舞台「幕末太陽傳 外伝」、居残り佐平次演じる崎山つばさ、テンションMAXで歌う、踊る!幕末!相模屋は大賑わい!

本作は、川島雄三監督生誕100周年企画として代表作である異色コメディ映画で日本映画史上の名作の一本「幕末太陽傳」を舞台化したもの。
実在した遊郭「相模屋」を舞台に起こる様々な出来事をグランドホテル方式で、テンポ良く描いており、60年前の時代劇映画であるにもかかわらず年代を問わず観客の支持を得ている。
ストーリーはオリジナルだが、落語『居残り佐平次』から主人公を拝借し、『品川心中』『三枚起請』『お見立て』などの物語を随所に散りばめた。脚本はチーフ助監督も務めた今村昌平と田中啓一が川島と共同で執筆し、フランキー堺主演の映画だ。
物語のナビゲートを担う語り部として、落語家で今年9月に真打ち昇進が決定している柳亭小痴楽、イケメン落語家としてメディアにも取り上げられている春風亭昇々も出演。
物語は文久2年(1862年)の江戸に隣接する品川宿。お大尽を装って遊郭旅籠の相模屋で豪遊した佐平次は、金がないのを若衆に打ち明けると居残りと称して相模屋に長居を決め込み、下働きから女郎衆や遊郭に出入りする人々のトラブル解決に至るまで八面六臂の活躍をし、果てはこの旅籠に逗留する攘夷派の志士たちとも渡り合う。
また、相模屋は実在した旅籠で、文久2年には、実際に高杉晋作や久坂玄瑞が逗留していたといわれている。高杉らはこの旅籠に滞在し、御殿山に建設中だった英国公使館焼き討ち事件を計画していた。実物は現存しないが、模型が品川区立品川歴史館に展示されている。模型を見ると、映画ではこの旅籠を忠実に再現していることがわかる。なお、映画内に登場する志道聞多は井上聞多のちの井上馨、伊藤春輔は伊藤俊輔のちの伊藤博文。
開演前は寄席のお囃子が流れている。ぐっと雰囲気が盛り上がる。そして柳亭小痴楽、威勢良く喋っているところに・・・・・・崎山つばさ演じる居残り佐平次がテンション高く登場!思いっきり柳亭小痴楽の邪魔をしてつかみはOK!そして派手なオープニング。文久2年、あと少しで明治時代がやってくる。「あっしは誰よりもついてるんだぜ!」歌う居残り佐平次!みんな歌う、踊る!「時代の灯火が消える前に走れ!」と歌う。物語の舞台は遊郭「相模屋」、「ええじゃないか」も出てくる。楽曲も多彩、ラップ風もあって文句なしに楽しい。テンポよく物語は進んでいく。金もないのに遊郭旅籠の相模屋で豪遊した佐平次、居残りと称して相模屋に長居を決め込み、それからは大活躍!女郎や女中、果ては幕末の志士たちと渡り合う。原作に負けないくらいに痛快、細かいネタも多く、アドリブも飛び出すのが舞台ならでは。群像劇的な要素もあり、全てのキャラクターが愛おしい。

時代が変わる、志を持つ志士たち、そんなことは御構い無しにやれ金だの恋だのに大騒ぎの人々。そんなこんなな「相模屋」で居残り佐平次は、活躍につぐ活躍。女郎同士の取っ組み合い(お染め(愛原実花)vsこはる(武藤十夢)がすごい!)に女中・おひさ(中野あいみ)と道楽息子・徳三郎(小松準弥)の恋やら、ここで起こる出来事が、もう忙しすぎるくらいにてんこ盛り。もちろん「グランドホテル方式」で複数の物語を並行させて進行する。舞台も上下ですっきり見せて、さらに出たり入ったりの動きで賑やかに立体的に見せるのは舞台ならでは。映像は使用せずに終始、アナログ。マンパワー、上演時間はおおよそ2時間、ノンストップ!事あるごとに佐平次は言う「命を粗末にしちゃいけない」と。そして「目は前にしかついていない」と言う。自身は咳をしている、体の具合が悪いのだが、テンションは終始アゲアゲ、誰かのために心を砕く。笑って、笑って、そしてちょっとうるっとくる、歴史ある三越劇場、開館は1927年、川島雄三監督生誕100年の記念公演、三越劇場開館100年ももうすぐ、大衆娯楽と古典芸能に貢献した劇場で「幕末太陽傳」の公演、これほどにぴったりなのもなかなかない。4月28日まで公演中!

なお、ゲネプロ後に囲み会見があった。登壇したのは崎山つばさ、入江甚儀、愛原実花、武藤十夢、中野あいみ、柳亭小痴楽。初座長の崎山つばさ、頑張りすぎて稽古中に鼻をぶつけたそうで「ようやく、こうして初日を迎えることができました」とまずはゲネプロを終えてちょっとホッとした様子。「テンション上がりすぎて鼻をぶつけまして・・・・・」と照れ笑い(いやいや名誉の負傷!)。超人気映画の舞台化とあって皆、気合い十分!「頑張ります!」と言うコメントが多かった。また歴史上の人物でもある高杉晋作を演じる入江甚儀は「日本の未来を見据えた高杉晋作は先見の明があった。でも佐平次もまた、先見の明があった。その違いを舞台で!」と意気込む。またアドリブ満載!については柳亭小痴楽が武藤十夢に向かって「佐平次に殴られて笑ってたね!」と暴露、笑うしかない武藤十夢!とにかく出演者が皆、楽しそうなのが印象的で取っ組み合いの場面やバタバタと追いかけっこするシーンではちょっと笑ってたり(笑)、が微笑ましい。最後に崎山つばさが「みなさんとは『初めまして』でしたが・・・・・100周年!ということで宝塚でもやりました!こうしてやれるのは光栄です。この舞台、『幕末太陽傳』が語り継がれるように!さらに100年続くように頑張ります!」と壮大な目標を掲げて会見は終了した。

 

【公演概要】
公演名:舞台「幕末太陽傳 外伝」
原作: 映画「幕末太陽傳」 コピーライトマーク日活株式会社
監督/川島雄三 脚本/田中啓一、川島雄三、今村昌平
公演日程:2019年4月18日(木)~4月28日(日)
会場:三越劇場(日本橋)
出演:崎山つばさ/入江甚儀 愛原実花 武藤十夢 中野あいみ
小松準弥 林明寛 磯貝龍虎 丸山優子 久下恵美 向野章太郎
蒼木陣 小坂涼太郎 鐘ヶ江洸 三浦海里
あまりかなり 南米仁 千葉一磨 井上果歩 仲野泰平 杉本真子 山口翼 沼田楓愛
津田英佑 野添義弘
語り部:柳亭小痴楽 春風亭昇々(Wキャスト)
脚本/演出:なるせゆうせい
企画・制作:ADKクリエイティブ・ワン
主催:日活・ADKクリエイティブ・ワン
公式HP:http://taiyouden-stage.com/
公式Twitter:@taiyouden_stage
著作権表記:コピーライトマーク日活/ADKクリエイティブ・ワン