今回、上演される『今昔饗宴千本桜』は、初年度の平成28(2016)年に上演された、超歌舞伎の第一弾、ファンにとっては思い入れのある演目。古典歌舞伎である『義経千本桜』と初音ミクの代表曲「千本桜」の世界観を融合させ、最新テクノロジーを駆使、「デジタル・コンテンツ・オブ・ジ・イヤー ’16」の大賞と総務大臣賞をはじめ多くの賞に輝いた。2019年に再び上演されるわけであるが、単なる再演ではない。テクノロジーは日々、進化を遂げており、2019年現在、もっとも最新の技術を使っての公演なので、初演を観ているファンにとっても新しいものとなっている。また、新たに「空間創出技術」を用いた「変身の術」も!「超歌舞伎」の登場人物を別のCGキャラクターに変身!21世紀な歌舞伎、ということだ。さらに!さらに!昨年は「両面透過型多層空中像表示装置」を使って、ミクを乗せた山車が舞台上を練り歩き、話題になったが、今年は山車が舞台を飛び出して、ニコニコ超会議の会場中を練り歩くことに。
開演15分前から過去公演の映像が流れ、客席が少しずつ温まりだす。そして時間になり、映像が流れると客席から大歓声が上がった。それからタイトルがドーーーンと。「とざい、とーざい」で中村獅童登場!大歓声と大きな拍手が起こった。そして初音ミクも登場し、口上。また、いつもの「大向こう」のレクチャー、NTTは「電話屋」。それから『本編』が始まる。ストーリーは基本的に初演と変わらないのだが、演出面での進化、特に「電話屋」のテクノロジー、これが発揮される場面はやはりアクション。”分身の術”(これもさらにパワーアップ、より精密に)、さらに!新しいテクノロジーが!”変身の術”!カメラで捉えた映像をリアルタイムで生成する、という画期的なもの。
観ると動きは一緒でも姿が違う!超歌舞伎は今年で4回目だが、このテクノロジーは毎回、変わっていくので、毎年、観劇するとその違いがわかる。また、観客参加型の演出もあり、最後は客席でサイリウムをふって応援!満開の桜がドーーーーン!で大きな拍手と歓声!また、ここは『お決まり』のタテノリでロックコンサートさながらに中村獅童が客席を煽ったり、舞台のはじからはじまで駆け抜けたり!大盛り上がり!
2回目公演直前に囲み会見が行われた。「さらに進化しています」と胸を張りつつ「毎年、ここにくるファンもいらっしゃいますので、期待にこたえるように一生懸命やらせていただいてます。またありがたいことに京都の南座、歌舞伎専門の劇場でやらせていただけるので関係者一同、大変喜んでいます」とコメント。観るとわかるが、舞台も広い上に殺陣もあり、まさに八面六臂の活躍を見せる中村獅童「体力勝負です、1日2回公演全身全霊でやるしかないと思っています。南座は歴史ある劇場です。今まで見たことのないような雰囲気になればいいなと思っています」と語る。5月11日からは「女殺油地獄」も控えており、11月3日からは「あらしのよるに」が博多座で上演される。「平成元年の頃は高校生でした。令和という時代を駆け抜けていけたら」と締めくくって会見は終了した。
2回公演のあと、NTTより超歌舞伎で使用されているテクノロジーについての解説があった。
分身の術は初演から使用されているもの。年々、精度は高まっているが、今回、登場したテクノロジーは変身の術。
「Deep Learning(深層学習)」は人間の脳に近い手法で機械学習を発展させた手法。「Deep Learning(深層学習)」は指示をしなくても自動で学習するが、精度を高めるには大量のデータが必要になり、読み込ませるデータによって学習の方向性も変わる。それを用いてリアルタイムに抽出、そこからさらに空間創出システムを新たに開発し、”分身の術”が可能になった、とのこと。南座公演では、この技術をさらにブラシュアップさせるとのこと。超歌舞伎が幕張メッセを飛び出し、南座へ!
【イベント概要】
ニコニコ超会議2019
日程:2019年4月27、28日
場所:幕張メッセ
超歌舞伎公式サイト:https://chokabuki.jp/
文:Hirom Koh