、身体能力に優れ、厳しい規律に律された諜報集団という面の他に、優れた動植物の知識や化学の知識を持つ技術者の集団としての一面も持っていたそうである。よって忍者の長である上野勘道や服部半蔵(橋本全一)の行動は、いかにもである。

2人の恋愛軸を中心に各忍者たちの生き様や想いがクローズアップされる。忍者はその立場ゆえに何があっても不思議ではない。すべての忍者に見せ場があり、感涙必至(ハンカチ必須)。明日の友は今日の敵、涙ながらに刃を向ける。肝心な時にその手が鈍る、隙あり!そんな瞬間は切ないが、生と死がスパークする瞬間だ。ヒロインの母は自殺しており、時折うなされる。そして彼女を献身的に守る彼、月下丸にも大いなる秘密があったが、それは自身も知らない秘められた過去。陰謀と思惑と、不安定な時代とが三つ巴になって彼らを巻き込む。思わぬ展開に思わぬ人物が・・・・・。片時も目が離せない。

アクションに次ぐアクション、皆身体能力を駆使しての大熱演。エモーショナルなシーンでは忍者の哀しみや辛さをがっちり芝居で!ラストの景色はバラ色というわけではないが、静かに光り輝く月光のごとく、観客を物語世界の余韻に浸らせる。

ゲネプロ前に囲み会見があった。登壇したのは月下丸役の古谷大和、上野槐役の花房里枝(elfin’)百地蝶治郎役の山口大地、黒雪役の糸川耀士郎、三雲伽羅役の辻美優(elfin’)、服部半蔵役の橋本全一、石川五右衛門役の小笠原健。まずは簡単な挨拶から「最後まで全員で!」(小笠原健)、「忍びの世界で精一杯に!」(辻美優)、「たくさんの方に!」(花房里枝)、「素晴らしいい作品、原作。みなさんにご覧になっていただけるのを楽しみにしています!」(古谷大和)、「歌あり・・・・・歌はなしか!!!(一同大笑い)、ダンスあり、殺陣あり、恋あり、疾走感あり!」(山口大地)、「座長の大和さんが動きすぎて・・・・最高の座長の支えになれれば」(糸川耀士郎)、「頑張ります!ウオっす!!!(一同大笑い)」(橋本全一)。まずは息のあったところを見せるキャスト。それから古川大和が「心強いみんなのおかげで走ることができる・・・・一人では無理!稽古ではみんなで心を一つにして作品を作り上げるのが楽しみ」と語るが、その結束の良さはゲネプロにも反映。段取りの多いアクションや殺陣は動きを覚えるだけでも相当な労力。しかもアクションは見所ゆえに場面も多い。花房里枝も「どこを観るか迷ってしまいますが、アクションやそれぞれのキャラクターの思いをたくさんの方に観てほしい」とコメント。忍者ゆえに悲しい場面が多いが、そこで垣間見える心の揺らぎ、エモーショナルなシーンは見所となっている。真面目なコメントが続いたところで小笠原健が「勘道さんの威圧感が!!!楽屋ではお茶目」と笑わせたが、笠原竜司演じる上野勘道は確かに出てきただけで圧迫感満載!ここは必見!そして「僕らは同世代なので和気藹々」と小笠原健。古谷大和は「僕は皆さんのおかげで・・・・」といえば「大和がぎゅっとやりすぎるのを緩めて〜」と山口大地。「みんなでもの作っていた感じが〜」と小笠原健がいえば「最高です!勿体無いくらいのいい舞台!一人一人楽しめて」と糸川耀士郎。そして「最高です!」と橋本全一(他のキャストから「『頑張ります』と『最高です』しかない!」とツッコミ)。辻美優は「初舞台なんですが、皆さんすごいアドバイスをくださって!!!素敵な舞台を観ていただけたら」とコメントし、そこで小笠原健が「オスカーの2人、すごいんですよ!!!!」と絶賛、照れながら「ありがとうございます!!!!」という場面も(笑)。

最後に座長である古谷大和は「7公演、あっという間ですが・・・・・・みんなで作り上げてとても大切に一つ一つ届けられたら。演劇には力がある。この物語のように『あの時、こうだったら』って、(皆さんの)心のどこかに残ってくれるように届けられるに胸張って!楽しみにしててください!」と締めて会見は終了した。

<あらすじ>
無常の風に、散る花々――
この世でいちばん哀しい戦いが始まる
戦乱の世において独自の発展を遂げた伊賀と甲賀。
両忍軍はその長い歴史において、互いを憎み合う敵対関係にあったが、天正九年、織田信長による
「天正伊賀の乱」により伊賀が滅亡。わずかに生き残った伊賀忍たちは甲賀に取り込まれた。
それから十七年、戦国時代は終わり、世には久方の平和が訪れていた。
甲賀の長・上野勘道の娘、槐は、忍び仕事に出る日を夢見て、日々修練を積んでいた。
そしてついに選ばれた初任務で、槐、そして里の運命を狂わせる大事件が起きる――。
「……何があろうとも、俺は貴方を離すつもりはありません」

<キャスト>
月下丸:古谷大和
上野槐:花房里枝(elfin’)

百地蝶治郎:山口大地
黒雪:糸川耀士郎
三雲伽羅:辻美優(elfin’)
石川五右衛門:小笠原健
山倉猿之介:坂口湧久
霞:早乃香織

徳川家康:竹石悟朗
豊臣秀吉:緑川睦
石田三成:天野眞隆
淀:望月京奈
前田玄以:和田篤希

服部半蔵:橋本全一

上野勘道:笠原竜司

【公演概要】
公演名:忍法浪漫剣劇『百花百狼 ~戦国忍法帖~』~月下丸の章~
日程・場所:2018年12月13日(木)~12月16日(日)@全労済ホール/スペース・ゼロ
原作:ディースリー・パブリッシャー/レッド・エンタテインメント
「百花百狼 ~戦国忍法帖~」
脚本:太田守信
演出:宮城陽亮
公式サイト:http://legendstage.jp/hyakka/
原作サイト:https://www.d3p.co.jp/hyakka/
企画・制作:レジェンドステージ
©RED ©D3 PUBLISHER ©百花百狼THE STAGE製作委員会

取材・文:Hiromi Koh