タクフェス“新”シリーズ第2弾 タクフェス春のコメディ祭!「笑う巨塔」、次回作は10〜12月「あいあい傘」!

 

 

リピーター率も高いと言われている舞台「タクフェス」宅間孝行の「タク」にフェスティバルの「フェス」、この3月はタクフェス春のコメディ祭!「笑う巨塔」、巨塔感ゼロと話題(?!)の作品だ。

まずは恒例の前説、開演5分前に始まるので早めにお席に。今回のタクフェスは最高年齢は72歳、それは誰かというと……石井愃一。宅間曰く「石井先輩、死ぬ気で踊ります!」とのこと(笑)。そんな前説の最中でふみ(篠田麻理子)が編み物……これをちょっと記憶して欲しい。また、ロビーから見える景色、東京タワーが見える。物語が進むにつれてこの窓の景色も変わっていくので、こんなところもしっかりと観て欲しい。

 

面白い前説が終わったところで暗転となり、本編が始まる。代議士の息子山之内蓮太郎(松本亨恭)とピンクのスーツを着た代議士の新人秘書大村あゆみ(豊泉志織)が登場……ところが新人のあゆみ、病院のロビーで弁当を食べている、しかも本当に食べている!かなりのリアリティ、このような出だしなら、客席はもう期待感で充満。この病院の看護婦長の絹枝(鳥居みゆき)、いかにも仕事に邁進しています、という雰囲気。そこへぽっちゃりMAXな鳶のえり(堀川絵美)、看護婦のサマンサ(想乃)それから秘書の芥川(梅垣義明)もやってくる。山之内代議士は過労で入院中だが、大切な時期、あまり知られたくない。そんなところに小汚い作業着姿の富雄(宅間孝行)がやってくるが、基本、良い奴、口調はべらんめえで、ちょっと人騒がせなキャラクター。案の定、看護婦長から「ここは病院です!不衛生です」とキレられるも「どこが〜」と意に介さない様子の富雄、いかにも「なんか、やらかしそう」な雰囲気。

 

 

 

 

 

 

 

思い違い、すれ違い、勘違い、聞き間違いが、そのまま物事が進行する。そのたび毎に喜怒哀楽、また胃潰瘍で入院している花田浩美(片岡鶴太郎)、鳶の親方で検査入院中、富雄は、実はかつて浩美の元で修行していた。妻の恒子(かとうかず子)は夫が心配、やきもきしている。ふみは富雄に再会出来て嬉しそう。そんな折りに代議士の浜本惣一郎(石井愃一)と野々村(渡辺碧斗)がやって来る。知り合いで元横綱の三子山親方の見舞いにやってきたのだった……。

 

 

 

 

 

とにかく、この全員の行動がとにかく可笑しく、皆、いい人達なのだが、勘違い、思い違いしたまま、右往左往する。愕然とする花田浩美、その妻恒子、動揺しまくりの代議士に秘書、意外なほど、あっけあらかんな病院関係者たちに思い込みの激しい看護婦長。また、いたるところにパロディが散りばめれており、恒子の髪型は昭和を代表する国民的な陽気な主婦を彷彿とさせ、「お魚くわえた〜(その後の台詞は言わずもがな)」と言ってみたり、富雄はある有名な映画のワンシーンを……そして看護婦長は下ネタ言葉を連発、こういった細かいネタは大いに笑いたい。いつの間にやら、富雄はあのピコピコと音のするハンマーで人の頭を叩きまくる!なんか大変な病気らしい(根拠なし、未確認)ということで落ち込みまくる花田浩美に富雄は「何でも聞いてやるからよ〜」に対しての花田のリクエストが「こんもりしたアイス」(笑)。その大変な病気故、富雄にNICEな考えが浮かぶ。それは……闘病本の出版、題して「余命〇〇の……」(笑)。

 

 

 

 

 

宅間孝行と片岡鶴太郎のアドリブ掛け合い、これが超絶面白く、もちろん、毎日変わる部分なので、ここは要注目。全ての登場人物に見せ場があり、ノンストップの2時間ちょっと。皆、弾けまくり、巨塔感は確かにゼロ、しかし、ハートフルで、ラストに向かって全ての勘違いが集結していくところは脚本の巧みさ。最後はちゃんとお決まりの大団円のハッピーな終わり方……と思いきや、最後の最後で!この結末は劇場で!

5分のインターミッションをはさんで、恒例のショータイム、もう皆、ノリノリで踊る、踊る!ここはスタンディングOKなので、クラップしてキャストと一体感を!

 

 

全力のゲネプロ後に囲み会見があった。登壇したのは宅間孝行、篠田麻里子、松本享恭、石井愃一、梅垣義明、 かとうかず子、鳥居みゆき、片岡鶴太郎。フォトセッションの後、会見。

まずは宅間孝行「この後は初日、もう一段、上がって……」と挨拶。片岡鶴太郎は「新鮮な気持ちでやっています」と挨拶、アドリブ部分については「宅間さんと絡んでいるところはほとんどアドリブ」と回答。さらに片岡は「本番では何言うかわかりません」と笑う。篠田麻理子は「宅間さんや片岡さんのような強者揃いで自分らしさを出すのが難しい」と語り、実はバックステージが大変だということを吐露する。「裏がめちゃくちゃキツい。階段の上り下りが〜」とコメント。松本享恭は「めちゃくちゃ、エネルギーが要ります。怒られて悔しくって上がって……」と語る。梅垣は「ダメだしが嫌で」とコメントし、鳥居は「凄く楽しくやっています」と笑顔。ここで宅間が「思ったより頼りになる!最初はこの人ちゃんと言うこと、聞いてくれるのかな?……と」と笑う。かとうはダンスについて「ゲネプロの前に3回、やった!今日はいい汗、かいてます!」と楽しそう。石井は「楽屋に着いて『踊りの振りが違う!』と言われた(笑)」とコメント。

記者からの質問で稽古場エピソードに関して「貝になりたい」(鳥居、片岡)。片岡はアドリブについては「宅間さんとは付き合いが長いのでアドリブ、どう作るのかという話はしています」とのこと。よって「毎日、変わります」と片岡。そこで篠田が「(片岡さん)めちゃくちゃ間違える!」と暴露。しかし「ちゃんと軌道修正してる」とコメント、ここはベテランならでは。石井は「年齢はいい訳」と気を引き締める。

最後に宅間孝行は「みんなで一丸となって!イベントも盛りだくさんな感じで、是非とも劇場へ!」と言い、全員で「待ってまーーーす!」で会見は終了した。

 

なお、早くも新作決定!タイトルは「あいあい傘」、2018年10〜12月まで、東京のサンシャイン劇場他で上演する。タイトルからしてちょっといい話っぽい……。詳しい情報を待つことに!

 

 

【ストーリー】
東京はとある所にある「四王病院」。この病院には様々な人が入院していた。総選挙を間近に控えた山之内代議士が突然倒れ運び込まれた。山之内の息子であり、父親の秘書も務める蓮太郎と秘書として長年仕える芥川、新人秘書のあゆみの3人は検査の結果をやきもきしながら待ちわびていた。検査の結果、単なる疲労と分かり胸をなでおろす3人だったが、総裁選を前に健康問題を対立候補陣営につつかれてはまずいと、入院の事実を党本部に隠そうとその場しのぎの言い訳を…。

一方、頑固で意地っ張りの典型的な江戸っ子のとび職の親方、花田浩美は検査の為入院していた。家族も本人も大病かと心配したが、結果は軽い胃潰瘍。調子づき、たまの入院生活でわがまま三昧の浩美。そこに一人の男が見舞いにやって来る。昔、浩美の元で修行をしていた富雄が数年振りに現れたのだ。しかしこの男、とんでもない迷惑者。富雄との再会に喜ぶのは浩美の娘、ふみばかり。そんな中、軽い胃潰瘍だと思っていた浩美の病状が実は…。

また、政界の古狸、浜惣こと浜村惣一朗は秘書を連れ親友である元横綱、三子山親方を見舞いに来ていた。
総裁選を控えた大事な時期に仕事をほったらかすなど相手陣営に知れたらとやきもきする秘書をよそにばれる訳がないと意気揚々の浜惣であったが…。

患者、見舞い客、医者、看護師、水道屋…様々な想いや事情が交錯し、平穏だった病院はとんでもない事態に…。

 

“タクフェス春のコメディ祭!”、舞台「笑う巨塔」、笑いにあふれた制作発表会

 

 

タクフェス“新”シリーズ第2弾 タクフェス春のコメディ祭!「笑う巨塔」 脚本・演出・出演:宅間孝行、巨塔感ゼロの「笑う巨塔」、特別インタビュー

 

【公演データ】

 タクフェス 春のコメディ祭!「笑う巨塔」

東京公演:2018年3月29日(木)~4月8日(日) 全12回公演

東京グローブ座

愛知公演:2018年4月13日(金)~ 4月15日(日) 全4回公演

ウインクあいち 大ホール

兵庫公演:2018年4月17日(火)~4月22日(日)

全7回公演

兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール

愛媛公演:2018年4月24日(火)

ひめぎんホール サブホール

福井公演:2018年4月30日(月・休)

越前市文化センター 大ホール

作・演出:宅間孝行

出演:宅間孝行 篠田麻里子 松本享恭 / 石井愃一 梅垣義明 / かとうかず子 鳥居みゆき / 片岡鶴太郎 他

http://takufes.jp/kyotou/

文:Hiromi Koh