人気ゲームの舞台化、好評につき、今回は「上杉謙信編」、上杉謙信は史実では義理堅い性格と言われており、宿敵である武田信玄に関しては諸説あるが、友情めいたものがあったのではないかと推測されている。死因は、こちらも諸説あるが、高血圧、糖尿病、アルコール依存症、躁鬱気質だったと言われている。この舞台でも上杉謙信は酒好きということになっている。
出だしはヒロイン・舞がタイプスリップし、燃え盛る本能寺に到着するところから始まる。目の前にいる人物が織田信長とは知らずに助けてしまう。本能寺の変で織田信長は死ななかった!というところから始まる。織田信長は命の恩人である舞に「天下人の女にならないか」と言う。
しかし、時は戦国時代、風雲急を告げる、死んだと思っていた上杉謙信が生きていた!と織田陣営は言う。最強の戦国武将の1人といわれ、後世、軍神、越後の虎、越後の龍と称された。織田信長が本能寺の変で助かり、上杉謙信が実は生きていた、という『IF』をベースに進行するが、これがこの「イケメン戦国」の真骨頂である。
ストーリーは舞と謙信の交流を軸に戦乱の世を生きる男たちの物語として進んでいく。どこか翳りのある上杉謙信を橘龍丸が熱演する。アクション・殺陣は得意中の得意で、縦横無尽に立ち回る。芝居では時折見せる憂い、謙信はここでは女嫌いということになっており、史実でも結婚はせず、子供は全て養子である。諸説あるが、複数の恋物語があり、その一つは敵将の娘(伊勢姫)と恋愛関係になり、重臣の猛反対にあったというもの。そのような知識があれば、舞台は数倍面白く観劇できる。舞と謙信、仇同士の苦しい恋、謙信の過去、謙信の激しさ、舞は謙信に寄り添う決心をすることに・・・・・。
また武将同士の人間関係、上杉陣営、織田陣営、仇同士であったが、舞の出現によってそのバランスが変わって行くのも見どころの一つ。そして顕如(高橋駿一)、史実でも織田信長を敵とみなし、長きに渡って激しい攻防を繰り広げていたが、ここでも宿敵としてしっかりヒール役として位置づけられている。
キャストは織田信長、水崎舞、他、長きにわたって持ち役にしている俳優陣に加え、今回新たにキャスティングされているメンバーもいるが、全体的にこなれた印象、この上杉謙信編が第4弾、カンパニーの息もピッタリで、安定したステージング。そして今回も「情熱ルート」と「幸福ルート」の2つが用意されている。そして後半ラスト近くは激しい殺陣とアクション、さらに胸熱くなる恋物語、舞の一途さが上杉謙信の氷のような心を溶かしていく。そして他の武将も舞の心意気に惹かれていく。2つのルートが用意されているがゲネプロで公開されたのは情熱ルート、ラストは・・・・・・、『情熱』の名に恥じない展開が待っている。
なおゲネプロの前に挨拶があった。登壇したのはキャスト全員。まずは役名と自分が演じるキャラのPR。
今回は上杉謙信編なので座長は橘龍丸。「パワーアップしたステージを観て欲しい、シリーズ4回目、ファンの皆さんのおかげです」とコメント、稽古場ではかなりの熱量であったが、ゲネプロはそれを上回るパワーで皆、大熱演!「期待に応えられるように!」と決意を語る座長・橘。この舞台シリーズは4作目であるが、早乙女じょうじから「(4回とも)恋愛の仕方が違う」とコメント。これが、このシリーズの醍醐味。そして史実からフューチャーした設定、よって荒唐無稽ではなく、もちろんフィクションであるが、史実を知ってるとより楽しめる、また深い理解が得られる、というのが特長。また激しい殺陣、アクションがシリーズの見どころで、舞台セットの高低を最大限に活用し、立体感のあるシーンを創っている。高橋駿一は「体力的にはしんどい」とちらっとコメント。橘龍丸は「キャスト全員、一丸となって創ってまいりました!是非とも!」と締めて会見は終了した。ゲネプロ終了後は「千秋楽まで頑張ります!」と挨拶、最後まで!突っ走る!
<あらすじ>
城下で浪人に絡まれた『水崎舞』は、偵察に来ていた軍神 上杉謙信に助けられるけれど、冷たい態度であしらわれ…。 戦狂いで女嫌いの謙信のことを理解できないと思う反面、 ふとした瞬間に見せる物憂げな瞳や隠された優しさ、深い人間性を知って惹かれていく。 謙信の方も、舞の素性を知らないまま、その純粋さと強さに心動かされる。 しかし、やがて二人は戦火の中で巡り合い…。 その中で、舞は謙信の持つ脆さに触れ…双方、抗えない恋に落ちた。 直後、舞が織田軍に庇護されている存在だということを知った謙信は、激情に任せて彼女をさらう。 敵同士でありながら危うい関係を築くふたり。 やがて明るみに出る謙信の哀しい過去と、それが引き金となってしまった謙信の深すぎる愛執。 舞は謙信の消えない傷も、激しすぎる熱も、すべて受け止める決意をする。
<キャスト>
上杉謙信:橘龍丸
猿飛佐助:早乙女じょうじ
武田信玄:横山真史
真田幸村:荒一陽
石田三成:天野眞隆
豊臣秀吉:滝川広大
水崎舞:早乃香織
明智光秀:瑛
徳川家康:木原瑠生
森蘭丸:星元裕月
今川義元:竹石悟朗
顕如:高橋駿一
伊達政宗:米原幸佑
織田信長:小笠原健
【公演概要】
タイトル:イケメン戦国 THE STAGE~上杉謙信編~
日程・場所:2019年2月日〜2月24日 サンシャイン劇場
原作:CYBIRD「イケメン戦国◆時をかける恋」
企画・制作:レジェンドステージ
主催:イケメン戦国 THE STAGE 製作委員会
公式HP:http://legendstage.jp/ikemen-sengoku/
原作公式サイト:https://ikemen.cybird.ne.jp/title/sengoku/original/index.html
(C)CYBIRD/イケメン戦国THE STAGE
取材・文:Hiromi Koh