脚本・演出・作詞:畑雅文 アトリエ・サーガ2019 春公演 「チョイス -天知る地知る心知る-」開幕!

舞台のみならず、ラジオドラマ「きみのこえがききたい。」の脚本を担当するなど多彩な活動をしている畑雅文の「畑雅文演劇ワークショップ」の参加メンバーで構成されている団体、「アトリエ・サーガ」の公演が南阿佐ケ谷の劇場、シアターサンシャインで開幕した。
オリジナル作品で5つの物語をオムニバスで構成している。

通路からアコーディオン奏者が演奏しながら登場し、舞台に上がる。そのアコースティックでシンプルな音色、生演奏は舞台ならでは。
1つ目の話、一組の夫婦、言い争いをしている。夫は吸血鬼、妻は人間。自分たちの娘について意見が衝突、そこへ当の娘が帰ってくる。人間として生きるのか吸血鬼として生きるのか・・・・選択を迫られる娘。そこへ娘の友人2名がDVDを観にやってきて、そこへ婦人警官もやってきて・・・・・。

2つ目の話は忍者の3姉妹の物語。父親の元で修行しており、そこへ新入り忍者がやってくる、しかも若い男性、3人はすっかりテンションがアップ!その彼のバッグからあるものが出てきて物議を醸し出すが・・・・。

3つ目は防空壕にいる人々(戦時中の格好)、そこへ2人の若い女性(今風のファッション)がやってきて・・・・・防空壕にいる人々と2人の女性、どうも住む時代が異なるということがわかり・・・・。

4つ目は昨今話題のAI、どこかの職場、5人の若者がAIについて話し合っている。どうやら、このメンバーの中にAIが紛れていると知り、動揺がさざなみのように広がっていく・・・・。誰がAI?誰が人間?

5つ目は荒れ果ててしまった地球、そこで必死に生きる母と娘、火星に新天地を、と思い、そこへ商人がやってきて・・・・。彼は母親にある取引を持ちかける。

この一見、なんの関係もない5つの物語であるが、実は見えない『糸』で繋がっている。時折、歌が挿入されるが、基本メロディーは同じ。何かを選ぶ、何かとつながる。ストーリー展開もシュールで不思議な世界観であるが、共感するところは多く、風刺も効いている。
人が生きていくのに避けて通れないこと『選ぶ』という行為、日々、日常で行われていること。その選択で大きく運命や人生が変わることだってありうる。また偶然に『誰か』に出会ってしまうこと、その偶然の積み重ねがやがて大きくなっていく。その中で一生懸命に考えて行動する人々、その姿はちょっと身につまされ、「あるある」と思い、ちょっと怖くもある。自分ならどっちにいくか?そんなことを想像しながら観ていくと深いところで様々な気付きがある。そこは人、それぞれかもしれない。
舞台上には特に何もなく、舞台にうずまきのオブジェがあるだけ。『ぐるぐる』の意味するところも興味深く、照明の当たり具合で変化させ、ストーリーを象徴的に見せているのが印象に残る。
『出会い』と『選択』、さて明日はどんな『出会い』と『選択』があるのか?そんなことを考えせられる。タイトルは「チョイス」、サブタイトルは-天知る地知る心知る-キャッチコピーは『時間も場所も はなれていても きっとつながっている』小粒でピリッと風刺の効いた作品であった。

<アトリエ・サーガ>
アトリエ・サーガとは、脚本演出家・畑雅文が行う演劇ワークショップに参加したメンバーで構成される団体です。 小さな稽古場(アトリエ)から波を起こして大きな河(サーガ)を目指すという意味が込められています。

<出演者>
秋吉アスカ、明日香、井上翔太、大橋薫乃、金田麻依、川原夢貴、具志堅康、工藤美輝、白川えいり、高島桂介、竹岡直紀、デビル剛犬、堂雪絵、友松花穂、野村ジョセフ、林加奈子、堀田麻依子、舞桜、松本悠未、丸橋慧、真優子、三上遊太、森野さつき、ヤマネコ、yuka

(五十音順)

【公演概要】
アトリエ・サーガ2019春公演
「チョイス -天知る地知る心知る-」
日程・場所:
2019年3月12日(火)~17日(日) 全8公演 阿佐ヶ谷・シアターシャイン
脚本・演出・作詞:畑雅文
アコーディオン演奏:えびさわなおき。
プロデューサー:片岡義朗
主催:コントラ
公式HP:https://hata-ws.themedia.jp/