湖月わたる舞台生活30周年!VOL1ドキュメンタリー・ミュージカルを7月に、10月に『Song&Dance』と全く異なるテーマの2作品を上演!

元宝塚トップスター・湖月わたるが舞台生活30周年を迎える。その節目に当たって挑戦的なプログラムが発表された。
なんと2つの作品に挑戦、一つは題してVOL.1『ドキュメンタリー・ミュージカル 湖月わたるのいじらしい婚活』、ドキュメント(実)とミュージカル(虚)、脚本を手掛けるのは「東京都北区赤羽」などユニークな作品を発表してきた放送作家・竹村武司、演出・作詞は気鋭の永野拓也。3月22日、特別会見が行われた。登壇したのは湖月わたる、竹村武司、永野拓也。
まず、湖月わたるが挨拶、先頃引退を発表したイチロー選手に触れ、それに絡めて「『長いこと、ファンの方がいらっしゃったから、頑張ってこれた』とイチロー選手が語っていましたが、私もおかげさまで舞台生活30周年を迎えることができます。応援してくださった皆様のおかげです。御礼申し上げます。本当にありがとうございます!」と挨拶。そして今回の記念公演についての説明があった。彼女が作品と向き合う時に心がけていること、目標、「『挑戦』と『進化』です」ときっぱり。VOL.1について「人気の放送作家、竹村武司さん!脚本!そして新進気鋭の演出家であります永野拓也さん!この2人が作るドキュメンタリー・ミュージカル!」続けて「未知の分野に取り組ませていただきます」と語る。自分自身を演じるということで「役者として何かをつかみたい」と語る。共演はもう、阿吽の呼吸でいけそうな朝海ひかる、そして初共演として広瀬友祐と迫田孝也が発表された。そしてVOL.2の方は『Song&Dance』、こちらは湖月わたるの魅力がたっぷり詰まったオリジナル・ショーで宝塚時代の楽曲も披露してくれるとのことで、大いに楽しみな内容になりそうだ。この内容に関しては「感謝の気持ちで歌い、踊ります」ということだが、先頃「ベルサイユのばら45」が上演され、ファンには嬉しいアンドレを演じてくれた湖月わたる(14年ぶり!)。そして「進化した自分」、「今の自分にしかできないこと」と語る。
退団後は様々な舞台に挑戦、そのたびに新しい『湖月わたる』を魅せてくれたが、この節目はさらなる新しい姿を披露してくれそうな予感がする。「この2つの作品に挑戦している姿を見て知らない方には『こんな面白い女優がいるんだな』と思っていただけたら、真摯に向き合って頑張りたいと思います」と語ってくれる。


それから放送作家の竹村武司が挨拶。「普段はTVというフェールドの中で暮らしています。このお話いただくまで宝塚は見たことなく、舞台公演の脚本もなく、ましてミュージカルは初めて。『なんで僕なんですか?』と心の声が100回ぐらい(笑)。」と語る。
続けて「違うことをやりたいという心意気をひしひしと感じました」といい「僕も比較的そういう、ここにはない作品を作り続けたいなと思っていたので」と語る。『なんで?』から『是非!』という風に変わっていった様子。
演出・作詞の永野拓也もオファーが来た時な竹村竹司と同じく『なんで?』という心境だったそうで「僕でいいんですか?」と言ったそう。「もしレビューやショーだったら僕より確実に上手い人がいる」と語る。しかし、やはり直接会ってみて「僕がイメージとして持っている『スター』とかいい意味で違っていた。非常にチャーミング!そしてチャレンジのために僕なんだ、と。だからこそやとことんチャレンジしましょうかって梅芸さんとも話して、竹村さんともお会いして・・・・だからこそ!怖がりながらもきちんとチャレンジしたいな!と」とコメント。彼自身にとっても挑戦である様子。
そしてこのドキュメンタリー・ミュージカルなるもの、テーマについて永野拓也は「実際に30年、この世界でやっていくのはものすごいこと。実人生みたいなものを作品に落とし込みたいなと。チャレンジって言っても幅ひろいし、なぜドキュメンタリーなのかはミュージカルっていうのは虚構性の高い表現方法だと思っていまして・・・・。もっと日本人として共感しやすく・・・・・もし成立したら面白いものになるなと。ドキュメンタリーってミュージカルとは顕著に離れていると思う。そこを成立させるために努力することを今後の道の途上としてすごく意味のあることかなと」いい、婚活について竹村武司は「テレビ屋なのでパンドラの箱を開けたい(笑)、ドキュメンタリーはどうしてもその人が出ちゃう。何を出したら面白いのかって言ったら、そのうっすらと宝塚に漂う恋愛タブー・・・・そこにテーマを置こうと、そうすると今までにないテーマが観れるだろうと。下世話な興味で。あとは、湖月わたるさんが『チャーミングおばさん』(笑・湖月わたる大笑い)、本当!後、僕が知っているチャーミングな人の中で一番大きな人!体大きい!このチャーミングを引き出したらいいかな〜と。そこは恋愛なさる女性はみんなチャーミング。これがチャーミングさを一番引き出せるテーマかなと。この下世話な興味とチャーミングさを出す、この二つのテーマです」

それに対して湖月わたるは「びっくりして、不安もあって戸惑いもありました。竹村さんの作品の『東京都北区赤羽』、あれの中でおじさんに怒られるシーン、彼(山田孝之)が感極まって葛藤しているシーン、あの映像を見たときに胸が熱くなって、涙あふれて、ああいう作品を作られる竹村さんが、今の私を引き出してくださる、興味を持ってくださる、すごく嬉しかったし、永野さんが根気よくお話してくださって。見える起こっている出来事、目には見えない心の葛藤、戦い、喜び、そういうものがダイレクトに伝わってくる作品で、劇場もDDD青山クロスシアターで密な空間で、嘘の芝居はバレてしまう、本当に心動くもの、ここで『湖月わたる』をえんじるのはすごく勇気の要ること。役者として進化したいのでやる価値のある作品だと思っています。これからの私に勇気をくれる、お客様も応援してくださるとすごく確信を持って言ってくださったので!おふたの才能に身を委ねて、まっさらな気持ちで取り組んでいこうと」と語った。
またドキュメンタリー部分と虚構の『塩梅』も気になるところだが、「お楽しみとしか言いようがない」と言いつつ「全部、本当です(笑)」と竹村武司。現在撮影進行中で湖月わたるは「不器用なので、仕事に夢中でやってきてこんな可能性のある作品に出会えて!思ってもみなかったので!」といったところで「千秋楽はないからね!」と竹村武司。ここで皆大笑い。「素敵なゴールが待っているかもしれないし、待ってないかもしれない!」と言い、またまた大笑い。現状は内容がどうなるかわからない!詰まるところ今、『ing』ということの様子。
そして永野拓也も「『ベルばら』とか拝見させていただき、お話をするとチャーミング・・・・『ベルばら』観るとかっこいい!これって面白いなって単純に思うんですよ。あんだけチャーミングなのに舞台に立って愛を叫びながら死ねる、で、お客さんが涙を流す。ドキュメンタリーとミュージカル、二次元と三次元ですよ。この湖月わたるさんのこの二面性をドキュメンタリーとミュージカルで」とコメント。

また退団後に『古巣』に帰ることについては「退団後初めてが30周年で、『湖月わたる』が産声をあげた場所。もう、ただただ感謝ですし、また作品がこう言ったチャレンジのものなので、ファンの皆様にチャレンジしている姿を届けたいですね」とコメント。撮影エピソードとして夜の撮影の話が出た。「雨女で・・・・暗い公園に佇んでの撮影で、物語の中に自分がいる・・・・心をさらけ出せる作品になったかなと雨が降って、結構、雨に濡れるのが好きなんです。大人になると雨の中、傘もささずに歩くことってないので、ふと自分の心と向き合えるような・・・・・。これは気にいってる写真です」と湖月わたる。

音楽は「心情に寄り添ったものにしたい」と永野拓也。また共演の朝海ひかるについては「今回は私の相談相手だったりとか。」これも撮影中ということで「新たな絆が」と湖月わたる、ここも『お楽しみに』ポイント。また広瀬友祐の役柄については「これこそお楽しみに!」だそう。「迫田さんは顔がタイプ!」と湖月わたる。また「私とコムさんの本当の関係も・・・・そこは柔軟に対応していただいて」と朝海ひかるの『ポジション』についてちょい言及。「名コンビぶりを楽しみにしていただけたら」とコメント。
そして「宝塚で18年育てていただいて、退団後もいろんな役をやらせていただき・・・・・今、構成を考えているところです。いろんなダンスを・・・・今の私をお届けするダンスと歌と。スペシャルなゲストの方も!はい!」とコメント、VOL.2も楽しみ、「感謝の気持ちをコンサートに込められたら」と語って会見は終了した。

~VOL.1『ドキュメンタリー・ミュージカル 湖月わたるのいじらしい婚活』:あらすじ~
並々ならぬ思いで30周年公演に力を注ぐ湖月の口から突然出た“婚活宣言”。朝海 や所属事務所、スタッフを巻き込み、湖月自身も、湖月本人に巻き込まれていく。…こ れは30周年記念公演を迎えるための、濃密な時間のドキュメンタリーである(2019年3 月現在撮影中)。

<プロフィール>

[湖月わたる]
1989年、宝塚歌劇団に入団。星組に配属。 94年の『若き日の唄は忘れじ』で新人公演初主演。宙組を経て専科に移り、『ベルサイユのばら 2001-オスカルとアンドレ編―』にアンドレ役で特別出演。03年に星組に組替えし、トップスター に就任。大劇場お披露目公演『王家に捧ぐ歌』は文化庁芸術祭演劇部門優秀賞を受賞。05年日韓国 交正常化40周年記念『ベルサイユのばらーフェルゼン役で出演。06年の『愛するには短すぎる』 『ネオ・ダンディズム』で退団。退団後の主な出演作に、『くたばれヤンキース』『愛と青春の 宝塚』『絹の靴下』『グランドホテル』など。15年には、全編英語で上演された『CHICAGO』アメ リカ・カンパニー来日公演にヴェルマ役で特別出演した。

[VOL.1 ドキュメンタリー・ミュージカル 脚本:竹村武司]
1978年東京生まれ。 大学卒業後、広告代理店を経て、放送作家の道へ。現在は『ゴー!ゴー!キッチン戦隊クックルン』 (Eテレ)のアニメ脚本、『天才てれびくんYOU』(Eテレ)、『ワンワンわんだーらんど』(Eテレ) の公演脚本、『世界さまぁ~リゾート』『この差ってなんですか?』(TBS系)、『痛快TVスカっと ジャパン』(フジテレビ系)、『あいつ今なにしてる?』、『くりぃむクイズ ミラクル9』(テレ ビ朝日系)、『BAZOOKA!!!』(BSスカパー)などの構成を担当。ここ数年は『山田孝之の東京都北区 赤羽』『山田孝之のカンヌ映画祭』『山田孝之の元気を送るテレビ』(テレビ東京系)『植物に学ぶ 生存戦略 話す人・山田孝之』(Eテレ)など山田孝之の出演作品を多く手掛けている。

[VOL.1 ドキュメンタリー・ミュージカル 作詞・演出:永野拓也(hicopro)]
1985年千葉生まれ。 「hicopro」を主宰。旗揚げ公演制作「H12」を沖縄と共同制作し、沖縄、大阪、福岡、長野、東京 の全国5都市で上演。2017年3月に行われた日本演出家協会主催の若手演出家コンクールで「ツクリバ ナシ」を上演し、最優秀賞、観客賞のW受賞。また、「I LOVE MUSICAL」を演出するなど、様々な 活動をしている。

【公演概要】
Vol.1 『ドキュメンタリー・ミュージカル わたるのいじらしい婚活』
<東京>
2019年7月5日(金)~15日(月) DDD青山クロスシアター
<兵庫>2019年7月19日(金)~21日(日) 宝塚バウホール
脚本:竹村武司 作詞・演出:永野拓也(hicopro)
出演:湖月わたる、朝海ひかる、廣瀬友祐、迫田孝也 飯野めぐみ、可知寛子、高橋卓士、宮島朋宏
チケット料金(全席指定・税込):全席11,000円 6月2日(日)一般発売開始

Vol.2『Song&Dance』
<東京>2019年10月16日(水)~17日(木) 草月ホール
<大阪>2019年10月22日(火・祝) グランフロント大阪 北館4階ナレッジシアター
チケット料金(全席指定・税込):
<東京>S席11,000円、A席9,000円、B席8,000円
<大阪>全席11,000円
企画・制作・主催:梅田芸術劇場
お問合せ:梅田芸術劇場(10:00~18:00)
東京:0570-077-039
兵庫・大阪:06-6377-3888
撮影:金丸雅代
取材・文:Hiromi Koh