アニメ、ミュージカル、そして2月には劇場版も公開された「王室教師ハイネ」、ミュージカル第2弾が開幕した。基本的には劇場版のその後の物語となっている。作品をよく知っているファンにとっては『復習』、知らない観客にとっては『基礎知識』部分を30分ほどでスピーディに見せる。ハイネと4人の王子たちの出会い、そしてハイネが教育的指導をして王子たちが成長する。そして2月の劇場版、ロマーノ王国の双子の王子たちがやってくる。そして彼らもまた4人の王子やハイネとふれあい、また教育的指導によって内面が変わり、友好関係を結んでいく様子を歌とダンスと音楽で綴るのだが、ここは本格的なミュージカル形式でセリフもほぼ歌、音楽が途切れず、なめらかに進んでいく。海外の翻訳ミュージカルと比較しても、遜色ない出来栄えで進行する。そして、ここから、この先の物語が始まる。劇場版ではグランツライヒ王国にロマーノ王国から双子の王子が合同授業を受けるためにやってくる。長男のイヴァン王子(橋本祥平)は真面目だが、それゆえに皆を傷つけ、弟のユージン王子(阪本奨悟)はネガティヴネガティヴ思考。
そんな2人がハイネの教育的指導や4人の王子との交流により心が少しづつ溶けていき、舞踏会で行った催し物として行った合唱は大成功を収める。そして再び、やってきた合同授業の日に教師としてやってきたのはグランツライヒ王国の元王室教師・ヴェンヴィン(水谷あつし)だった。その裏にはまたもやエルンスト伯爵(君沢ユウキ)の思惑が・・・・・。先の催し物ですっかり仲良くなった王子たちだったが、その絆、さらに国同士の関係にただならぬ空気が漂い始める。
楽曲も多彩で多重唱を用い、厚みを持たせる。ヴェンヴィンの教育方針はとにかくスパルタ式、ハイネとは真逆なやり方で4人の王子たちを指導しようとし、王子達はヴェンヴィンを『鬼ムチ教師』とあだ名していた。しかし、彼のやり方はロマーノ王のおメガネにかなうようで、今はロマーノの双子の王子たちを厳しく指導していた。
イヴァン王子は長男ゆえの重圧か、スパルタ教育についていこうと努力し、弟のユージン王子はすっかり萎縮してしまってネガティヴ思考になってしまっていた。ヴェンヴィンは「偉大な父上のようになるためにはお前たちと仲良くなるのは時間の無駄」とハイネや4人の王子に言い放つ。さらにハイネに向かって「薄汚い庶民」と耳打ちもする。またロマーノ国王も国を治めるにはまず『力』と思っている。
不穏な空気、双子の王子たちの間に不協和音が響くように、またせっかくの4人の王子と双子の王子たちの絆と友情にも溝ができ始める。そんな状況でもハイネは落ち着いている。それは基本的に彼らを信頼し、慈しんでているからに他ならない。そしてグランツライヒ王国の王もまた、余分な口出しはせずに息子たちの様子を愛情深い眼差しで見つめている。ハイネは要所要所で大事なことを王子たちに告げる。それは押し付けがましくなく、王子たちを知り尽くしており、また俯瞰的に全体を見渡している。そんな状況にあって4人の王子たちはまた新たに気づきを得ていく。そして双子の王子たちもまた、何かを得ていく。
音楽と歌、そしてダンス。今回の出演者は総勢35名!の大所帯。ダンサー陣の群舞は時には美しく、時には力強く、時には軽やか、状況や心情をビジュアル的に立体的に見せて物語を提示する。
ハイネは問いかける「国王になるためには何が必要ですか?」といい「何のために考えるのか?」と問いかける。それは国王にならない我々にも通じる『問答』、人は何をしたらいいのか、そんな根源的なことを問いかける。しかし、ロマーノ国王にも、またヴェンヴィンにも彼らなりの正義、信念がある。そして黒幕っぽいエルンスト伯爵、しかし、彼は本当に腹黒いのか、どうなのか。ヒール役であるが、彼なりの論理もあり、単なる悪役ではない。
ラストは観客参加も!クライマックスに向けて、大きな山場が待っている。王子達は?ハイネは?休憩時間を含めて上演時間は約2時間45分。ハイネたちの物語は、まだまだ、きっと続く。
ゲネプロ前に会見があった。登壇したのは植田圭輔、安里勇哉、安達勇人、廣瀬大介、蒼井翔太、橋本祥平、阪本奨悟。まずは各々、挨拶とキャラクターの説明。それぞれの見所については阪本奨悟は「普段は口数は少ないけど不意にしゃべる一言がトゲがある、ぐさっと人を傷つけてしまうのですが、実は中身は優しい、兄弟思い、仲間思い、その部分を強く描いていただいているので、僕自身も今回友情を、自分自身と向き合って演じさせていただいてます」とコメント、橋本祥平は「非常に真面目で、父上のいうことは絶対、と思って育っています。プライドも高いので、喧嘩もたくさんしますが絆とか、そういうところを見て欲しい」と語る。レオンハルトと刀を交えるところは必見!蒼井翔太は「ムードメーカーなところもございますが、自分自身苦手なことにチャレンジしていくところもありますので、その頑張りを見て、同時にあとはロングヘアも!頑張りマーーース」とコメント。安達勇人は「葛藤ですとか、決断ですとかかなり孤独を感じるシーンがあります。またブルーノが夢に向かって・・・・・決断によって気づかれる友情、気づかされるものがメッセージになって届けられれば」と語る。廣瀬大介は「思った以上にアクションが・・・・ちょっとだけ頑張りましたので、いやいっぱい頑張りました!みんなそれぞれ輝いておりますので」とコメント。「前回から成長している部分が見られますので、カイは今回は、成長し、少ししゃべれるように。口数は少ないですが、喋ってないところでもカイのいいところが出ていますので、そこを見てもらえたら」と語る。最後のカイの頑張りは要チェック。「前作はハイネを通して『一歩前へ』踏み出して一つのものを乗り越える、だったんですが、王子達も成長し、ハイネを通して、というよりは自分たちで考えて何かを信じて乗り越えていくという物語になっています。そこを私は見守る、一歩引いた立場でみんなのことを見守っておりますので、視線や背中の押し方、教師らしく大人っぽい立ち位置かな?と思います。そこを見ていただけたら」と語るが、ちょっと引いたところでの教師として、人間としての温かさをにじませたハイネ、派手さはないが、ここは必見ポイント。
そして意気込み、阪本奨悟は「僕としてはテレビアニメ版から主題歌で参加させていただき、今回はユージン役として参加できたのは嬉しく思っています。いただいたこの役、オリジナルキャラクターなので、いかにこの作品世界に参加して、どれだけストーリーに、双子が参加することによってかき乱していけるのか、二人が『この先はどうするんだろう』と感じていただけたら、そういう存在になりたいと思っていますので、自分なりに」と語る。橋本祥平は「劇場版からイヴァンと一緒に過ごしてきました。最初の頃よりキャラクターもわかってユージンもそうですが、新たな風を吹かせられたらいいなと。僕以外のロマーノ王国側の国王、王室教師もいます。事件性もふんだんに、今までとは違った『王室教師ハイネ』に」と意気込む。蒼井翔太は「劇場版では画面を見ながらアフレコするということですが、舞台ではお互いに向き合ったり触れ合ったり、そういう風にできる、この世界観を生きれる、楽しい限りで、その楽しさを伝えていければ。またみなさん、この世界の住人として参加していただければ」とコメント。廣瀬大介は「きっかけ、伏線が張られています。ぜひ!僕らもそこらへんの、会場が大きいのでみなさんに届けられるように頑張ります」とコメント。安達勇人も「TVシリーズ、アニメになったり、舞台になって、劇場版にもなって、ミュージカル第二弾!いい意味で劇場で見ている方々も期待を裏切るような、いろんな展開もあったり。ミュージカルでしか見られないものがあったりして、動き、アンサンブルさんのダンスは一つ一つに意味があって、だからこそ!楽しんでいただけると思います」と語る。安里勇哉は「ここにいる7人はもちろん、個性豊かなキャラクターがたくさん出てきます。アンサンブルさんが倍以上になってて。ロイヤルな世界、吉谷さんの目標、某テーマパークを超えるくらいの楽しさをお届けする、という気持ちで、ということなので千秋楽までロイヤルな世界を届けられたら!」と意気込んだ。植田圭輔は「こんな大きな劇場でやらせていただけるなんて、長く続くなんて思っていませんでした。キャパ2400、生でお伝えできる!ロイヤルな世界観、でも大事なことはお芝居で勝負していたり、とか思いとかで勝負していたりとか・・・・・。僕は『2.5次元の金八先生』になってやろうと(笑)」とコメント。
最後に
「いろんなキャラクターが出てきます。いろんな音楽、すごくゴージャスになっていると思います。人数も豪華です。隅から隅までロイヤルな世界を堪能してください。そして家で美味しいもの食べて!『もしゃり』して!」(阪本奨悟)
「劇場版で見てくださった方、生物でお伝えする魅力、ハイネの世界に誘いないたいと思います」(橋本祥平)
「オペラグラスあっても足りないよーーみなさんの目と耳で!先生の大切な言葉を持って帰ってくれたら。楽しんでください」(蒼井翔太)
「足を運んでいただけたら!」(廣瀬大介)
「教科書だと思ってて。小さい頃から見ておけばいろんなものが変わったんじゃないかと思うくらい。初心に戻ったり、考えさせられることもあるので、そういうものをお客様に持って帰っていただけたら」(安達勇人)
「桜も散り始めていますが・・・・・新しいお花を綺麗なお花をたくさん咲かせられたら!」(安里勇哉)
「上質なミュージカルをお届けすることが仕事と思っています!しっかりとお届けしたいと思っています」(植田圭輔)
ある媒体からの質問、キャストの中で『教育的指導』が必要な人は?に対して
「安達勇人さんでしょ」(植田圭輔)
「嘘でしょ」(安達勇人)
笑いが!
「ムードメーカーなんですが『そんな噛みかたする?』だったり(笑)いい意味で教育的指導です」(植田圭輔)
家庭教師にするなら?という質問にはかなりのメンバーから「植田圭輔さん」という回答(王道!)。和やかなムードで会見は終了した。
【公演概要】
日程・場所:
<東京>
2019年4月11日(木)~14日(日) 東京ドームシティホール
<兵庫>
2019年4月27日(土)~28日(日) 神戸国際会館こくさいホール
出 演:植田圭輔、安里勇哉、安達勇人、廣瀬大介、蒼井翔太、橋本祥平、阪本奨悟 君沢ユウキ/藤重政孝 星達磨 宇田川宰 青木鉄仁 上杉輝 水谷あつし 他
原 作:赤井ヒガサ(掲載月刊「Gファンタジー」スクウェア・エニックス刊)/劇場版「王室教師ハイネ」製作委員会 脚 本:谷碧仁
演 出:吉谷光太郎
音 楽:tak
振 付 :MAMORU
制 作 :ポリゴンマジック
主 催 :ミュージカル「王室教師ハイネ」製作委員会
ミュージカル公式 HP: http://musical-heine.com/2nd/
公式 Twitter: https://twitter.com/heine_musical
コピーライト表記:©赤井ヒガサ/ SQUARE ENIX・劇場版「王室教師ハイネ」製作委員会 ©ミュージカル「王室教師ハイネ」製作委員会