ーー国境を超えた愛が再び!コインに秘められた誓いとは?ーー
日露戦争(1904-1905)当時、松山に全国初のロシア兵捕虜の収容所が作られた。のべ6000人のロシア兵が収容されたそうで、人口対比で見ると5人に1人がロシア兵といった状況。ケガをした捕虜には看護師らが献身的な看護をしたそうである。そして長い時を経て1985年、陸軍病院跡から1枚のロシア金貨が見つかる。
そこには実在した日本人看護師とロシア兵捕虜の名前が刻まれていた。
このエピソードを元に生まれたのがミュージカル「誓いのコイン」、というわけだ。
さて、今回の開催の主旨であるが、2012年9月にミュージカル「誓いのコイン」でロシア公演を行って以来、愛媛県とロシアとの交流は文化に留まらず、スポーツや観光、産業と幅を拡げてきている。2018年1月には、坊っちゃん劇場アウトリーチ事業部の役者たちが、オレンブルグ大学の生徒たちに愛媛県の伝統芸能である伊予万歳を指導して、大学の式典で共演、また、先日、日露青年交流事業によりオレンブルグ州から学生舞踊団が来県し、県民総合文化祭にゲストで参加するなど活発な交流を継続して行っている。そして、この度、この交流のきっかけとなった作品「誓いのコイン」を愛媛・ロシア オレンブルグ友好特別公演として、愛媛県をはじめとする共催各団体の協力により、3ヶ月限定で上演。
なお、2019年5月にオレンブルグで開催される国際演劇祭に、8K映像作品としてこの作品で参加する予定となっている。
<脚本・ 高橋知伽江:コメント>
再演に寄せて
8年前、私は愛媛への深い敬意をこめてこのミュージカルを書きました。執筆前に取材でロシア人墓地に行きました。帰国できなかったロシア人捕虜の墓地は、地元中学生が中心となって定期的に清掃し ているおかげで、100 年余の時を経てもきれいに維持されていました。捕虜の悲しい運命への思いやり がそこにはありました。そして、中村愛媛県知事が一晩かけて、松山の「おもてなしの心」を話してく ださいました。その熱い語りに地元への愛と誇りがありました。長年、お遍路さんを見守ってきた愛媛 だからこそ、心身共に傷ついたロシア兵をあたたかく受け入れたのだと納得がいきました。 これは日本人として誇りにできる史実です。本作は、松山で育まれた真の国際交流の物語、平和な未来 を夢見た人たちの愛の物語です。ロシアでも絶賛された舞台を再び坊っちゃん劇場でご覧いただけます こと、心からうれしく思っております。
<あらすじ>
日露戦争時下の明治37年。人口約3万人だった愛媛県松山市には、戦場からのべ6千人ものロシア兵俘虜が送りこまれてきた。近代国家として成立して間もない日本は、戦時国際法「ハーグ陸戦条約」をかたくなに守るため、ロシア兵俘虜たちを手厚く保護した。同市街地には、ビリヤード場や靴屋、パン屋などロシア人町ができるほど好景気に沸き、国際化した。捕虜の治療にあたった衛戍病院では献身的な看護が施され、市民は俘虜たちをもてなした。目を負傷した俘虜のニコライは日本人を恨んでいたが、ロシア語が話せるサチや市民らの真心に触れ、閉ざした心を開いていく。松山では日露交流が芽生え、共同で新年会を行うまでに深まった。ところが、戦局は激しさを増し、最終決戦へ突入。ロシア国内ではヒタヒタと革命が進行していた。時代が急旋回する中、サチとニコライは平和な未来を信じ、共に歩む将来を夢見るが・・・・・・
<キャスト>
田島サチ:帆風 成海、ニコライ:四宮 貴久、レオーノフ海軍大佐:田代 久雄
婦長 高杉トシ:森奈 みはる(特別出演)、石浦宗介大尉:水野 栄治、田島ミチ:中野 祥子
アンドレイ:佐藤 靖朗、ピョートル:渡辺 輝世美、セルゲイ:宇高 海渡
ボリス:岡部 雄馬、本条ヤエ:脇山 尚美、浅岡マキ:保 可南、石川ソノ:小林 可奈
<前回公演(2011年)より>
【公演概要】
愛媛・ロシア オレンブルグ友好特別公演
ミュージカル「誓いのコイン」
2019年1月1日~3月24日(予定)
坊ちゃん劇場(愛媛県)
<スタッフ>
脚本:高橋 知伽江
演出:栗城 宏
音楽:深沢 桂子
振付:尚 すみれ
装置:土屋 茂昭
照明:大島 祐夫
編曲:玉麻尚一
小道具:岩辺 健二
衣裳:山田 靖子
ヘアメイク:我妻 淳子
演出補:大杉 良
舞台監督:石井 忍
ポスター・チラシ原画 智内兄助
主催・制作:坊っちゃん劇場
共催:愛媛県、松山市、東温市、愛媛大学、愛媛新聞社、南海放送、テレビ愛媛、あいテレビ、愛媛朝日テレビ、愛媛CATV