年末恒例!る・ひまわり×明治座“祭”シリーズ第8弾! 佐奈宏紀、内藤大希W主演『歳が暮れ・る YO 明治座大合戦祭』平成最後の年越しはこれで!

本作で第 8 弾となる“祭”シリーズは、歴史的にも有名な人物や物語を、小劇場・ミュージカル・映像など様々なジャンルで活 躍する【つわもの】俳優たちが集結し、笑いあり、歌あり、踊りあり、涙ありの歴史エンターテインメントとして上演。さらに、それぞれの代表 作や特技を持ちネタ化したようなパロディなども盛り沢山でお届けする、まさに時代劇版異種格闘技戦のような舞台。今回も伝統あ る商業演劇スタイルに則って第 1 部ではお芝居、そして第 2 部ではオリジナルユニットによるショーの 2 部構成!
今年の第 1 部の演目は『風林火山をす・る』。争うことを嫌い平安の世を願い続けてきた武田晴信(のちの信玄)と、異形として 生まれついた己の境遇を嘆き、世の中を恨み続けてきた山本勘助を中心に、全国制覇という夢を追いかけた男たちの青春友情浪漫活 劇!そして第 2 部は『KAI ROCK FESTIVAL』と題し、歴史上の人物をモチーフにしたオリジナルユニットが、オリジナ ル曲を歌って踊る歌謡ショーを開催!今年も新ユニットが続々登場し、どこかで聞いたことがあるような楽曲に出会えるかも!脚本をはじ め、全てを完全オリジナルにこだわって製作、総勢 27 人の出演者と会場のお客様が一体となって創る「るせん」!

幕開き、出だしは現代、3人の少年が廃墟の劇場に足を踏み入れる。客席に向かって「こんにちは!」と呼びかけるので、ここは「こんにちは!」と返そう。そこへ・・・・・花道のスッポンから・・・・・「出た〜!!!!」と焦る3人。「この劇場の番人です」と挨拶。そして幕があくと、そこには様々なキャラクターが、「人形」という設定なので皆、動かない。ここでちょっとアドリブ(笑)。「これからお芝居が始まるよ!」と言い、全員でタイトルロールを!賑やかな滑り出し。

花道から馬に乗って4人組が登場する。彼らは四天王と呼ばれており、武田家の家来だ(馬が超アナログ!)。しかもひと昔前のヤンキー風で服に「夜露死苦」とか書いてあったり。時代劇とは言っても、面白ければ、なんでもOKなのが、このシリーズ、特に衣裳がいつものことながら派手だったり、奇抜だったり。ここで殿様も登場、武田家の当主である武田信虎(加藤茶)、嫡男の晴信(のちの武田信玄)を疎んじて次男の信繁を偏愛したという説があり、ここではその説に基づいており、また悪行伝説もあるが、これには諸説ある。天下統一のために怪しい壺を集めている。四天王はもちろん反対する。そこへ晴信(佐奈宏紀)がやってくる。「戦はやめましょう」というが父上は「こんなヘタレに用はない」という。そこへ弟である信繁(永田聖一朗)が「やめてください。父上!」と・・・・彼はお兄ちゃん大好きっ子!晴信は座敷牢での謹慎を命じられる。そこへ顕如(辻本祐樹)が壺を持ってやってくる。彼は村上義清( 木ノ本嶺浩)を紹介するが、いかにも怪しさ満点、しかしめっぽう強い。そんな彼を気に入る信虎、四天王は不満を募らせていく。

不穏な出だしだが、普通に時代劇だったら、ここはかなりダークな雰囲気で進んでいくのだが、ここは『歳が暮れ・る YO 明治座大合戦祭』、歌って踊って!また加藤茶の名セリフ「ちょっとだけよ」も飛び出し、サービス満点、ダンスのその振りが懐かしい、あの振りが出てくるので、ここは必見!

とにかくエンタメに徹底した演出、今川義元(泉見洋平)はド派手な格好で登場し、堂々たる歌唱力で朗々と歌い上げ、コール&レスポンスも飛び出す、ノリノリの場面。山本光幸(大薮丘)、今川家の家臣であるが、実はあの山本勘助(内藤大希)の近親者、手紙を持ってくる「晴信を追放するから面倒を見てやってくれ」という内容であった。武田家の様子を報告しようとしたが、勘助の醜さに今川義元は彼を罵倒するのだった。
そんな時に武田晴信は山本勘助は会う、晴信のみんなが幸せになるためには話し合いで解決しようというが勘助は呆れるが「自分が信じるように動いてみろ」と言う。
場面変わり酒宴を開いている武田信廉(田中涼星)が歌う。彼は画家であり、史実でも「武田信虎像」(重要文化財)を残している。そんなことを知っておくと面白さは倍増、実は荒唐無稽な設定ではなく、史実に基づいているので、観劇の後に歴史を紐解いてみると「そういうことだったのか」と思うところが多い。また上杉謙信(貴城けい)は女性説があるが、これには諸説あり、例えば『戦国BASARA』は外見は性別を曖昧にしている(声優は朴璐美)。

アドリブも楽しいシリーズ、W主演の2人は堂々たる佇まいで明治座の空気感に馴染む。また脇を固める役者も芸達者、ベテランの加藤茶、泉見洋平、貴城けいは場面を引き締める、あるいはショーストッパー的な役割も果たす。飄々とした加藤茶、朗々と歌う泉見洋平、マントさばきが様になる貴城けい、こういった『芸』はお約束。そして武田晴信と山本勘助の友情と志を主軸に据えて単なる歴史モノではなく戦国時代を駆け抜けた青春群像劇な要素もあり、楽しく笑いながらも、ほろっとしたり。歴史を踏まえていれば、彼らがどうなっていくのかは観劇する前からわかりきっているのだが、それでも熱くなる。そしてちょっと面白おかしい場面も交えてストーリーは進んでいく。すべてのキャラクターに見せ場もあり、大衆演劇の良いところを再構築して2幕物に構成。芝居パートが終わったら、あとはショータイム、これも毎年恒例だが、気楽に観られる内容で安定した面白さがある。この年末年始、これを観て年越しを!

<武田晴信役:佐奈宏紀コメント>

柄にもなくたくさんの不安を抱えながら稽古に入ったのですが、毎日稽古をしていく中で、漠然と悩んでいたことにも先輩が的確なアドバイスをくださり、皆さんに助けて頂きひとつひとつ具体的に解消されていきました。普段は同世代の共演者が多いので、先輩がいっぱいいて、惜しみなく頼っていい、皆さんが頼らせてくれる環境がる・ひまわり作品の良いところだと思います。そして何より、(W主演の)大希君がいつもニコニコと受け入れてくれる感じが本当に支えになっています。

お芝居は歴史ものなので難しいイメージを持たれるかもしれませんが、言葉も現代にも置き換えられたり、物語も身近で誰でも当てはまる内容だったりするので、メッセージもガツンと届くと思いますし、感じてほしいと思います。また、二部のユニット「TONO&KERAI」は先輩に頼らず若手だけで何とかできないかと皆で試行錯誤して作り上げましたが、稽古で出し切った感じがするので、10公演最後まで同じテンションで乗り切れるかというのも見どころかもしれないです(笑)。

<山本勘助役:内藤大希コメント>

去年初めて参加させて頂いた“祭”シリーズですが、W主演決定の発表から約半年、(8月に上演した)リーディング公演ではお客様の前でお披露目があり、昨年W主演の安西・辻本両座長からバトンを引き継ぎ、日に日に実感しています。演出の板垣さんのもと、(W主演の)佐奈と二人で自分たちができることを頑張る、二人の力を出し惜しみせず全力で稽古から臨んで本番を皆様に観に来て頂くということを念頭に稽古に励んできました。たくさんのスタッフ・共演者に支えられて最終稽古を終え、これから皆様に観て頂くのが楽しみです。

【公演概要】
日程・場所:
<東京公演>
2018 年 12 月 28 日(金)~12 月 31 日(月)@明治座
<大阪公演>
2019 年 1 月 19 日(土)@梅田芸術劇場メインホール
演出:板垣恭一
脚 本:ほさかよう
<キャスト>
佐奈宏紀、内藤大希(W 主演)
辻本祐樹/杉江大志 永田聖一朗 松本岳 田中涼星 小早川俊輔 大薮丘 松村優 井澤巧麻 近藤頌利/ 兼崎健太郎 中村龍介 KIMERU 井深克彦 谷戸亮太 二瓶拓也 加藤啓 槇尾ユウスケ(かもめんたる) 久ヶ沢徹/ 滝口幸広 隅田美保(アジアン) 木ノ本嶺浩/泉見洋平/貴城けい/加藤茶

公演公式HP:http://rusen.jp
明治座公式HP:https://www.meijiza.co.jp/info/

取材・文:Hiromi Koh