東山義久、海宝直人W主演!ミュージカル「イヴ・サンローラン」開幕!「オートクチュール?若者は気軽にファッションを楽しみたいんだ!」(イヴ・サンローラン)

ミュージカル「イヴ・サンローラン」が開幕した。すでに映画化はされているが、舞台化、しかもミュージカル化は世界初である。日本でも人気の高い世界的デザイナー、イヴ・サンローラン(東山義久・海宝直人:Wキャスト。ゲネプロは東山義久)、出身はフランス領アルジェリア、17歳で早くもデザイナーとしての才能を見せ、ディオールとの出会いは彼の運命を大きく変える。

舞台の出だしはメランコリー、かつドラマチックなピアノの音色で始まる、一人の男が登場する。彼の名前はピエール・ベルジェ(上原理生・大山真志:Wキャスト。ゲネプロは上原理生)、彼の良き理解者であり、恋人であり、ビジネス上のパートナーでもあった。彼の存在はイヴにとって不可欠だ。そしてイヴ・サンローラン、その人が現れる、白い衣装を着て・・・・・ファンタステックだ。

流れるようにステージは進む、音楽と歌とダンスが途切れない印象でスピーディに物語が紡がれる。キュートな衣装に身を包んだ女性が舞台上にいる、彼女の名前はルル(皆本麻帆)、ちょっとおてんばな印象、ルルはイヴが20歳の時にいたずらで描いた女の子でのちに「おてんばルル」という絵本として出版されたそう。狂言回し的な立ち位置でイヴの人生を見つめ、語る。

また、フランスを代表する多くのデザイナーが舞台上に蘇る、ココ・シャネル(安寿ミラ)、クリスチャン・ディオール(大山真志・川原一馬:Wキャスト。ゲネプロは大山真志)、彼の生涯に多大なる影響を与えた。特にクリスチャン・ディオールはイヴの才能に早くから気づき、主任デザイナーに任命する、イヴはまだ21歳であった。

そんなカリスマデザイナーの生涯を単なる『伝記』とか『成功物語』と描かずに、ピエールとイヴの関係性を軸に描く。出会い、「ピンときた」そして行動を共にする。若かりし頃は2人共意気揚々としてトップデザイナー目指して邁進する。時代を反映させるファッション、音楽、ダンスも散りばめられ、この時代をリアルに知っていれば「ある、ある」と大きく頷ける。そして自身のオートクチュール「イヴ・サンローラン」を立ち上げるのであった。

1幕は彼の若かりし頃から頂点に上り詰めるところまで。2幕は成功を手にしてからの彼らの生き様を中心に描いている。
イヴには信念があった。『タブーを打ち破ること』そして『自分を自由に表現すること』だ。イヴは言う「オートクチュール?若者は気軽にファッションを楽しみたいんだ!」その考えは時代の空気とシンクロしていく。時代が彼を必要としていた。「若者たちが時代を変える」と。イヴの時代を読み、デザイナーとしての類稀なる才能を誰よりも知っていたのはピエール、彼はイヴのために生涯を捧げたと言っても言い過ぎではない。

レベルの高いダンス、フォーメーションで時代を、2人の関係性を、内面を表現する。若かりし頃にイヴは軍隊でのいじめを受け、それは彼に大きな影を落とす。ドラッグやアルコール、鬱に悩まされるのだが、こういった影の部分もしっかり描いており、世界の頂点をトップを手中にしたイヴの苦悩、プレッシャー、それを間近で見るピエールは苦しそうだ。

 

贅沢な生演奏、生だからこそ生まれる演者との阿吽の呼吸、ゲネプロは東山義久演じるイヴであったが、歌唱も味わいがあり、イヴの心の複雑さをにじませてくれる。そしてピエールは上原理生、温かさと優しさとそして商売にはクールなイヴのかけがえのないパートナーぶりを見せる。脇を固める俳優陣、ディオール演じる大山真志、ココ・シャネルは安寿ミラ、その存在感はさすが、イタリアのカリスマデザイナーであるエルザ・スキャパレリ役の伊東弘美、歌唱が聴かせる!

イヴとピエールの人生、そして怒涛の20世紀、今も時代は目まぐるしく変化し、様々なジャンルで新しいものが次々と生み出されていく。そんな大きな時代のうねりの中で変わらないものは人と人のつながりと想いとパッションと愛。イヴ、ピエール、そしてこの作品に登場した全ての人物がそれを見せてくれる。オリジナルミュージカルは全くのゼロから創り上げるが、偉大なる世界的なデザイナーを題材にし、ここまで仕上げパワー、もし再演があるなら、またみたいと思う秀作であった。

なお、イヴ・サンローラン役の2人からコメントが到着した。

[東山義久]

昨年10月30日にフランス大使館で制作発表をさせていただいてより3か月、キャスト、スタッフの皆様とのリハーサルを重ね、本日初日を迎えることができました。期待と不安が共存する日々でしたが、濃密で素敵な時間を過ごした感謝と自信を持って初日に臨みたいと思っています。自身の身体を通し、少しでもイヴ・サンローランの魅力をお伝えできる様、この素敵なカンパニーと共に輝きたいと思います。

[海宝直人]

実在のファッションデザイナー、イヴ・サンローランの実像に迫りながら、ファンタジックなミュージカルならではの表現でファッションの世界が鮮やかに描かれます。演出の荻田さんが創り出す世界観を皆様にしっかりとお届けできるようにイヴ・サンローランという人物を繊細に表現していけたらと思っています。

【公演概要】
ミュージカル「イヴ・サンローラン」
公演日程・場所:
2019年2月15日〜3月3日 よみうり大手町ホール
2019年3月26日 阪急中ホール
作・演出:荻田浩一
音楽:斉藤恒芳
衣裳:朝月真次郎
出演:
東山義久、海宝直人、上原理生、大山真志、川原一馬、安寿ミラ他
チケット発売日:一般発売 2018年12月9日
企画・製作:M・G・H ニッポン放送
制作:ミュージカル「イヴ・サンローラン」制作カンパニー
公式サイト:https://www.yume-monsho.com