「LOVELOVELOVE22」、横内謙介が主宰する扉座の研究生たちの公演がすみだパークスタジオで2月10日に開幕した。複数のオムニバスで構成されており、その基調となっているのは有名な戯曲「ロミオとジュリエット」である。これを所々に挿入させて進行する。
実は、これはほぼ研究生たちや扉座に関わっている若手の作品。日常を描いたもの等あり、一つ一つはごく短い。実は台本は全て研究生が書いたもの、試行錯誤を重ね、『大人たち』のアドバイスもあり、そこからさらにブラシュアップを重ねて、舞台にのせる。だから初日を迎えるまでの道のりは長い。100本作っても実際に上演できるのはせいぜい5〜6本だそう。
テーマはタイトルにもある通り「LOVE」である。「愛」には様々な形があり、様々な解釈がある。そしてそのキャラクターの思い入れもあり、もし、そこに100人の人間がいれば100通りの愛がある。
ロミオとジュリエットは舞踏会で出会い、一目惚れをするが、皮肉なことに両家は対立関係にあった。ジュリエットの兄であるティボルト、ロミオの友人であるマキューシオ、彼らの最期は一言で言えば残念な結果であるが、彼らの己の信じる「愛」の行動の結果なのである。
そして様々な「愛」のストーリーが展開される。おかしみのあるもの、ちょっと哀しいもの、ちょっとひねくれたもの、ほのぼのしたもの、シニカルなもの、そのどれもが愛おしい。季節はバレンタインデー、巷のショップにはたくさんのチョコが溢れている。もちろん、好きな男子にチョコを・・・・・で悶々とするストーリーもある。愛は楽しい、愛は美しい、愛は皮肉、愛は面白い、いろんな考え、いろんな感じ方、そのどれもが『あり』。ラスト近くは「ロミオとジュリエット」の最期のシーン、ロミオはジュリエットが死んだと思って自殺する、ジュリエットは仮死状態から目覚め、後追い自殺をする。一目惚れから一気に自殺というジェットコースターのごとくに突き進む。冷静に考えれば他の道もあったんじゃないかと思ったりもするが、そのエネルギーこそが「愛」のなせる技。
俳優陣は荒削りながらもとにかく勢いとエネルギーがすごい。小さな劇場はその熱い熱気で充満するが、その「熱」はあたかも「愛」の熱量のごとくに作品のタイトルである「LOVELOVELOVE」と見事にシンクロする。ラストはラグビーのタックル、皆、「愛」を叫んでタックル!愛は全てを凌駕する!なかなかクセになる舞台であった。
【公演概要】
タイトル:「LOVELOVELOVE22」
日程・場所:2019年2月10日〜2月17日 すみだパークスタジオ「倉」
構成・演出:横内謙介×串間保彦
作品演出・指導:有馬自由×鈴木里沙×田中信也×花柳輔蔵
指導:鈴木里沙×田中信也×花柳輔蔵
美術・大道具製作:多摩美術大学演劇舞踊デザイン学科劇場美術デザインコース
照明:関口大和
音響:高島斎・青木タクヘイ
舞台監督:白金翔太
宣伝美術原案:佐々木このみ
宣伝美術:佐々木秀夫
出演:扉座サテライト
梅澤貴理子 大浦雛乃 佐々木このみ
生田由明乃 石田夏実 大川亜耶 大森美来 岡 宏明 翁長志樹 鴨頭圭佑 木下隼輔 小森和紀 林 智和 菱沼直人 日高孝子 箕輪菜穂江 山口 茜 山中博志
公式HP:http://www.tobiraza.co.jp/
取材・文:Hiromi Koh