夏木マリ「Blue Note TOKYO」にてアルバム「印象派コレクション」からコンセプチュアルライブ「MARI de MODE 2」を開催!

 

 

デビュー45年、クリエイションを手がける舞台「印象派」が25年、支援活動「One of Loveプロジェクト」が10年、清水寺奉納パフォーマンス「PLAY×PRAY」が5年と、アニバーサリーが重なる2018年のスタートを切るライブを、夏木マリが「Blue Note TOKYO」にて3月31日、4月1日の2日間に渡って開催した。
「MARI NATSUKI“MARI de MODE 2”」と題された今回のライブは、昨年1月に同会場に初登場し、90年代から00年代にかけてリリースされた小西康陽氏プロデュース楽曲をジャジーに歌いあげて絶賛を博した「MARI de MODE」のアンコール公演である。

今回もBlue Note TOKYOにはドレスアップした大人たちで大盛況となり、スペシャルな一夜の幕開けを待ちわびていた。近年ライブハウスツアー開催や夏フェス出演など、ジャニス・ジョプリンを彷彿とさせるロックスタイルで圧巻のステージを披露してきた夏木マリだが、今宵のライブは1995年にリリースされたアルバム「9月のマリー」から、ボサ・ノヴァ調の「むかし私が愛した人」で幕を開けた。バンドがイントロを奏でると、拍手を浴びながら客席を通り、夏木マリが登場した。アンシンメトリーなデザインの黒のドレス、ショートでタイトにまとめられたヘアスタイル、佇まい…すべてがエレガントでスタイリッシュ。右手の指でスナップをきかせながら歌う姿からは、唯一無二の存在感が放たれていた。続いて「港のマリー」、南部のサウンドを取り入れたノリの良い「カウボーイ」で、一気に会場は熱いムードに。

90年代のリリース当時は渋谷の外資系ショップのチャート1位を飾り、いわゆる“渋谷系”アーティストの憧れの存在となった夏木マリだが、20年以上の歳月を経て、さらに深化したヴォーカルとグルーヴが際立つ。そして、そんな夏木マリと共に極上のサウンドプロダクションを担うミュージシャンは、金澤英明(ベース)、久米大作(ピアノ/キーボード)、竹上良成(テナー・サックス/フルート)、福原将宜(ギター)、山内陽一朗(ドラムス)、斉藤ノヴ(パーカッション)という選りすぐりの面々だ。

 

 

続いて、常に新しいことにチャレンジし続け、自分らしく45年を歩んできた夏木マリにぴったりな「私は私よ」では鮮やかなスキャットを披露。そして伝説のジャズ・ピアニスト/作曲家の名前を曲名に用いた「セロニアス・モンク」では、バンドメンバー紹介と共にそれぞれのソロ演奏が披露された。そして、ダメな男にだまされた女の物語「誘惑されて棄てられて」、終わりそうな恋愛に悩み占い師を訪ねる女の物語「あしたの私」、もう戻らないであろう男を待ちわびる馬鹿で健気な女を描いた「いちばん好きなもの」、そして「アルコール」「惚れぐすり」と、まるで短編恋愛映画を見ているかのように情景が目に浮かぶ楽曲が続く。それは、ストーリーテラーである夏木マリのヴォーカルの圧倒的な表現力が成し得る世界である。

その後、恒例の観客との乾杯タイムをはさみ、「二の腕」「ゴリラ」「ミュージシャン」「きれいな顔の女」とテンポ良く展開し、観客から沸き起こる手拍子と共に、軽快でジャジーなサウンドと夏木マリの歌に乗せて男と女の物語は続いていく。そして「ローマをみてから、死ね」「鎮静剤」とスピーディーな展開でライブは一気にクライマックスへ。本編の最後は「私のすべて」。小西康陽氏のユニット“ピチカート・ファイヴ”による原曲よりもテンポアップし、マイナーキー基調にアレンジしたバージョンで、小悪魔的な女の独り言を投げっぱなしにするかのように歯切れよく歌い上げた。

 

 

 

拍手喝采の観客のアンコールに応え現れた夏木マリは、桜の花のような薄ピンク色のシルクのロングガウンとパンツのセットアップに、頭にはショッキングピンクの羽でできた大きな帽子という、雰囲気をガラリとかえたスタイル。そして披露されたのは、ギターのみとのセッションでシンプルに歌い上げた圧巻の「Over the Rainbow」、そしてBlue Note TOKYOでの2日間のショーを締めくくるに相応しい、どこまでもジャジーで心震える「Summer Time」で締めくくられた。

歌手、俳優、声優、身体表現、舞台制作…多岐に渡るフィールドで自ら発信し続ける夏木マリ。デビュー45年を迎える今年は、3月3日に公開され現在上映中の東日本大震災を経験した家族を描いた主演映画「生きる街」(榊英雄監督)、そして5月にボイスキャストを務めたストップモーションアニメ映画『犬ケ島』(ウェス・アンダーソン監督)、さらに6月8日には河瀬直美監督最新作「Vision」と、すでに撮影した映画作品の公開が続く。しかし、今年の後半は意外にも「特別なことはあんまりしないで、インプットの年にする」と語った夏木マリ。「周年」という振り返りに執着せず、「まだまだ進化の過程だから」と言わんばかりの姿勢がなんとも夏木マリらしい。これからも、我々に新しい世界を見せ続けてくれることを期待したい。

 

<セットリスト>
M-01むかし私が愛した人(95年「9月のマリー」より)
M-02港のマリー(95年「9月のマリー」より)
M-03カウボーイ(96年「GORILLA」より)
M-04私は私よ(02年「パロール」より)
M-05セロニアス・モンク(05年「戦争は終わった」より)
M-06誘惑されて棄てられて(05年「戦争は終わった」より)
M-07 あしたの私(05年「戦争は終わった」より)
M-08いちばん好きなもの(95年「9月のマリー」より)
M-09アルコール(05年「戦争は終わった」より)
M-10惚れぐすり(02年「パロール」より)
M-11二の腕(02年「パロール」より)
M-12ゴリラ(96年「GORILLA」より)
M-13ミュージシャン(95年「9月のマリー」より)
M-14きれいな顔の女(05年「戦争は終わった」より)
M-15 ローマを見てから、死ね(02年「パロール」より)
M-16鎮静剤(95年「9月のマリー」より)
M-17私のすべて(96年「GORILLA」より)
[アンコール]
M-18 Over the Rainbow
M-19 Summer Time

 

《夏木マリ インフォメーション》

【LIVE情報】
1)One of LoveプロジェクトGIG開催!
音楽とバラで、途上国の子供たちの教育環境、そしてその母親でもある働く女性たちの雇用整備の向上を目指す支援活動「One of Loveプロジェクト」のためのGIGを今年も開催。

タイトル:One of LoveプロジェクトGIG 10YEARS WITH「途上国の子供達に未来の仕事を贈るプロジェクト」
公演日:2018年6月16日(土)16:00 open / 16:30 start
出演者:泉谷しげる、シシド・カフカ、土屋アンナ、仲井戸”CHABO”麗市、夏木マリand more…(50音順)
One of Love Special Band
会場:マイナビBLITZ赤坂(港区赤坂5-3-2 赤坂サカス内/ TEL:03-3584-8811)
料金:指定席¥6,000(税込)※ドリンク代別、3歳以上チケット必要
主催:One of Loveプロジェクト
制作:インターブレンド/ ディスクガレージ
チケット一般発売日:2018年4月15日(日)
公式サイト http://www.oneoflove.org/

2)「THE CAMP BOOK 2018」出演決定!
イベント日程:2018年6月9日(土)、6月10日(日)※出演日/タイムテーブルは後日発表
会場:神立高原スキー場(新潟県南魚沼郡湯沢町神立4121-1)
出演者:夏木マリ/ eastern youth / Tommy Guerrero / 石野卓球/ 踊ろうマチルダ/GOMA & The Jungle Rhythm Section /YOUR SONG IS GOOD / Ovall /田我流 &MAHBIE / COOL WISE MAN / CAPTAIN VINYL (DJ NORI+MURO)片想い/ Michael Kaneko / 珍盤亭娯楽師匠 and more!!
公式サイト https://the-camp-book.com

 

Photo by Yuka Yamaji